小窓
生命(小窓集)

作成日:2023/12/9

よみがな順で記載する。

アノマロカリス

アノマロカリス  英語:Anomalocaris

アノマロカリスとは、カンブリア紀中期の海に生息していた海棲生物の一種。
この時代の動物としては最大かつ最強で、カンブリア紀の生態系の頂点に君臨していた。

全長は標準的なもので60cm程度、最大では2mに達するものもいた。 身体は大きく頭部と胴体にわかれている。 頭部前方にはエビのしっぽに似た2本の触手が下向きに曲がって生えている。 これで獲物を捕らえ、 頭部下面にある円形の口へと運んだ。 口にはアノマロカリスだけの特徴である放射状に開閉する歯があり、 これで獲物を噛み砕いた。 歯は二重構造になっている上に食道の内側にもびっしりと歯が生えていてこれにより食べた獲物を確実に胃に送り込む構造になっていた。 どうやら三葉虫を主食にしていたものと思われ、 鋭利な歯のようなものでかじられた三葉虫の化石がしばしば発見されている。 (屍肉をむさぼるいわゆるスカベンジャーだったという説もある)

頭部上面両側には大きな眼が短い柄を介して張り出している。
胴体両側には大きなひれが13対ついていてこれを波打たせるようにして動かす事で泳いでいた。
胴体最後部には3対の小さなひれが斜め上を向いてついている。

余談だがアノマロカリスのウンチの化石も発見されている。

アンモナイト

アンモナイト  分類名:アンモナイト亜綱  学名:subclassis Ammonoidea)

アンモナイトは、 古生代シルル紀末期(もしくはデボン紀中期)から中生代白亜紀末までのおよそ3億5000万年前後の間を、 海洋に広く分布し繁栄した、 頭足類の分類群の一つ。 多くの種が平らな巻き貝のような形をした殻を持っているのが特徴である。

アンモナイト亜綱は、 オルドビス紀から生息するオウムガイ亜綱の中から分化したものと考えられている。 以来、彼らは実に長くの時代を繁栄していたが、 中生代の幕引きとなる白亜紀末のK-Pg境界を最後に地球上から姿を消した。 古生代中生代の下位に当たる各年代を生きた種はそれぞれに示準化石とされており、 地質学研究にとって極めて重要な生物群となっている。

古代地中海世界においてアンモナイトの化石は、 ギリシャの羊角神アンモーンにちなみ、 「アンモーンの角」(ラテン語: cornu Ammonis)として知られていた。 大プリニウス『博物誌』では貴石類に関する章において Hammonis cornuの名を挙げ、「エチオピアの聖石の最たるもののひとつ」として紹介している。 こうした伝統を踏まえ、 Ammon に岩石や鉱物を意味する語尾 -ite を添えて ammonite の名を造語したのは、 18世紀後半のフランスの動物学者ジャン=ギヨーム・ブリュギエールであったともされる。

日本語では横山又次郎により「菊石」という呼称が提唱された。 「菊石」という呼称の由来については、 縫合線の形状がアンモナイト目において植物の葉のように複雑であることに基づく説や、 殻の螺旋や放射状に広がる肋(あばら)がキクに類似することに基づく説があり、 後者が有力視されている。

オウムガイ

オウムガイ(鸚鵡螺)  英語:Nautilus

オウムガイは、 オウムガイ目 - オウムガイ科に属する軟体動物。 生きている化石のひとつでもある。 アンモナイトの生き残りないし子孫と誤解されることが多いが、 そうではなく共通の祖先を持つ別種である。

殻に入った頭足類で、 南太平洋からオーストラリア近海に生息し、 水深およそ100m - 600mに棲む。 深海を好むというイメージもあるが、 水深が800mを超えた所では殻が水圧に耐えきれず壊れてしまう。 その祖先(チョッカクガイに近い)は4億5000万年前 - 5億年前に誕生し、 それからの原始的性質を色濃く残した生物とされる。

餌を捕食するために90本ほどの触手を使い、 触手にあるたくさんの皺でものに付着する。 触手のうち、 上面にある二つの触手の基部が分厚くなって融合し、 帽子のような形状を作り殻の口に蓋をする働きを持つ。 何かに付着する以外には、触手を運動に使わない。

眼は短い柄の先に付いて、 外側が平らになった独特の形を持つものであるが、 これはピンホールカメラ方式である。 すなわち、 タコやイカのカメラ眼とは異なり、 レンズの構造がないため、 視力はよくない。 水の中に落ちた化学物質には素早い動きを見せる。

イカやタコと同じく漏斗(ろうと)と呼ばれる器官から噴き出す水を推進力にして、 体を軽く揺すりながらゆっくりと運動する。 主な餌は死んだ魚介類や脱皮した殻などである。 俊敏に移動できないので、 イカやタコのように生きた魚介類を捕まえて食べることができない。 イカやタコとは異なり、墨汁の袋は持っていない。

また、タコやイカが一年、 もしくは数年で死んでしまうほど寿命が短いのに対し、 オウムガイの寿命は長く、 十数年~二十年近くも生きるといわれるが、 それは殻の生成に時間がかかることによって起こる成長の遅さと関係しており、 それは殻を完全に退化させ、 成長速度を速めたタコやイカと対照的である。

維管束(いかんそく)

維管束(いかんそく)  英語:vascular bundle

維管束とは、 繊維と管からなる束の意味であり、 植物の茎の中を縦に走る柱状の組織の集まりである。 役割としては液体(主に水や養分)の運搬と植物体の物理的な支持である。 コケ植物には維管束は無い。

通常、 茎の中に一定の間隔で並び、 そこから分枝して葉や根に入り、 先端近くまで伸びて終わる。 多くの植物では、 これらの組織が一定の配列で集まってパイプの集合体のような束状の構造となって植物体全体を貫いている。 そのような束は複数あり、 茎の断面を見れば、 それらが一定の配列で植物体の中に配置しているのが見られる。 このような個々のパイプの束を維管束と言う。 植物群によって、これらの構造には様々なものがあり、 それぞれに固有の名が与えられている。

葉など茎から出た器官には茎の維管束の分枝が入っており、 その内部ではさらに枝分かれして物質の輸送と器官の機械的支持の役割を担う。 葉にあるそれを葉脈という。 また、これらの維管束の集合体を、 その周辺の組織を含めて茎を構成する基本単位と見なし、 これを中心柱(ちゅうしんちゅう)と呼ぶこともある。

維管束を持つ植物は、シダ植物(広義)、裸子植物及び被子植物であり、 これらをまとめて維管束植物という。 維管束植物は、まとめて単系統をなすと考えられる。 しかし、類似の構造は他の植物にも見られる例があり、 蘚苔類では茎の中心に細胞壁の肥厚した細胞群があって、 類似の役割を果たすと考えられる。

ウイルス

ウイルス  英語:virus

ウイルスは、 他生物の細胞を利用して自己を複製させる、 極微小な感染性の構造体で、 タンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。 ウイルス西暦1930年代に電子顕微鏡が用いられるようになったことで観察が可能になり、 その存在が知られるようになった。

生命の最小単位である細胞やその生体膜である細胞膜も持たないこと、 小器官がないこと、 自己増殖することがないことから、 生物かどうかについて議論がある。 一般的には「ウイルスは生物ではない」とされるが、 フランスの進化生物学者パトリック・フォルテールのように、 生物に含める見解もある。 ウイルスが宿主に感染した状態を本来の姿と捉えれば生物のようにふるまっていること、 ミミウイルスのように多数の遺伝子を持った巨大なウイルスもあることなどを理由としている。

