小窓
地球(小窓集)

作成日:2023/12/10

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オゾン

オゾン(ozone)

オゾンは、 3つの酸素原子からなる酸素の同素体である。
分子式はO3で、 折れ線型の構造を持つ。
腐食性が高く、 生臭く特徴的な刺激臭を持つ有毒な気体である。
地球の大気中にとても低い濃度で存在している。

常温常圧では薄青色の気体である。
沸点は111.9 ℃ (161.25 K) で紺色の液体となり、 凝固点-197.2 ℃ (75.95 K) で濃紫色の固体となる。

オゾンはフッ素に次ぐ強い酸化力を持つため、 高濃度では猛毒である。
吸い込むと内臓が酸化されてびらん状になる。
日本における作業環境基準は0.1ppmである。

オゾンは、 オランダの科学者Martinus Van Marumによって西暦1785年にその存在が発見された。
その後、 西暦1840年に、 ドイツ・スイスの化学者であるクリスチアン・シェーンバインによって、 オゾンが酸素から形成されることが発見された。

彼は雷雨の中でオゾンが現れることに注目し、 そしてその奇妙なにおいから、 ギリシャ語で「臭い」を意味する ὄζειν (Ozein) に因み Ozon と名付けた。

オゾン層

オゾン層  英語:ozone layer

オゾン層とは、地球の大気中でオゾンの濃度が高い部分のことである。
オゾンは、高度約10 - 50kmほどの成層圏に多く存在し、 特に高度約25 kmで最も密度が高くなる。

一般的には、 大気中のオゾンの9割が存在する成層圏の高濃度オゾン帯を指し、 高度10 - 50km付近とされる。
オゾン層のいくつかの定義を挙げると。

ちなみに、 オゾン濃度が最も高いのは高度20 km付近で、 1立方センチメートル (cm2) あたり約1013個(=10兆個)のオゾン分子が存在する。
また、 オゾンの混合比(乾燥空気に対する質量比)が最も高いのは高度30 km付近で、9 - 10 ppmである。

クラトン

クラトン(英: Craton、独: Kraton)は、 大陸地殻のうち、カンブリア紀以前(つまり、先カンブリア時代)に安定化した部分で、 造山運動を受けなくなった地帯を指す。 安定陸塊(あんていりくかい)、安定地塊(あんていちかい)、剛塊(ごうかい)とも呼ばれる。
楯状地プラットフォーム(卓状地)とほぼ一致し、造山帯、付加体に対立する概念である。

代表例としては、カナダ楯状地を包含する北アメリカ・クラトン、インド楯状地、東ヨーロッパ・クラトン、東南極クラトンなどがある。 これらは、最低でも過去5億年、 大陸の合体や超大陸の分離(ウィルソンサイクル)の影響をほとんど受けなかった大陸地殻の古い安定な部分であり、 中には30億年以上存在してきたものもある。
地表の侵食が進み、台地や準平原、構造平野などを形成している。

クラトンは、通常は大陸の内部で見つかる。 特徴として、花崗岩などの軽量の珪長質の火成岩から成る、古代の結晶質基盤岩の地殻からできている。 これらは、厚い地殻と、マントル の中、200 kmの深さまでおよぶ根(下部リソスフェア)を持っている。

クラトンという用語は、 安定な大陸の内陸部分を、 沈み込み帯などに伴って形成される、 帯状の堆積物が成す地向斜性トラフ(つまり付加体)などから区別するのに使われる。
散在する各大陸の中央クラトンは、 楯状地プラットフォームおよび結晶質基盤岩とほぼ一致する。 楯状地クラトンの一部であり、 通常は先カンブリア時代の岩盤が、 地表に散発的に露出している場所である。
これに対して、 プラットフォームは基盤岩が水平、 またはほぼ水平な堆積物の層によって覆われたものである。

クラトンという用語は、 ドイツ人地質学者 L. Kober により、 西暦1921年に安定な大陸の台地(陸塊)"Kratogen"として導入された。
また同時に、"orogen" が山あるいは造山帯を指す用語として導入された。
後代の著作者たちが、前者を kraton と縮め、これがさらに craton となった。

原始大気(げんしたいき)

