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鉱物

作成日:2024/8/20

鉱物
鉱物(こうぶつ)  英語:mineral(ミネラル)

鉱物とは、 一般的に、地質学的作用により形成される、 天然に産する一定の化学組成を有した無機結晶物質のことを指す。 国際鉱物学連合では鉱物(mineral substance)を「地球や地球外の天体で、地質作用を経て自然に生成した固体」と定義しており、 この粒子(鉱物)の集合体を岩石という。 そして、この鉱物や鉱物の集合体(岩石)のうち、 人の生活上役に立つもの、 特に資源として有用なものを鉱石という。 なお、広義の非金属鉱物や生体鉱物のように、 鉱物は文脈によっては広く捉えられることもある。

鉱物金属鉱物非金属鉱物に分けることができ、 金属鉱物は一般に元素(金属)の状態で利用されるのに対し、 非金属鉱物は化合物の形で利用されるものが多い。 水銀に関連して、 水銀鉱物として辰砂、アマルガム、メタ辰砂、角水銀鉱、モントロイ石、リビングストン石などとともに自然水銀が挙げられる。 常温常圧で液体の天然物質のうち、 自然水銀は例外的に鉱物の1つとして扱われている。 なお、非金属鉱物については、 広義には石炭、亜炭、石油、アスファルト、可燃性天然ガスまで含むこともあるが、 これらは「燃料鉱物」とも称され、 分けて取り扱われることが多い。 ...

国際鉱物学連合の定義では地質作用の関わりがあるものに限定しており、 骨、歯、貝殻などの生物の硬組織や、 樹液が乾固した天然の固体無機化合物などを鉱物から除外している。 ただし、歯、骨、貝殻など生物が生成する硬い組織の一部は鉱物と同じ物質からできており、 これらは「生体鉱物」と称されることがある。 特に特殊なバクテリアや、 海底の熱水の噴出口に生息する貝類などが作る鉱物と同じ物質は、 鉱物科学の研究対象になっている。

多くの鉱物はほぼ一定の化学組成で、 かつ何らかの結晶としての性質をもつ。 鉱物の色は、 化学組成による本来の色に由来している場合と微量成分などの影響を受けている場合とがある。 鉱石は鉱物や鉱物の集合体(岩石)のうち特に資源として有用なものを指すが、 歴史的には18世紀から20世紀初頭にかけて発見された元素の多くが鉱物から単離、 発見された経緯があり、 その文脈で「鉱石」との記述がみられる。
よみがな順で記載する。

ジルコン

ジルコン  英語:zircon  化学組成:ZrSiO4

ジルコンとは、 化学組成 ZrSiO4で表される、 ジルコニウムのケイ酸塩鉱物である。 結晶系は正方晶系を取る。 ヒヤシンス鉱風信子鉱風信子石とも言う。

火成岩中に微小な結晶として、ジルコンは地球上で広く産する。 風化や変質に強い鉱物なので、 砕屑粒子として、 砂岩などの堆積岩にも広く見られ、 これをジルコンサンドなどと呼ぶ。 また、それらが変成した岩石にも含まれる。

オーストラリアのジャックヒルズで、 地球最古の鉱物として見つかっている。

性質・特徴

ジルコンは、通常、ZrSiO4に近い化学組成を持つ。 比重は 3.9 - 4.7、モース硬度は 7.5である。 純粋な物は無色だが、不純物や結晶欠陥によって着色している場合がある。

ジルコニウムは第4族元素の1つであり、 さらに、同じ第4族元素のハフニウムとは金属結合半径やイオン半径が近い。 地球の地殻での濃度はジルコニウムの方が多いものの、 ハフニウムも地殻中に存在する。 このため、 ジルコニウムの一部はハフニウムにより置き換えられ易い。 特に、ハフニウムの割合が多い鉱物は、ハフノン(HfSiO4)と呼ばれる。

天然に産出したジルコンは、微量成分として希土類元素や、 ウラン、トリウムなどを含む。 ウランやトリウムを多く含む場合は、 これらの原子核が崩壊した際に発生した放射線による損傷で、 メタミクト化現象が起きている場合がある。

用途・加工法

ジルコンは、ウラン、トリウムに富み、鉛に乏しいので、 ウラン・鉛法あるいはトリウム・鉛法の放射年代測定の対象鉱物として重要である。 フィッショントラック法による年代測定にも広く用いられる。

また、無色透明のジルコンはダイヤモンド類似石として、 古くから装飾用の宝石として用いられている。 ただし、合成品のキュービックジルコニアとは組成が異なる。

ジルコングループ