ウイルスを生命体と見なせば、 その数や多様性は地球上で最も多く(見なさない場合、個体数は微生物、種類は甲虫類が最も多い)、 メタゲノム解析の実用化により様々な環境にウイルスが見つかっている。 宿主に残ったウイルス由来の遺伝子が生物進化に関わったり、 地球の生態系や気候にも影響を与えたりしている。 動物や植物のほかほぼ全ての生物に特有のウイルスが存在する。 ヒトを含めた動植物に感染症など疾病を引き起こすウイルスは一部であるが、 発見・分析されていないウイルスが野生鳥獣を宿主とするものだけで170万種あり、 その半数が人獣共通感染症の病原体になるリスクがあると推計されている。

ちなみに、ウイルスと細菌と真菌の違いについて。 ウイルスは細胞を持たず、動物の細胞内で増殖し、 DNAかRNAの一方しか持っていない。 細菌は、細胞を持ち、自身で増殖することができ、 DNAとRNAの両方を持っているが、 染色体のDNAは細胞内に裸で存在する原核生物の仲間である。 真菌は、人などの細胞に定着し、 菌糸が成長と分枝(枝分かれ)によって発育していき、 酵母細胞では出芽や分裂によって増殖する。 真菌は、染色体が膜に包まれており、 真核生物の仲間である。

カイメン

カイメン / 海綿  英語:sponge

海綿動物門に属する水生動物の総称。
多細胞動物のうちではもっとも下等な体制をした動物で、 神経も筋肉も分化していない。
襟細胞(えりさいぼう)室という養分を摂取する独特な器官を有することが特徴である。

海綿動物は、 原生動物から腔腸(こうちょう)動物へ進化する過程でわき道へそれた動物群と考えられ、 側生動物とよばれることがある。

しかし、 海綿動物の発生を研究する学者のなかには、 原生動物から腔腸動物への進化の途中の段階にある動物群と主張する研究者もいる。

海綿類の大部分は海産で、 一部が淡水産(淡水海綿)である。

海綿類はすべて固着性(岩の上などに着生する)で見かけ上静止しているので、 カール・フォン・リンネは『自然の体系』(1735)の初版で「海綿は海あるいは流水中に産する花も実も知られない植物である」とコケの仲間に入れていた。

海綿類を最初に動物と認識したのはイギリスの動物学者エリスJ. Ellisである。

化石の海綿古生代.カンブリア紀から知られているが、 先カンブリア時代には現生の主要な海綿類の分化はだいたい終わっていたと考えられる。

恐竜(きょうりゅう)

恐竜(きょうりゅう)  学名: Dinosauria

中生代三畳紀ジュラ紀白亜紀)に繁栄し絶滅した、 陸上に住む爬虫類。 ギリシャ語のdeinos(恐ろしい)sauros(トカゲ)に由来する。

恐竜の仲間が地球上にあらわれたのは今から2億3000年前の三畳紀。 それから後、恐竜の仲間は約1億6000年の間繁栄を続け、 今から約6500万年前の白亜紀末に絶滅した。

恐竜はトカゲやワニなどと同じ「ハチュウ類」の仲間。 翼竜や首長竜,魚竜も恐竜と同じ時代にいた爬虫類だが、 恐竜の仲間ではない。

恐竜は骨盤という腰の骨の形から、 竜盤目(りゅうばんもく)と鳥盤目(ちょうばんもく)の仲間に分けられる。 骨盤は腸骨(ちょうこつ),恥骨(ちこつ),座骨(ざこつ)と言う三つの骨からできている。 恥骨が後ろに伸び, 座骨と平行になっている恐竜の仲間を鳥盤目と呼ぶ。 鳥類の骨盤と同じような形をしている。 鳥盤目の仲間にはイグアノドンなどの鳥脚類やアンキロサウルス類などがあります。

恥骨が前下方を向いている恐竜の仲間を竜盤目と呼ぶ。 こちらは多くのハ虫類の骨盤と同じような形をしている。

竜盤目の仲間にはティラノサウルスなどの獣脚類、 ブラキオサウルスなどの竜脚類がいる。

恐竜絶滅(きょうりゅうぜつめつ)

三畳紀後期からジュラ紀、 そして白亜紀まで繁栄していた恐竜は、 現生鳥類につながる種を除いて約6600万年前に突如絶滅した(ただしアラモサウルスなどのごく一部の属は、生き延びていた可能性があることが化石によって示唆されている)。 翼竜、首長竜、モササウルス類、アンモナイトが完全に絶滅したのもこの時期である。 全ての生物種の70%が絶滅したと考えられている。

恐竜が絶滅した原因として「隕石衝突説」が現在のところ最も有力である。 恐竜絶滅の時期にあたる中生代白亜紀新生代古第三紀との境界(K-Pg境界)でたまった地層には、 ほかの地層では見られない特徴がいくつか発見されている。 例えば、地表には少量しか存在しないイリジウムという元素が多いこと、 高い圧力がないとできない石英の粒や微小ダイアモンドが見られること、 普通には見られないアミノ酸などが存在すること、など。 これらの存在は、隕石の衝突を示す証拠といえる。 実際に現在のメキシコのユカタン半島では、 K-Pg境界の頃にできた巨大なクレーターの痕跡が見つかっている。

大きい隕石が衝突すると大量の塵が発生し、 それが大気中に漂うことで太陽光線がさえぎられて地球上が寒冷化し、 これに適応できない生き物が死に絶えてしまう。 また、太陽光線が地表に届かなくなることで、 光合成をする植物が減ってしまい、植物を食べる草食恐竜が死に、 今度はそれを食べる肉食恐竜が死に、 というように食物連鎖の階段を登るように次々と恐竜が死んでいったと考えられている。

さらに、現在のインドのデカン高原にあたる場所で、 この頃に大規模な噴火活動があったことも分かっている。 これによる環境の変化が恐竜などの絶滅に追い打ちをかけたのではないかと考えられている。

恐竜類はこの時にほとんどが絶滅してしまったが、 恐竜の1グループである鳥類は生き延びて今も繁栄を続けている。

他にもアンモナイトなど白亜紀末で絶滅した生物は多く、 絶滅した種と生き延びた種の違いがどこにあったのかについては研究が続いている。

原核生物(げんかくせいぶつ)

原核生物(げんかくせいぶつ)  英語:Prokaryote・プロカリオート

原核とよばれる原始的な細胞核をもっている生物の名称で、 細胞内にDNAを包む核(細胞核)を持たない生物のこと。すべて単細胞生物。
真核生物と対をなす分類で、 性質の異なる細菌(バクテリア)古細菌(アーキア)の2つの生物を含んでいる。

34億年前の藍藻の化石が発見されており、 生物進化ではもっとも古い生物であると考えられている。
原核生物では、 核酸(DNA)が膜に包まれることなしに分子状態のままで細胞質中に存在し、 ミトコンドリアなどの構造体がないといった特色がみられる。

歴史的に原核生物は細菌(真正細菌、バクテリア)と同義語とされ、 五界説では一括してモネラ界に分類されていた。
このため、 西暦1990年ころ以前の資料で、 原核生物の性質や構造として説明される内容が実際には細菌のものである場合が多い。

嫌気性生物(けんきせいせいぶつ)・好気性生物(こうきせいせいぶつ)

嫌気性生物(けんきせいせいぶつ)・好気性生物(こうきせいせいぶつ)

嫌気性生物は増殖に酸素を必要としない生物。 多くは細菌であるが、古細菌や真核微生物の中にも存在する。 これらは主に、 酸素存在下で酸素を利用できる通性嫌気性生物と、 大気レベルの濃度の酸素に暴露することで死滅する偏性嫌気性生物に分けられる。 酸素を利用することはできないが、 大気中でも生存に影響がない生物は、 耐酸素性細菌などと呼ばれる。

