天地開闢とは、 天と地が開闢した(開き分かれる)こと、 つまり世界の始まりのことである。
「もともと混沌として一つであった世界が、 天と地に分離した」とする中国の古代思想を背景に成り立っている。
国学者本居宣長の判断では、 「陰陽別れず、混沌として」の一文は中国の文(思想)から借りたもので、 「国土漂いて、魚の水に浮かべるが如くなり」の一文を、 「実の上ツ代の伝え説」としている(『神世七代』)ことからも、 近世から中国思想の影響は指摘されていることである。
日本以外にも各地に創造神話、創世神話がある。
一般に、
日本神話の天地開闢といえば、
近代以降は『古事記』冒頭の「天地初発之時」が想起される。
ただし、
ここには天地がいかに創造されたかの記載はない。
次に、二柱の神が生まれた。 二柱とも性別はなく、これ以降、神話には登場しない。
引き続いて五組十柱の神々が生まれた。 五組の神々はそれぞれ男女の対の神々である。
男性神 | 女性神 |
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宇比地邇神(うひぢにのかみ) | 須比智邇神(すひぢにのかみ) |
角杙神(つのぐひのかみ) | 活杙神(いくぐひのかみ) |
意富斗能地神(おほとのじのかみ) | 大斗乃弁神(おほとのべのかみ) |
於母陀流神(おもだるのかみ) | 阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ) |
伊邪那岐神(いざなぎのかみ) | 伊邪那美神(いざなみのかみ) |
『日本書紀』における天地開闢は、
渾沌が陰陽に分離して天地と成ったと語られる。
続いてのシーンは、
性別のない神々の登場のシーン(巻一第一段)と男女の別れた神々の登場のシーン(巻一第二段・第三段)に分かれる。
また、
先にも述べたように、
古事記と内容が相当違う。さらに異説も存在する。
天地の中に葦の芽のようなものが生成され、神となる。
男性神 | 女性神 |
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埿土煮尊(うひぢにのみこと) 埿土根尊(うひぢねのみこと) |
沙土煮尊(すひぢにのみこと) 沙土根尊(すひぢねのみこと) |
大戸之道尊(おほとのぢのみこと) 大戸摩彦尊(おほとまひこのみこと) 大富道尊(おほとまぢのみこと) 大戸之辺尊(おほとのべのみこと) |
大苫辺尊(おほとまべのみこと) 大戸摩姫尊(おほとまひめのみこと) 大富辺尊(おほとまべのみこと) |
面足尊 (おもだるのみこと) |
惶根尊 (かしこねのみこと) 吾屋惶根尊(あやかしこねのみこと) 忌橿城尊(いむかしきのみこと) 青橿城根尊(あをかしきねのみこと) 吾屋橿城尊(あやかしきのみこと) |
伊弉諾尊(いざなぎのみこと) | 伊弉冉尊(いざなみのみこと) |
天鏡尊、天万尊は宋史日本伝の引く年代記の他には見えず、また国常立尊・天鏡尊・天万尊・沫蕩尊・伊弉諾尊の並びは当年代記の一部に一致する。