原始大気

いまからおよそ45億年前の地球誕生直後の大気を原始大気といい、 現在の窒素および酸素を主とする組成(窒素78%、酸素21%、二酸化炭素0.03%)とは大きく違ったものであった。
原始大気の主成分は、 微惑星の衝突により放出された高温・高圧の二酸化炭素が96%を占め、 ほかに、 一酸化炭素、 窒素などからなり、 酸素はほとんど存在しなかったと推定されている。

また、 大気の厚さは現在の70倍もあり、圧力、温度ともに非常に高かった。 海の形成とともに二酸化炭素は海に溶け込み、 さらに石灰岩(CaCO3)として固定された。
地球大気に酸素が蓄積されはじめたのは、 約35億年前にらん藻類が誕生し、 光合成により酸素が供給されはじめてからである.

縄文海進(じょうもんかいしん)

縄文海進は、 地質学的には完新世海進、 後氷期海進(Holocene glacial retreat)を指す海進である( 日本では有楽町で最初に調べられたことから有楽町海進とも呼ぶ。)。 すなわち最終氷期の最寒冷期後(19,000年前)から始まった温暖化にともなう海水準上昇を指す。 日本では縄文時代の始まり(16,000年前)に近い。 海水準上昇は約120メートルにおよんだ(年速1-2cm)。

ピーク時である約6,500年 - 約6,000年前まで上昇が続いた。 ピーク時の気候は現在より平均気温が1-2℃高かった。 なお特にピーク時およびその数百年間の海進を強調し縄文海進と呼ぶ場合もある。

この海面上昇は、 沖積層の堆積より速かったので、 最終氷期に海岸から奥深くまで河川により侵食された河谷にはピーク時には海が入り込み大規模な内海が形成された。

この時期は最終氷期終了の後に起きた世界的な温暖化の時期に相当する(完新世の気候最温暖期)。 また、北半球の氷床が完新世では最も多く融けていたため、 世界的に海水準が高くなった時期に当たる。

この温暖化の原因は地球軌道要素の変化による日射量の増大とされている。 しかし、日射量のピークは9,000年前であり、 7,000年前の海進のピークとは差がある。 近年の地球温暖化の議論では、 過去の温暖化の例として、 小説などでもしばしば取り上げられている。 例えば、西暦2005年に出版され話題となった中沢新一『アースダイバー』は、 東京における縄文海進による水没範囲を実際よりも過大に示しているが、 この本をフィクションと考えない人も多く、 誤解を生む原因になっている。

成層圏(せいそうけん)

成層圏(せいそうけん) 英語:stratosphere

大気の区分の一つで、対流圏の上で中間圏の下に位置する部分をいう。
成層圏の下端である対流圏界面(単に圏界面ともいう)の高度は、 高緯度地方では10キロメートル前後、 熱帯では約17キロメートルである。
中緯度の代表である標準大気では11キロメートルとなっている。
成層圏の上端である成層圏界面の高度は48キロメートルである。

中・高緯度では、 高度20キロメートルあたりまで気温はほぼ一定(零下50ないし60℃)で、 それより上では高さとともに気温は上がり、 成層圏界面で最高に達し約0℃となる。
低緯度では、零下70℃前後の圏界面を越えると気温は上昇傾向に転じる。

大地溝帯(だいちこうたい)

大地溝帯(だいちこうたい) / グレート・リフト・バレー(Great Rift Valley)   [アフリカ大陸]

大地溝帯は、 主にアフリカ大陸を南北に縦断する巨大な谷で、 プレート境界の一つである。
大地溝帯の谷は、 幅35km - 100km、 総延長は7,000 kmにのぼる。
正断層*で地面が割れ、 落差100 mを超える急な崖が随所にある。

【正断層*】  正断層(normal fault)は、 水平方向に引張応力がかかっている場所に存在する。
地下に斜めに入った割れ目を境に、 片方が他方の上をすべり落ちるような方向で動いてできたもの。