好気性生物は、 酸素に基づく代謝機構を備えた生物である。 好気性生物は、 たとえば糖や脂質のような基質を酸化してエネルギーを得るために、 酸素を利用する。 好気性細菌は地球上に藍藻類が誕生し、 大気中に酸素が増加してきたことによって誕生したとも考えられている。
ある種の好気性細菌はミトコンドリアの祖先ともいわれている。

原始生命体(げんしせいめいたい)

原始生命体(Protobiont)

原始生命体とは、 化学進化による生命誕生直後の状態を有する生命のことである。
現在の研究では共通祖先は古細菌および細菌にそれぞれ進化したとされているが、 共通祖先が誕生する以前の生命についても論じられており、 そのような生命を『原始生命体』と定義する。
・化学進化
原始生命体
・共通祖先
・細菌と古細菌
という順番で進化が行なわれたと定義されている。

別名、原始生命、原始細胞、共通祖先以前、など。

原生生物(げんせいせいぶつ)

原生生物(げんせいせいぶつ)  英語:Protist

先ず、対をなす語である原核生物真核生物について。

原生生物は、この真核生物に該当し、核を有する。
つまり、原生生物真核生物の中の1種であり、
原生生物とは、真核生物の中でも、 動物や植物以外の比較的単純な構造をした生物でり、 その殆どを単細胞で過ごす。」

具体的には、 ゾウリムシ、アメーバ、ミドリムシ、 および藻類のうち珪藻・渦鞭毛藻・海藻類などが含まれる。

腔腸動物(こうちょうどうぶつ)

腔腸動物は別個に作成する
刺胞動物(しほうどうぶつ)  英: Cnidaria
腔腸動物(こうちょうどうぶつ)  Coelenterata

刺胞動物とは、 刺胞動物門に属する約11,000種にのぼる動物の総称である。 ほぼ全てが水界に生息し、 大部分が海産である。 触手に「刺胞」と呼ばれる、 物理的または化学的刺激により毒液を注入する針(刺糸、しし)を備えた細胞内小器官をもつ細胞があることからこの名で呼ばれる。 別名として刺胞動物と呼ばれることもある。
放射相称、二胚葉性。 体腔はなく、唯一の腔所である胃腔の開口は口と肛門を兼ねる。 雌雄異体。 漂泳性(クラゲ型)と付着性(ポリプ型)という生活様式の異なる2つの型を持ち、 両者は上下を逆さにした形である。 単体と群体がある。

中胚葉が形成されない二胚葉性の動物であるとされるが、 細胞性である間充織を中胚葉とみなし、 ヒドロ虫綱以外の刺胞動物を三胚葉性とみなす事も多い。

かつては有櫛動物(クシクラゲ類)と共に腔腸動物門として分類されていたが、 有櫛動物は刺胞動物とは体制が大きく異なることから、 現在では異なる門として整理されている。 刺胞動物は先カンブリア時代の地層にも、 化石として姿をとどめている。

古細菌(こさいきん)

古細菌(こさいきん) / ラテン語:archaea(アーキア

古細菌は、生物の主要な系統の一つである。 細菌(バクテリア)真核生物(ユーカリオタ)と共に全生物界を3分している。 古細菌は形態や名称こそ細菌と類似するが、 細菌とは異なる系統である。 高度好塩菌、メタン菌、好熱菌などが良く知られている。
日本語では「古細菌」または「アーキア」が呼称されることが多い。 「始原菌(しげんきん)」も使われる。 「古細菌」という名称は、「菌」および「細菌」を名前に含むが、 菌類(真菌)や細菌(真正細菌)とは異なる。

地球上の全ての生物は、細菌古細菌真核生物の3つのドメインのいずれかに分類される。 細菌古細菌は合わせて原核生物とも呼ばれ、 真核生物と対比される。 例えば、植物と動物は見た目は大きく異なるが、 細胞レベルで見るとDNA複製のメカニズムや細胞膜の主成分などは共通性が高い。 ドメインが異なる生物同士は、 分子レベルでこれら生命を維持する機構が異なっている。

初期の地球上には古細菌細菌の2ドメインしか存在せず、 真核生物古細菌(特にアスガルド古細菌)から遅れて進化したとする説が現在有力である。 古細菌細菌では、 細胞膜や細胞壁の構成、 DNA複製機構など様々な点で相違がある。

古細菌ドメインは、 ユーリ古細菌、TACK群(クレン古細菌、タウム古細菌など)、 アスガルド古細菌、DPANN群に大きく分けられている。 タウム古細菌以外はヒトから見れば極端な環境に生息しており、 極限環境微生物とも呼ばれる。 ヒトに身近なのは腸内常在微生物叢の一部を占め、 嫌気性の沼などにもいるメタン菌や、 窒素循環に関連する亜硝酸古細菌程度(タウム古細菌に含まれる)である。 これ以外にも様々な生物が含まれるとみられるが、 多くは未培養であり、古細菌の全容は解明されていない。 西暦2018年時点で正式に記載されている古細菌は約550種である。

昆虫(こんちゅう)

昆虫(こんちゅう)  英語:insect  学名:Insecta

昆虫は、六脚亜門の昆虫綱に分類される節足動物の総称である。 昆虫類とも総称されるが、 これを昆虫と内顎類を含んだ六脚類の意味で使うこともある。

かつては全ての六脚類が昆虫に含められていたが、 分類体系が見直され、 現在は内顎類(内顎綱)の分類群(トビムシ、カマアシムシ、コムシ)が除外される。

昆虫は多様な節足動物の中でも、特に陸上で進化したグループである。

ほとんどの種は陸上で生活し、 淡水中に棲息するものは若干、 海中で棲息する種は例外的である。 水中で生活する昆虫水生昆虫水棲昆虫)と呼ばれ、 陸上で進化した祖先から二次的に水中生活に適応したものと考えられている。 地球内の気候、環境に適応しており、種多様性が非常に高い。

日本の国立科学博物館によれば、 西暦2018年時点で知られている昆虫は約100万種で、 確認されている生物種の半分以上を占める。 未発見・未分類の昆虫も多いと推測されている。 日本産生物種数調査によれば、 日本産の既知種数は30747種とされる(西暦2003年現在)。

単に「虫」として一般に知られる動物群であるが、 これは昆虫を専門に指す名称ではなく、 ダンゴムシ・クモ・ムカデ・ミミズ・カタツムリなど昆虫以外の多くの小動物をも含んだ雑多な総称である。

細菌

細菌(さいきん)  英語:bacteria
真正細菌(しんせいさいきん)  英語:Authentic bacteria
バクテリア  英語:(複数)bacteria、(単数)bacterium

細菌とは、 古細菌真核生物とともに全生物界を三分する、 生物の主要な系統(ドメイン)の一つである。 語源はギリシャ語の「小さな杖」に由来する。 細菌は大腸菌、枯草菌、藍色細菌(シアノバクテリア)など様々な系統を含む生物群である。 通常1-10 μmほどの微生物であり、 球菌や桿菌、螺旋菌など様々な形状が知られている。 真核生物と比較した場合、 非常に単純な構造を持つ一方で、 はるかに多様な代謝系や栄養要求性を示す。 細菌を研究する科学分野は微生物学(または細菌学)と呼ばれる。

細菌古細菌は合わせて原核生物と呼ばれる。 核を持たないという点で古細菌と類似するが、 古細菌細菌の分岐は古い。 古細菌と比較して、 遺伝システムやタンパク質合成系の一部に異なる機構を採用し、 ペプチドグリカンより構成される細胞壁や、 エステル型脂質より構成される細胞膜を持っているという点からも細菌古細菌と区別される。 西暦1977年までは古細菌細菌に含まれると考えられていたが、 現在では両者はドメインレベルで別の生物とされる。

