『新撰姓氏録』(しんせんしょうじろく)は、
平安時代初期の
西暦815年(
弘仁6年)に、
嵯峨天皇の命により編纂された古代氏族名鑑。
京および
畿内に住む1182氏を、
その出自により「
皇別」・「
神別」・「
諸蕃」に分類してその祖先を明らかにし、
氏名(うじな)の由来、
分岐の様子などを記述するものであるが、
主として氏族の改賜姓が正確かどうかを判別するために編まれたものである。
後述するように、
記載氏族が限られているとはいえ、
日本古代氏族あるいは日本古代史全般の研究に欠かせない史料である。
現存する『新撰姓氏録』は、
目録だけの抄記(抜き書き)であって本文は残っていないが、
所々にその残滓が認められるとともに、
若干の逸文が知られている。
なお、本書の対象とする範囲は京(左京・右京)と五畿内に住む姓氏に限られており、
また「序」にはそれすらも過半が登載されていないと記している。
なお、書名に「新撰」とつくのは、
企画倒れで終わった『氏族志』のやりなおしという意味であって、
『新撰姓氏録』以前に『姓氏録』なる書が存在していたわけではない。
『新撰姓氏録』には「逸文」がかなりあり、
その内容にも曾孫を四世孫とする場合や玄孫を四世孫と書いたり、
同神あるいは同一人物が違った文字で書かれている場合などがあり、
内容のすべてを信頼することはできないという指摘がある。