幅約 50~60km、 全長約 6400kmにわたり、 北は西アジアのヨルダン地溝帯から南はモザンビークのマプト湾(ローレンソマルケス湾)にいたる。 東帯と西帯に分かれ、 東帯はヨルダン峡谷から紅海、 エチオピア高原のアファール陥没地域、 トゥルカナ湖(ルドルフ湖)、 ナイバシャ湖、 ナトロン湖、 マニャラ湖、 マラウイ湖(ニアサ湖)を経てマプト湾まで及ぶ。 西帯はモブツセセセコ湖(アルバート湖)、 エドワード湖、 キブ湖、 タンガニーカ湖、 ルクワ湖を擁する。 モブツセセセコ湖からは北にアルバートナイル川が流れ、 南にはザンベジ川の支流シーレ川がマラウイ湖からインド洋に注ぐ。
陥没の影響によりアビシニアの溶岩台地、 ケニア山、 キリマンジャロ山、 メルー山、 ムベヤ山(以上東帯)、 ルウェンゾリ山、 ムハブラ山(西帯)などの火山が噴出し、 一大火山帯を構成している。
プレートテクトニクス説によると、 ここにプレートの湧出口を生じ、 マントル対流によってアフリカ大陸が東西に裂かれているとされる。 ...

大陸移動説

大陸移動説  英語:continental drift theory, theory of continental drift

大陸移動説は、 大陸は地球表面上を移動してその位置や形状を変えるという学説。 大陸漂移説(たいりくひょういせつ)ともいう。

発想自体は古くからあり様々な人物が述べているが、 一般にはドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナー西暦1912年に提唱した説を指す。

アルフレート・ヴェーゲナー大陸移動説は、 発表後長く受容されなかったが、 現在はプレートテクトニクス理論の帰結のひとつとして実証され受け入れられている。

タンガニーカ湖

タンガニーカ湖(タンガニーカこ、Lake Tanganyika)は、 タンザニア西端にある淡水湖。 湖の東岸はタンザニア、湖の西岸はコンゴ民主共和国に面しており、 南端部はザンビア、北東端はブルンジに面する。

海抜773mに位置し、 東西40 - 50km、南北670kmに細長くのびる。
面積は32,900km2で、 アフリカではヴィクトリア湖に次いで2位、 世界で6位。
深さは平均水深570m、最大水深1,470mでアフリカで1位、世界ではバイカル湖に次いで2位。
周囲は1,900km、貯水量約18900km3。 水量もバイカル湖に次いで2位である。
バイカル湖に次ぐ世界で2番目に古い古代湖(推定2000万年)といわれる。

非常に深いこと、 低緯度地方にあることから気温の季節変化が非常に少ないことなどから湖水の上下循環がきわめて悪く、 深層の水は流動せず、「化石水」と呼ばれる貧酸素水塊となっている。
循環が悪いため湖水は水温によって層をなしており、 これが崩壊することはない。
しかし、 5月から9月における乾季には強い南風が吹くため、 その力によって湖の南端で中層の水が湧き上がる。
また、 それ以外の季節でも湖の南北両端においては中層からの水の上昇がある。
この水は栄養分を多量に含んでおり、 貧栄養湖であるタンガニーカ湖において貴重な養分の主な供給源となっている。 ...

地球磁場の誕生

地球磁場の誕生

約27億年前、 地球内部のマントル及び核の動きが整い、 外核の鉄が磁石のように働き始め、 磁気を放出し始めた。
地球を磁気のバリアが包むようになり、 太陽風(放射線)により地球まで到達していた生命に有害な荷電粒子(主に陽子・電子)は、 磁気圏のバリアに遮られるようになった。
それまでは、 生命は有害な荷電粒子を避けるため、 深海にしか生存出来なかった。
宇宙から降り注ぐ放射線は、 DNAを破壊し生命の存在を許さなかったからである。

超大陸の形成と破壊

一般に超大陸という用語は、 現在存在する大陸から構成される広大な陸地を参照するために使用されている。
そのような広大な陸地は、 大陸移動説によると、 約4億年から5億年ごとに形成され、 あるいは破壊されることになる。

超大陸地球内部からの熱の流れを閉鎖するため、 下層のアセノスフェア(岩流圏)を過熱させる。
結局、 上層のプレートを成すリソスフェア(岩石圏)は上向きに押されて割れてゆく。
マグマが上方へわき出て、 超大陸の破片が別々の方向へ押されることになる。

しかし、 分裂した大陸片はしばしば再び結合する。
他の場所で分裂して反対方向に向かってきた別の大陸片と衝突することもあるし、 そうでなくとも地球表面は球面であるので、 反対方向に分裂した破片同士はいずれどこかで出会う可能性が高い。
こうして、 超大陸が再形成される。