ちなみに、ウイルス細菌真菌の違いについて。 ウイルスは細胞を持たず、動物の細胞内で増殖し、 DNAかRNAの一方しか持っていない。 細菌は、細胞を持ち、自身で増殖することができ、 DNAとRNAの両方を持っているが、 染色体のDNAは細胞内に裸で存在する原核生物の仲間である。 真菌は、人などの細胞に定着し、 菌糸が成長と分枝(枝分かれ)によって発育していき、 酵母細胞では出芽や分裂によって増殖する。 真菌は、染色体が膜に包まれており、 真核生物の仲間である。

三葉虫(さんようちゅう)

三葉虫(さんようちゅう)  英語:英語: trilobite(ライロバイト) 学名:Trilobita

カンブリア紀からオルドビス紀に栄えた絶滅節足動物。
大きさは2 - 10cmぐらいのものが多く、クモやサソリに近縁。
体は扁平で,フナムシ状の多くの体節からなり、 頭、胸、尾部に分かれ、 また体長方向に中央の軸部と左右の肋(ろく)部の3部に区分される(三葉)。
このことから三葉虫と名付けられた。
頭部の下側に口があり、上側に1対の複眼がある。
比較的浅い海にすみ、多くは海底をはいまわっていたらしい。
日本各地の古生代の地層から多数の化石が発見されている。

シアノバクテリア

シアノバクテリア(cyanobacteria)/ 藍色細菌(らんしょくさいきん) / 藍藻(らんそう)

藍色細菌ともいう。
かつては藍藻と呼ばれていたが、 近年の研究により、 細菌類と同じ原核生物であることが明らかになった。
クロロフィルa、β(ベータ)‐カロテン、フィコビリンなどの色素を含み、 酸素発生型光合成を行う。
湿地や水たまり、 あるいは水槽の縁などに発生して、 緑色のねばねばした膜状になる。
最古の生物の1つで、 35億年前の地層からシアノバクテリアに似た化石が発見されている。
進化遺伝学的な研究により、 光合成能力をもつシアノバクテリアが、 他の細菌と共生的に合体することによって真核生物が生じ、 シアノバクテリアは葉緑体となったと考えられている。

シアワセモ

シアワセモ / しあわせ藻  学名:Tetrabaena socialis

シアワセモとは、クラミドモナス目に属する植物の1種。 4つの細胞から構成された、構成細胞数が最小の多細胞生物である。 また、 群体を形成するクラミドモナス目で最も古い、 約2億年前に出現したと考えられている生物である。

しあわせ藻の和名は、 見かけが幸運の象徴である四つ葉のクローバーに見える事、 約2億年前に「幸運にも」多細胞生物化した事から名づけられた。

シアワセモは淡水生の藻であり、世界各地に存在する。 発見は古く、最初に記載されたのは西暦1841年である。 19世紀頃はクリプトモナス属 (Cryptomonas) かゴニウム属 (Gonium) に属するとも考えられていたが、 新属のテトラバエナ属 (Tetrabaena) やテトラゴニウム属 (Tetragonium) も同時に示されていた。 現在ではテトラバエナ属に分類されている。 シアワセモはテトラバエナ属に分類される唯一の種であり、 他に Basichlamys 属の B. sacculifera のみが属するテトラバエナ科 (Tetrabaenaceae) のタイプ種でもある。

シアワセモの大きさは20μmから30μmという非常に小さなものである。 全部で4つの細胞から構成されており、 上向きから見ると緑色の円がサイコロの4の目のような正方形を形成しているように見える。 横から見ると、 球体ではなく卵形の形状に見え、 葉緑体が細胞核をカップ状に包んでいる。
細胞核には葉緑体がないため、 その部分だけ透明に見える。 4つの細胞それぞれに1つの眼点と2本の鞭毛をもち、 鞭毛を動かすことで水中を泳ぐことができる。 眼点は葉緑体の表面、鞭毛は細胞核の表面に分布する。

始祖鳥(しそちょう)

始祖鳥(しそちょう)  学名:Archaeopteryx(アーケオプテリクス)

始祖鳥とは、 現生鳥類の祖先と思われた生物につけられた日本での俗称。
その多くはアーケオプテリクス(学名: Archaeopteryx)であるため、 国内では同属を始祖鳥属とも翻訳する。

アーケオプテリクスジュラ紀に生息し、 特徴的な羽毛から世界で初めて鳥類と(いわゆる)恐竜の関係を強く示唆された、 西暦1800年代に発見された主要な化石において最も現生鳥類に近いとされた歴史的に重要な生物である(現在では否定されている)。

アーケオプテリクスの大きさや概形はカササギに近く、 前足に羽根が並んで幅広で曲線的な翼を形成し、 後足は基部には羽根を密生するが半ば以上はそれを欠く。
また全身に薄い羽根が生えており、 体長は長い尾も含めて大きな標本で50cm程度であり、 胴体部はその半分程度である。
標本によってはさらに小さい。

これらの特徴は現生の鳥類に似ているが、 鋭い歯を備えた顎を持つ点、 鉤爪のある3本の指を持つ点、 そして長い尾部に骨をもつ点などが明らかに異なる。

西暦1862年、 ダーウィンの『種の起源』の出版より僅か2年の後にはアーケオプテリクスの完全な化石が記載された。

シダ植物(しだしょくぶつ)

シダ植物 / 羊歯植物 / 歯朶植物  英語:pteridophytes

シダ植物は、以下の意味を持つ植物の一群である。

本項におけるシダ植物はかつてはシダ植物門 division Pteridophytaと門の階級に置かれていた。 シダ植物という言葉は現在では学術的な場では使われなくなっているが、 進化段階や生活環上の特性において未だ用いられることがある。 そういった文脈では ferns and ferns allies や ferns and lycophytes と呼ばれる。 これに属する植物を一般的にシダ(羊歯、歯朶)と呼ぶこともあるが、 シダ類(側系統群、範囲は#系統関係を参照)を指すことも多い。 シダ植物は非種子維管束植物や無種子維管束植物とも言い換えられる。

刺胞動物(しほうどうぶつ)

刺胞動物(しほうどうぶつ)  英: Cnidaria
腔腸動物(こうちょうどうぶつ)  Coelenterata

刺胞動物とは、 刺胞動物門に属する約11,000種にのぼる動物の総称である。 ほぼ全てが水界に生息し、 大部分が海産である。 触手に「刺胞」と呼ばれる、 物理的または化学的刺激により毒液を注入する針(刺糸、しし)を備えた細胞内小器官をもつ細胞があることからこの名で呼ばれる。

放射相称、二胚葉性。 体腔はなく、唯一の腔所である胃腔の開口は口と肛門を兼ねる。 雌雄異体。 漂泳性(クラゲ型)と付着性(ポリプ型)という生活様式の異なる2つの型を持ち、 両者は上下を逆さにした形である。 単体と群体がある。

中胚葉が形成されない二胚葉性の動物であるとされるが、 細胞性である間充織を中胚葉とみなし、 ヒドロ虫綱以外の刺胞動物を三胚葉性とみなす事も多い。

かつては有櫛動物(クシクラゲ類)と共に腔腸動物門として分類されていたが、 有櫛動物は刺胞動物とは体制が大きく異なることから、 現在では異なる門として整理されている。 刺胞動物は先カンブリア時代の地層にも、 化石として姿をとどめている。

真核生物(しんかくせいぶつ)

真核生物(しんかくせいぶつ)  ラテン語:Eukaryota 英語:eukaryotes

生物は真核生物原核生物に分けられる。
真核生物は動物、植物、カビや原生動物などであり、 DNAが核膜に包まれている高等微生物をいう。
原核生物には大腸菌や枯草菌、 乳酸菌などの真正細菌と古細菌が含まれる。

原核生物が1マイクロメートル(1mmの千分の一)程度の小型の細胞で細胞内に膜系を持たないのに対して、 真核生物は10~100マイクロメートルの大型の細胞で細胞小器官(ミトコンドリア葉緑体)や膜系(小胞体、ゴルジ体等)を持っている。

好気性細菌真核生物の細胞内に共生してミトコンドリアとなり、 シアノバクテリアの場合は葉緑体となった。
これは「真核細胞の細胞共生説」とよばれ、マーグリスが本にまとめてから広く支持されている。
また、ミトコンドリアが共生することになった細胞は古細菌の祖先であることもまず間違いがない。
しかし、どのような古細菌がどのような過程で細胞内共生に至ったかという点に関して多くの説があり、まだよく分かっていない。
同様に、膜系や細胞骨格、ステロイド合成系など真核生物特有の成分の起源もよく分かっていない。

真菌(しんきん)

真菌類は、キノコ・カビ、単細胞性の酵母、 鞭毛を持った遊走子などの多様な形態を示す真核生物であり、 菌界(学名:Regnum Fungi)に分類される生物群である。 大部分の菌類は、外部に分解酵素を分泌して有機物を消化し、 細胞表面から摂取する従属栄養生物である。 菌類に属する生物門の分類は現在も活発に議論され、 未だ定まった分類がない状態が続いている。

菌類に属する生物は、ほとんどが固着性の生物である。 微視的には細胞壁のある細胞からなり、先端成長を行うものが多い。 これらは高等植物と共通する特徴であり、 菌類が当初において植物と見なされた理由でもある。 しかし、葉緑体を持たず光合成も行わない従属栄養生物である。 その点は動物と同じであるが、 「体外の有機物を分解し細胞表面から吸収する」という栄養摂取の方法をとる。

形態的には単細胞の微生物であるものから、 肉眼的大きさ以上に発達する多細胞生物までを含む。 しかし、多細胞体を持つものにおいても、 菌糸と呼ばれる1列に配置する細胞列までしか持たず、 真の組織を発達させない。 体が多数の菌糸から構成されているものは糸状菌と呼ばれ、 単細胞のままで繁殖するものは酵母と呼ばれる。 キノコ、カビ、あるいは糸状菌および酵母はいずれも分類上の単位ではない。

生殖には、胞子を形成するものが多い。 無性生殖と有性生殖を含むものが多く、 それぞれに異なった胞子を形成するものが多い。 酵母は出芽または分裂により増殖し、細胞の融合を行う例もある。

ちなみに、ウイルスと細菌と真菌の違いについて。 ウイルスは細胞を持たず、動物の細胞内で増殖し、 DNAかRNAの一方しか持っていない。 細菌は、細胞を持ち、自身で増殖することができ、 DNAとRNAの両方を持っているが、 染色体のDNAは細胞内に裸で存在する原核生物の仲間である。 真菌は、人などの細胞に定着し、 菌糸が成長と分枝(枝分かれ)によって発育していき、 酵母細胞では出芽や分裂によって増殖する。 真菌は、染色体が膜に包まれており、 真核生物の仲間である。

脊椎動物(せきついどうぶつ)

脊椎動物(せきついどうぶつ)  学名:Vertebrata

動物の分類のひとつで、後口動物の脊索動物門に属する単系統群である。 脊椎動物以外の動物を便宜上に無脊椎動物という。

脊椎動物とは、哺乳類、鳥類、爬虫類、 両生類、 魚類からなる系統群である。 ただし爬虫類と魚類は側系統群であるので、 単系統群のみを系統群として認める立場からは、 四肢動物、羊膜類、双弓類といった単系統群を用語として用いることになる。

節足動物(せっそくどうぶつ)

節足動物(せっそくどうぶつ)  英語:Arthropod  学名:Arthropoda

節足動物とは、 昆虫・甲殻類・クモ・ムカデなど、 外骨格と関節を持つ動物を含んだ分類群。 分類学上は節足動物門とされる。 動物界最大かつ多様性の最も高い動物門であり、 現生種は全動物種の85%以上を占め、 約110万種が記載される。
陸・海・空・土中・寄生などあらゆる場所に進出し、 様々な生態系と深く関わっている。 なお、いわゆる「虫」の範疇に入る動物は当動物門のものが多い。

学名「Arthropoda」はギリシャ語の(arthron, 関節)と(pous, 脚)の合成語であり、 本動物門の関節に分かれた付属肢(関節肢)に因んで名づけられた。

胎生(たいせい)

胎生(たいせい)  英語:viviparity

胎生とは、動物において、 雌親が体内で卵を孵化させ、 子は親から栄養を供給されて成長した後に体外に出るような繁殖形態のことである。 仏教用語としての「胎生」は、「たいしょう」と読む。

一般に動物は卵の形で新しい個体を形成するが、 卵をそのまま体外に出すのではなく、 雌の体内で孵化させ、子供の形で産む動物がある。 このとき、卵の持つ栄養で子供が成長して生まれるものは卵胎生と呼ばれる。 それに対して、卵から生まれた子が何らかの形で母親の体との連絡を持ち、 母体から栄養などの供給を受けて成長し、 十分に発育した後に生まれてくるものを胎生(たいせい)と呼ぶ。 卵生および卵胎生と胎生の間には連続する様々な中間段階のものが見られ、 卵生~卵胎生~胎生の間は連続変化であり、 それぞれをきちんと定義することはできない。

一般的に言えば、 胎生は親による子の保護の型としては手厚い方に位置するとみなされている。 しかし、 子供を保護することなく大量の子孫を生産するアブラムシやミジンコの多くが胎生であることからもわかるように、 胎生は子供の保護と密接に関連しているとは限らない。 子は親によって栄養補給されるだけでなく、 体内に入れて持ち歩くことで捕食からも保護されている。 また、大きい卵を産む場合は親は産卵までにすべての栄養を集めなければならないのに比べて、 親が自身の栄養補給する際に長期にわたって少しずつ集めればいいので、 負担が少ない。 逆に、母親にとっては子を体内で育てる期間の負担が大きくなる。 そのため、大型の子供を産むものほど一回あたり産子数が少ない。 例えば蛹化寸前の幼虫を産むツェツェバエや多くのサル類、 ウシなどの一回あたり産子数は原則として1匹である。

多細胞生物(たさいぼう せいぶつ)

多細胞生物(たさいぼう せいぶつ)

多細胞生物とは、複数の細胞で体が構成されている生物のこと。
一つの細胞のみで体が構成されている生物は単細胞生物と呼ばれる。
動物界や植物界に所属するものは、すべて多細胞生物である。
菌界のものには多細胞生物と若干の単細胞生物が含まれている。
肉眼で確認できる大部分の生物は多細胞生物である。
多細胞生物を細かく見れば、 原核生物にも簡単な多細胞構造を持つものがあり、 真核の単細胞生物が多い原生生物界にも、 ある程度発達した多細胞体制を持つものが含まれる。
多細胞体制の進化は、その分類群により様々な形を取る。
おおざっぱに見れば、 その生物の生活と深く関わりがあるので、 動物的なもの・植物的なもの・菌類的なものそれぞれに特徴的な発達が見られる。

最も少ない細胞数(4個)で構成されている生物は、 シアワセモ (Tetrabaena socialis)である。

単弓類(たんきゅうるい)