再形成された超大陸はしばらくするとまた分裂を始め、 以上を繰り返す。
これをウィルソン・サイクルと呼ぶ。

テレーン

テレーン(terrane)

周囲を規模の大きな断層によって境され, 周辺地域と構成岩石や形成史が異なっている地域のこと。
地帯構造区分の単位に用いる記載用語。 西暦1980年代からプレートテクトニクスに関連して、 しばしば用いられるようになった。

たとえば日本の美濃テレーンのように、 地名をつけて固有名として使われる。

英文】翻訳
地質学におけるテレーンとは、 構造地層学上のテレーンの略称で、 ある構造プレート上で形成された、 またはそこから分離し、 別のプレート上にある地殻に付加または「縫合」された地殻物質の断片です。

地殻ブロックまたは断片は、 周囲の地域とは異なる独自の地質学的歴史を保持しています。 そのため、「exotic」テレーンと呼ばれます。

テレーンとそれが付着する地殻の間の縫合帯は、 通常、断層として識別できます。 テレーンの古い用法は、 一連の関連する岩石層、 または特定の岩石または岩石グループが優勢な地域を単に表していました。

バイカル湖

バイカル湖   誕生:約3,000万年前約3,000万年前約3,000万年前約2,500万年前

タタール語で「豊かな湖」を意味するバイカル湖は、 ロシア南東部のシベリア連邦管区のブリヤート共和国とイルクーツク州・チタ州に挟まれた三日月型の湖である。 「シベリアの真珠」とも、 ガラパゴス諸島と並ぶ「生物進化の博物館」とも称される。

南北680km×東西幅約40-50km(最大幅80km)に及ぶ湖水面の面積は31,494 km2(琵琶湖のおよそ46倍)。 カスピ海(塩湖)や20世紀後半から急速に面積を縮小しているアラル海を除くとアジア最大である。 淡水湖で比較した場合、 面積は世界最大のスペリオル湖には及ばないものの、 最大水深が1,634 - 1,741mと世界で最も深い。 湖面は標高456mにある。
なお、 西暦1956年初頭にアンガラ川に建設されたイルクーツク・ダムの影響で水位は1.4m上昇した。

貯水量 23 × 104 km3も世界最大であり、 世界中の凍っていない淡水の17 - 20 %がここにあるとされる。 水質も日本の摩周湖に代わり世界最高の透明度を誇る湖であり、 西暦1996年に世界遺産に登録された。 セレンガ川、バルグジン川、上アンガラ川など336本の河川が流入するが、 流出する河川は南西端に近いアンガラ川のみである。 そのため、水量が常に豊富である。 湖には最大のオリホン島(面積730km2、奄美大島に匹敵)を初め22の島々がある。

湖は北西にバイカル山脈、 北東にバルグジン山脈、 その他の山々に囲まれている。 湖底にはオロホン島から続くアカデミシャンリッジ(湖嶺)と湖上に顔を出すウシュカニ諸島があり、 これとセレンガ川デルタによって大きく3つの地質構造に区分される。 それぞれ「北湖盆」、「中央湖盆」、「南湖盆」であり、 このうち中央湖盆が最も深いが、北・南湖盆も1km前後の水深を持つ。 バイカル湖および周辺の自然保護のためには、 湖の西側に沿バイカル国立公園(南)、 バイカロ・レンスキー自然保護区(中央、レナ川源流)、 湖の東側にザバイカリスキー国立公園(南)、 バルグジン自然保護区(中央)、 湖の南側にバイカル自然保護区が設けられている。

琵琶湖

琵琶湖(びわこ)  誕生:約400万年 または 600万年前

琵琶湖は、滋賀県にある日本最大の面積と貯水量を持つ湖。 一級水系「淀川水系」に属する一級河川で、 国土交通大臣から委託を受けて滋賀県知事が管理を担う。 湖沼水質保全特別措置法指定湖沼で、ラムサール条約登録湿地でもある。