単弓類(学名:Synapsida)は、 有羊膜類に属する脊椎動物の一群である。

脊椎動物のうち、 陸上に上がった四肢動物のグループ(分類群)の一つである。 哺乳類および、古くは哺乳類型爬虫類とも呼ばれたその祖となる生物の総称である。 共通する特徴としては、 頭蓋骨の左右、 眼窩後方(人間でいう「こめかみ」)に「側頭窓」と呼ばれる穴がそれぞれ1つずつあり、 その下側の骨が細いアーチ状となっていることである。 この骨のアーチを解剖学では「弓」と呼んでおり、 このグループではこれを片側に一つ持っているために単弓類と呼ばれる。 爬虫類以上の四肢動物のうち、 片側に「弓」を二つ持っているものは双弓類、 一つも持っていないものは無弓類と呼ばれる。

古生代デボン紀末に現れた両生類石炭紀において多様な種を生み出した。 その中から、胚が羊膜を持つ有羊膜類と呼ばれるグループが生まれた。 かれらはやがて初期のものを除いて二つの大きなグループに分岐していく。 一つは鳥類を含む爬虫類へとつながる竜弓類。 そしてもう一つは哺乳類を含む単弓類である。

単弓類の盛衰は地球の大気に含まれる酸素濃度とも密接に関係している。 菌類がリグニンを含む樹木を分解できなかった石炭紀には植物の光合成により二酸化炭素が吸収されて酸素が放出され、 結果的に石炭が大量に蓄積されて酸素濃度が35%に達し、 ペルム紀以降は、 リグニンの分解能を獲得した菌類による木材の分解により酸素濃度は低下しジュラ紀後期の2億年前には酸素濃度は12%まで低下した。 恐竜とその子孫である鳥類が持つ気嚢は、 単弓類やその子孫の哺乳類が持つ横隔膜方式よりも効率的に酸素を摂取できる機能があり、 低酸素下でもその機能を維持し繁栄することができた。 恐竜はじめ双弓類と競合する単弓類は低酸素下でその種の大部分が絶滅することとなった。

単細胞生物(たんさいぼうせいぶつ)

単細胞生物(たんさいぼうせいぶつ)

単細胞生物とは、1個の細胞だけからできている生物のこと。 体が複数の細胞からできている多細胞生物に対する言葉である。 原核生物と、原生生物に多く、菌類の一部にもその例がある。

単細胞生物には寿命が無いと思われがちだが、 接合による遺伝子交換をさせないよう注意深くゾウリムシを培養するとやはり死に至る。

顕微鏡観察の発達によって、 生物は細胞からなるとの認識が確定する中で、 微生物には細胞に分かれていないものが多々あることがわかってきた。 これらを細胞構造を持たないものだと判断する説もあり、 非細胞性生物という言葉もあったが、 やがて、 それらの体内に多細胞生物の細胞内と共通する構造があることが判明し、 単独の細胞で生活する生物であるとの認識が確定した。

なお、後に原核細胞と真核細胞の差、古細菌と真正細菌の違いが判明した。 それらの差は単細胞生物と多細胞生物の差より遙かに重要なので、 現在では単細胞生物をひとまとめにする分類学的意味はない。

単細胞生物は、細胞一つで養分の摂取から排泄、生殖まで行う。 体は小さく、 大きめの種類でも100~150μm(マイクロメートル)ほど。 大きくても0.1mm程度である。

また単細胞生物は、 「原核生物」と「真核生物」に分けられる。

両者の違いは「核膜に包まれた核」の有無。 核とは細胞内のDNAを包む球形の構造体のことで、 原核生物には核が存在せず、 DNAがむき出しになっている。

爬虫類(はちゅうるい)

爬虫類 / 爬蟲類  学名:Reptilia  英語:Reptile

爬虫類は、 有羊膜類に属する動物の一群である。 爬虫類の「爬」の字は「地を這う」の意味を持つ。 「虫」は「」を意味し、すなわち「爬虫」とは「地を這う動物」を意味する。

広義には鳥類を含むすべての竜弓類有羊膜類からなる単系統群であると定義されている。 現生爬虫類は、カメ、ワニ、恐竜(鳥類を含む)、 有鱗目(トカゲ、ヘビ)、ムカシトカゲ目(ムカシトカゲ)である。 伝統的なカール・フォン・リンネの分類体系では、鳥類は爬虫類と別の区分とされている。 しかし、ワニは他の現生爬虫類よりも鳥類に近縁であるため、 現代の分岐分類体系では鳥類を爬虫類内に含め、分岐群と再定義している。 また、爬虫類という用語を完全に捨て、 哺乳類よりも現代の爬虫類に近いすべての動物を指す竜弓類という分岐群を採用する定義もある。

古生代に地上で生活を全うできる生物群として3億年前に両生類から分かれて進化した爬虫類は急速に多様化した。 そして爬虫類は、 その前にいた両生類に代わり世界を支配し始めた。 中生代には恐竜、翼竜などが、 新生代からは鳥類が繁栄した。 一方、古生代半ばから中生代前半にかけて繁栄した哺乳類の祖先である単弓類(哺乳類形爬虫類)は、 その後の研究並びに分類方法の変更から、 現在は爬虫類には含まれない。

最古の原始爬虫類は約3億1200万年前の石炭紀に誕生し、 乾いた土地での生活に適応してきた高度な爬形類の四足動物から進化した。 最古の真正爬虫類(eureptile)は、 表面的にはトカゲに似た小型のヒロノムスである。 遺伝子や化石のデータが、 爬虫類の2大系統である主竜様類(ワニ、鳥類とその仲間)と鱗竜形類(トカゲとその仲間)はペルム紀の終わり頃に分岐したと主張する。 現存の爬虫類に加えて、 現在絶滅した多様なグループが多く、 中には大量絶滅のイベントによって絶滅したグループもある。 特に白亜紀古第三紀の間の大量絶滅では、 翼竜、プレシオサウルス、すべての非鳥類恐竜が、 多くのワニ型類(Crocodyliformes)や有鱗目(モササウルスなど)と共に絶滅した。 現代の鳥類以外の爬虫類は、 南極大陸を除くすべての大陸に生息している。

孵化(ふか)

孵化(ふか)とは、動物の卵が孵(かえ)ること。

具体的には、卵から新しい個体が脱出してくることである。 英語かな書きでハッチング (Hatching) ともいう。 動物の卵は単細胞であるが、 その表面に受精膜を生じ、 あるいはそれ以外の膜や、 場合によってはある程度硬化した殻を持ち、 それによって内部が守られる。 受精卵が発生することで生じた胚は何らかの膜や殻の中にあって発生を進め、 ある段階まではその殻や膜の中に閉じこめられて、 その中でしか動けない形でいる。 孵化という現象は、 その殻や膜を破って外に出る事によって自分で移動するようになる過程である。

他方で、 孵化までは、 母親から卵黄という形で供給された栄養に頼って生活するが、 孵化後は自分の口から栄養を手に入れて生活することになる。 つまり、新しい個体が独り立ちをする段階とみることもできる。 用語としては、孵化によって胚が幼生に変わる。 ただし、孵化後もしばらくは卵黄を抱えているものもある。 もっとも、ウニのように孵化時には口や消化管が発達していない例もある。 したがって先の説明は孵化の定義でありえるが、 この説明はそうではない。

卵は、卵細胞そのものに由来する場合もあれば、 卵細胞がその外側に様々な物質や殻をまとっている場合もある。 ウニなどでは卵は卵細胞そのものに近く、 胚は受精膜に包まれて発生するので、 孵化はそれを破って出てくることをさす。 昆虫や鳥類では卵細胞は殻に包まれて卵を形成しているので、 殻を破って出てくるのが孵化である。 卵細胞が発生を進めて生じた個体が卵の中にある間はその個体を胚と呼び、 卵から出てくれば、それを幼生と呼ぶ。 爬虫類や鳥類のように、丈夫な殻を持つ動物では、 孵化時の幼生にのみ、殻を破るための特殊な歯を発達させるものがあり、 これを卵歯(らんし)という。

なお、刺胞動物では受精膜は形成されず、 胚は次第に泳ぎ始め、その間に孵化という段階はない。 また、胎生の動物では、胚が受精膜から出てきた段階で孵化と呼ぶが、 このままでは成長できず、子宮壁に着床する必要がある。 卵胎生の場合、孵化は出産と同時であるが、普通は区別されない。

筆石(ふでいし)

筆石(ふでいし)/ フデイシ グラプトライト(Graptolithina)

フデイシは、 主としてカンブリア紀中期から石炭紀前期 (Mississippian) にかけて生息した動物群である。
初期のフデイシである Chaunograptus はカンブリア紀中期の生物である。
Chaunograptus(チャウノグラプトゥス)は、 カンブリア紀中期のバージェス頁岩 から発見されたとされる筆石の属である。
チャウノグラプトゥスの標本11個が大葉脚類層から発見されており、 この属の0.02%を占めている。

学名 Graptolithina はギリシャ語で「書くもの」を意味する graptos、 「岩」を意味する lithos から付けられた。
その名のとおり、 岩の表面に見えているフデイシの化石は、 表語文字のような形をしている。
分類学者のカール・フォン・リンネフデイシを「本物の化石以上に化石に似ている模様」と呼び、 生命の化石ではないと考えていた。

フデイシをヒドロ虫綱の生物と考える学者もいる。
しかし近年では翼鰓綱 Pterobranchia に近い生物と考えられている。

哺乳類(ほにゅうるい)

哺乳類  英語:mammal  学名:Mammalia

哺乳類は、哺乳形類に属する脊椎動物の一群である。 分類階級は普通綱に置かれ、哺乳綱(ほにゅうこう)とされる。 ほ乳類と表記されることもある。 基本的に有性生殖を行い、 現存する多くの種が胎生で、 乳で子を育てるのが特徴である。 ヒト(Homo sapiens)を含む分類群で、 ヒトは哺乳綱の中の霊長目ヒト科ヒト属に分類される。

哺乳類の起源は古く、既に三畳紀後期の2億2500万年前には、 最初の哺乳類といわれるアデロバシレウスが生息していた。 そのルーツは、 古生代に繁栄した単弓類のうち、 キノドン類である。

単弓類両生類から派生した有羊膜類の子孫の一つである。 単弓類は、 ペルム紀末の大量絶滅において壊滅的なダメージを受け、 キノドン類などごくわずかな系統のみが三畳紀まで生き延びている。 一時期再び勢力を挽回するものの、 既に主竜類などの勢力も伸長し単弓類は地上の覇者ではなくなっていた。

そして、 三畳紀後期初頭の大絶滅を哺乳類とともに生き延びたのは、 トリティロドン科のみであった。 ...

恐竜の全盛時代であるジュラ紀、 白亜紀の哺乳類はネズミほどの大きさのものが多かった。 しかし進化が停滞していたわけではない。 白亜紀前期には、それまでの有袋類から分岐してすでに有胎盤類が登場している。 また、中国から発見された大型の哺乳類の化石から未消化の恐竜の子供が見つかっている。 これは、レペノマムスやデルタデリジウムのように哺乳類が恐竜を捕食していた例もあったことを意味している。

恐竜を含む主竜類が繁栄を極めた時代には、哺乳類は、 夜の世界など主竜類の活動が及ばない時間・場所などのニッチに生活していた。 現在、鳥類などに比して哺乳類の視覚が全般的に劣っているのも、 この長い夜行生活を経て大部分の哺乳類の視覚が2色型色覚に退化したためと考えられている。 約6400万年前、鳥類とワニ類を除く主竜類が絶滅し、 次の新生代では、その空白を埋めるように哺乳類は爆発的に放散進化し、 多種多様な種が現れて地上でもっとも繁栄した種となった。 現在では地中や水中などを含め、地球上のほとんどの環境に、哺乳類が生息している。

ミトコンドリア

ミトコンドリア(英語: mitochondrion、英語複数形: mitochondria)

ミトコンドリアは真核生物の細胞小器官である。
二重の生体膜からなり、 独自のDNA(ミトコンドリアDNAmtDNA)を持ち、 分裂、増殖する。

mtDNAはATP合成以外の生命現象にも関与するほか、 酸素呼吸(好気呼吸)の場として知られている。
また、細胞のアポトーシスにおいても重要な役割を担っている。
mtDNAとその遺伝子産物は一部が細胞表面にも局在し、 その突然変異は自然免疫系が特異的に排除する。
ヒトにおいては、肝臓、腎臓、筋肉、脳などの代謝の活発な細胞に数百、数千個のミトコンドリアが存在し、 細胞質の約40%を占めている。
平均では1細胞中に300-400個のミトコンドリアが存在し、 全身で体重の10%を占めている。
ヤヌスグリーンによって青緑色に染色される。

mtDNA
ミトコンドリアDNAとは、 細胞小器官であるミトコンドリア内にあるDNAのこと。
ミトコンドリアが細胞内共生由来であるとする立場から、 ミトコンドリアゲノムと呼ぶ場合もある。

蟲(むし)

(むし)

「虫」の部首の字には、気持ち悪い意味の漢字が多くていやになるのですが、 この「蟲」という字も、 小さなムシがたくさん集まっている様子を表した会意文字で、 あんまり想像したくない風景です。

しかし、現在、私たちが「」という漢字を見て思い浮かべるのは、 ふつう、そうした小さなムシのことではないでしょうか。 実は、もともとはそういった小さなムシのことを表す漢字は「」の方で、 「」はまた別の意味を持っていたのです。

話はややこしいのですが、 「」は甲骨文字では図のように(画像掲載割愛)書かれており、 マムシの象形文字だとされています。 つまりこの「」の字は、マムシに代表されるような、 ヘビのことを表していたようなのです。 発音もチュウではなく、キという音だったとされています。

ところが、かなり早い段階、 紀元前の昔から、 本来ヘビを表す「」の字を、 ムシの意味で用いる例が出てきます。 ムシを表すならば元来、「」を用いなくてはならないわけですが、 やっぱり、「」を三つ書くのはめんどくさかったのでしょう。 そして現代の日本では、当用漢字が制定された際、 ムシのことを表すときには、 「」の字の代わりに「」の字を用いることが正式に定められるに至りました。 ムシの世界は「」に席巻されている、といえましょう。 このように、 「」と「」の関係は、 少々複雑ですので、 注意が必要です。

葉緑体(ようりょくたい)

葉緑体(ようりょくたい)  Chloroplast(クロロプラスト)

葉緑体とは、 光合成をおこなう、 半自律性の細胞小器官のこと。
カタカナでクロロプラストとも表記する。

光合成生物にみられる細胞小器官であり、 プラスチドの一種である。
黄色のカロテノイドや多量のクロロフィルを含むので一般的には緑色に見える。
ただし褐藻の葉緑体はクロロフィルのほかにフコキサンチンを持っているため褐色に、 紅藻はフィコビリン色素をもっているため紅色に見える。