琵琶湖は世界の湖の中でも、 バイカル湖タンガニーカ湖に次いで成立が古い古代湖であるとも、 世界で13番目に古い湖であるとも推定されている。 琵琶湖は、 約4万年前に日本列島がユーラシア大陸から完全に分裂する前にできた。 琵琶湖は約400万年~600万年前に、 現在の三重県伊賀市平田に地殻変動によってできた構造湖であった(大山田湖)。 湖は次第に北へ移動し、 現在から約100 - 40万年前、 比良山系によって止められる形で現在の琵琶湖の位置に至ったという。

大山田湖以前、 現在の琵琶湖の位置には山(古琵琶湖山脈)があり、 鈴鹿山脈は未だ隆起せず、 今日の琵琶湖東南部の河川は伊勢湾へ流れていた。 それを裏付けるように、 鈴鹿山脈の主要な地質は礫岩である。 また、 琵琶湖に流入する最大の川で、 東南に位置する野洲川は、 当時西方ではなく、 東方へ流れていたという。

西岸には、 琵琶湖西岸断層帯が東北-南西方向に延び、 断層帯北部の最新活動時期は約2800年前から約2400年前頃とされ、 活動時には断層の西側が東側に対して相対的に2mから5m程度隆起した可能性がある。
断層帯南部の最新活動時期は西暦1185年(元暦2年)の文治地震であった可能性があり、 活動時には断層の西側が東側に対して相対的に6mから8m程度隆起した可能性があるとされている。 ...

プルームテクトニクス

プルームテクトニクス(plume tectonics)、スーパープルーム

プルームテクトニクスは、 西暦1990年代以降の地球物理学の新しい学説。
マントル内の大規模な対流運動をプルーム (plume) と呼び、 この変動をプルームテクトニクスと命名した。
プレートテクトニクス理論が地球の表面に存在するプレート(厚さ約100km)の変動(テクトニクス)を扱うのに対し、 この説では深さ2,900kmに達するマントル全体の動きを検討する。
日本の深尾良夫(元東京大学地震研究所)や丸山茂徳(東京工業大学地球生命研究所)が提唱している。

プルームとは(羽毛のように舞い上がる)「煙」を意味する。
マントルは半径約6,357kmの地球の中で、 深さ数十km - 約2,900kmまでの範囲を占めているが、 その中を下降するプルーム(コールドプルーム)と上昇するプルーム(ホットプルーム)が存在する。
プルームの上昇・下降とも、通常時は深さ670kmの所でいったん停滞する。
この部分は上部マントルと下部マントルの境目に当たり、 マントルを構成する鉱物がこの位置の温度と圧力を境に相変化するため、 この上下でマントルの密度や固さが大きく変化すると想定されている。
プルームが深さ670km付近を超え大きく上昇、 あるいは下降したものをスーパープルームという。

プレートテクトニクス

プレートテクトニクス(plate tectonics)/ プレート理論

プレートテクトニクスは、 西暦1960年代後半以降に発展した地球科学の学説である。 地球表層部で起こる地震、火山噴火、造山運動など、 地学現象の原因やメカニズムを、 地球表面を覆うプレートの水平運動で説明する考えである。

地球表面は厚さ約100kmの10枚余りの硬い板(プレート)で覆われていて、 各プレートが違った方向に動いているため、 互いの境界は離合し、衝突するか、または、ずれる。 離れる部分(リフト)は中央海嶺や大地溝帯、 ぶつかり合う所は海溝や大山脈で、 ずれる部分がトランスフォーム断層である。

海底は中央海嶺で誕生し両側へと拡大、 海溝から地球内部へ沈み込む。 地震の発生機構と海底の拡大速度などから、 プレート運動がある軸のまわりの回転運動であることが証明され、 旧来の静的な地球観は覆された。 プレート運動の原動力として、 沈み込むプレート自身の引っ張り力や、 マントル内で上昇・下降するプルームによる流動などが考えられている。
ドイツの気象学者ウェゲナーが唱えた大陸移動説を裏付けた。 「大陸移動説」では、「このプレート(岩盤)が移動することにより、 上にある大陸が移動する」という説であった。 (ただし、当時ウェゲナーが大陸移動説を唱えたときに「プレート」という概念はなく、単に大陸が移動するという説であった)

プレートを大きく分けると、 「大陸プレート(陸のプレート)」と「海洋プレート(海のプレート)」の2つに分かれる。
大陸プレートは軽く、海洋プレートは重い。 そのため、 大陸プレートと海洋プレートがぶつかると、 海洋プレートが下に沈み込んで地球の内部へ進んでいく。 プレートが沈み込む溝を「海溝(かいこう)」という。 ...