種子植物など一般的には葉緑体は植物の葉に存在するが、 茎や枝、花弁や果実などの器官でも葉緑体が発達する場合がある。

体制が単純な藻類では、 細胞ひとつあたり1個の球形の葉緑体を含んでいる。
それが多細胞の紅藻、褐藻、緑藻などになってくるとカップ状、星状、螺旋形、板状など様々な形の大きな葉緑体を、 1個ないし数個ほど含むようになる。
これがさらに多細胞の緑藻や陸上植物ともなると、 細胞ひとつあたり、 通常10 - 数百個ほど含まれることになる。

その大きさや形状について言えば、 多細胞植物の多くでは、 直径が5 - 10μm程度厚さが2 - 3μm程度の凸レンズ形である。

裸子植物(らししょくぶつ)

裸子植物(らししょくぶつ)  英語:gymnosperms  学名:Gymnospermae

裸子植物は、 胚珠が心皮によって包まれず、 露出状態になっている種子植物である。 3.8億年前のデボン紀末期に出現し、 種子植物の中で、祖先的な特徴を持つ。

本項で示す「裸子植物」は、 西田 (2017) で示される、 裸子段階の種子植物を含む群として扱う。

現生裸子植物は旧来ソテツ類、イチョウ類、 針葉樹類(マツ類 + ヒノキ類; 球果類[8][4]・球果植物とも)、 グネツム類の4群に分けられ、 合わせて単系統群を形成する。 しかし、分子系統解析による決着がつくまでは、 現生裸子植物は側系統だと信じられており、 特にグネツム類は被子植物と姉妹群をなすという考えも強く、 それぞれの群の類縁関係についても議論が多かった。 また、分子系統解析から、グネツム類はマツ類と姉妹群をなすと考えられ、 針葉樹類の内群となる。 現在では、 グネツム類と被子植物の多くの類縁性は収斂であるとみなされている。

化石裸子植物を含めると裸子植物は側系統となる。

藍藻類(らんそうるい)

藍藻類(らんそうるい)  英語:blue-green algae

藍藻とは、 文字通り藍色の藻類のことで、 他の藻類や陸上の植物と同じように、 太陽エネルギーによって光合成を行い酸素を発生する。 光合成を行い光合成細菌と総称されるグループは他にも存在するが、 酸素発生型光合成を行う細菌は藍藻のみである。

藍藻は、 系統的には細菌ドメイン (真正細菌) に属する原核生物であり、 他の藻類よりも大腸菌や乳酸菌などに近縁である。
そのため、 シアノバクテリア (藍色細菌) (cyanobacteria) とよばれることも多い。

竜弓類(りゅうきゅうるい)

竜弓類(りゅうきゅうるい)  英語:Sauropsida
蜥形類(せきけいるい)

竜弓類は、 有羊膜類に属する脊椎動物の一群である。 竜弓類は、 有羊膜類の二大グループの一方で、 哺乳類よりもワニやトカゲに近縁な生物の総称。 他にカメ、恐竜、鳥類、ヘビなどを含む。 中竜類(絶滅)と爬虫類に分岐。 中竜類の分類によっては、爬虫類の後行異名になる。

石炭紀中期、 爬形類の中に発生の初期段階に胚が羊膜を持つことで陸上での産卵が可能となったグループ、 有羊膜類が現れた。 かれらは水際から離れる事の出来ない両生類とは異なり、 乾燥した陸上生活に完全に適応し、 急速に分布をひろげていった。 そうした中から二つの大グループが現れる。
  1. 哺乳類へとつながる単弓類。
  2. (鳥類を含む)爬虫類へとつながる竜弓類
石炭紀中期には両者は分岐していたと思われる。

両生類(りょうせいるい)

両生類(りょうせいるい)とは、 脊椎動物亜門両生綱 (Amphibia) に属する動物の総称である。

両生類は、 古生代石炭紀頃以降、 多くの化石種が知られている。 しかしながら、現生のものは、 長い尾を持ち、短い四肢のある有尾目(サンショウウオなど)、 尾がなく体幹が短くまとまって四肢の発達した無尾目(カエル類)、 それに四肢を失い、細長い体の無足目(アシナシイモリ類)の3群のみである。 両生類は、 約3億6000万年前に陸上したと考えられており、 これが脊椎動物の中では初めて陸上生活が可能となった事例だと考えられている。 ただ陸上生活が可能とは言っても、 その身体の構造、生活史、生理、生殖などにおいて、 陸上生活への適応を示しながらも不十分であり、 水辺への依存度が強いという特徴を持っている。 特に幼生は、一般に水中生活をしているなど、基本的に水中環境が欠かせない。

現生の種は、ほぼ全てが淡水域を生活の場としている。 原始的な形では卵を水中で産卵し、幼生は四肢を持たない形で生まれ、 鰓呼吸で水中生活を行う。 その後変態を経て肺呼吸で出来る成体になる。 ただし、多くの例外があり、 その生活は多様である。 基本的に皮膚呼吸に頼る面が多いことから乾燥に弱いため、 水辺などの湿った環境が生息域の中心であり、 陸上で活動可能な体を持ちながら、 生活や繁殖を水に依存した生涯を送ることからこの名がある。 「両生」類の名は、水中生活と陸上生活の両方が可能という意味ではなく、 両方の環境が必要な動物であるという意味である。

本来、欧名を漢訳した両棲類、両棲綱であったが、 「棲」の字が常用漢字に含まれないため、 現在は多くの場合「両生類」「両生綱」と書かれる。 20世紀後半から、 世界的に両生類の減少が著しく、多くの両生類が絶滅しつつある。 カエルツボカビ症をはじめとする感染症や吸虫の被害のほか、 粘膜に覆われた脆弱な皮膚が、環境変化への対応を困難にし、 個体数の減少をもたらす原因になっていると考えられている。 一説に因ればこのままのペースで減少が続くと、 50年以内に全ての両生類が絶滅するとも言われている。

西田治文(にしだ はるふみ) 西暦1954年 -

日本の植物学者。中央大学理工学部教授。千葉県生物学会第4代会長。

専門は、植物の化石から当時の環境や生態系を明らかにする「古植物学」である。

有羊膜類(ゆうようまくるい、英語: Amniota)あるいは羊膜類(ようまくるい)は、 爬形類に属する脊椎動物の一群である。

四肢動物のうち、発生の初期段階に胚が羊膜を持つものの総称。 鰓を持たないことから無鰓類とも呼ばれる。

有羊膜類が分岐して、 爬虫類や哺乳類が生まれた。 有羊膜類そのものは両生類には分類されない。 分岐分類では有羊膜類も両生類に内包される。

石炭紀後期に四肢動物類の両生類から進化した。 両生類の中からは陸上産卵する系統が何度も進化しているが、 羊膜はこうした系統のひとつで、 陸上に生みつけられた卵黄の多い大型卵の中で、 胚の呼吸を容易にする呼吸器官として進化したと考えられている。

羊膜の存在によって、 陸上で大型の胚が呼吸することが容易になったのみならず、 陸上において、羊膜腔という、 生理的にホメオスタシスのコントロール下に置かれた空間の中で胚が発生することが可能になり、 発生プロセスにおいて外界の環境変動から胚を保護することが、 より容易になった。 さらに、卵殻の進化によって水分の蒸散が抑えられ、 また発生に必要な水分の貯蔵庫として保水性の強い卵アルブミンから成る卵白が進化したことによって、 水辺以外にも棲息範囲を広げることが容易になった。

有羊膜類は、両生類から石炭紀の後期、約3億1200万年前に分岐した。

有羊膜類は、初期に竜弓類と単弓類の2系統に分化した。 後に竜弓類の系統から爬虫類が、 単弓類の系統から哺乳類が生まれた。

蛹化(ようか)

昆虫の幼虫が変態し、さなぎになること。

蛹は「さなぎ」の意。