地球の内部構造
地球は、 半径約6,400キロメートルであるが、 その内部構造を物質的に分類すると、 外から順に下記のようになる。
  • 深さ約5 - 40キロメートルまで : 地殻
  • 深さ約670キロメートルまで : 上部マントル - 最上層、低速度層(アセノスフェア、岩流圏)、遷移層
  • 深さ約2,900キロメートルまで : 下部マントル - メソスフェア(固い岩石の層)
  • 深さ約5,100キロメートルまで : 外核(外部コア)
  • 中心 : 内核(内部コア)
地殻とマントルは岩石で構成されており、 核は金属質である。
マントルを構成する岩石は、 地震波に対しては固体として振舞うが、 長い時間単位で見れば流動性を有する。
その流動性は、 深さによって著しく変化し、 上部マントルの最上部(深さ約100キロメートルまで)は固くてほとんど流れず、 約100 - 400キロメートルまでの間は比較的流動性がある。
地殻と上部マントル上端の固い部分を合わせてリソスフェア(岩石圏)と呼び、 その下の流動性のある部分をアセノスフェア(岩流圏)と呼んで分類する。
この厚さ約100キロメートルの固いリソスフェアが地表を覆っているわけであるが、 リソスフェアはいくつかの「プレート」という巨大な板に分かれている。

地球表面が2種類のプレート群からなっていることは、 地球表面の高度や深度の分布の割合にもあらわれている。
地球表面は、 大陸と大陸棚からなる高度1,500メートル - 深度500メートルの部分と、 深度2,000 - 6,000メートルの海洋底と呼ばれる部分が多く、 その中間である深度500 - 2,000メートルの海底は割合が少なくなっている。

現存するプレート
プレートは大きく見ると十数枚に分けることができ、 それぞれ固有の方向へ年に数センチメートルの速さで動かされることになる。
大型のプレートとしては、
  • ユーラシア大陸主要部や西日本などを含むユーラシアプレート
  • 北アメリカ大陸やグリーンランド
  • 東日本などの北アメリカプレート
  • 太平洋底の大部分を占める太平洋プレート
  • インドとオーストラリア大陸を乗せたインド・オーストラリアプレート
  • アフリカ大陸を中心とするアフリカプレート
  • 南アメリカ大陸を乗せた南アメリカプレート
  • 南極大陸と周辺海域を含む南極プレート
がある。

このほか、
  • アラビア半島のアラビアプレートやアメリカ・カリフォルニア沖にあるファンデフカプレート
  • 中米の太平洋側に存在するココスプレート
  • カリブ海のカリブプレート
  • ペルー沖のナスカプレート
  • フィリピン海を中心に伊豆諸島・小笠原諸島・伊豆半島付近まで伸びるフィリピン海プレート
  • 南米大陸と南極海の間のスコシア海に広がるスコシアプレート
などのような小規模なプレートもいくつか存在する。

プレートは大陸部分と海洋部分の双方を持っていることが多いが、 大陸部分や海洋部分がそれぞれ大部分を占めているプレートも存在する。
異なるプレートの海洋部分と大陸部分が衝突した場合、 主に花崗岩からなる比重の軽い大陸部分が浮き上がり、 主に玄武岩からなる比重の重い海洋部分が沈み込むこととなる。
プレートの起源は古く、 少なくとも38億年前には現在のようなプレートテクトニクスが存在していたと考えられている。
プレートテクトニクスの進展に伴い各地に造山帯が成立し、 これによって成立した小地塊が衝突して徐々に拡大していき、 やがて大陸規模の陸地が各地に出現した。
ウィルソンサイクル
プレートは海嶺(かいれい)で生まれ、 ゆっくりとベルトコンベアのように動いて海溝へ沈み込む。
大陸はプレートの動きに伴い離合集散を繰り返しており、 しばしば地球上のすべての大陸が統合された超大陸が出現した。
ツゾー・ウィルソンは、 この大陸の離合集散がおよそ3億年ごとに一つのサイクルをなしていることを提唱し、 これはウィルソンサイクルと呼ばれるようになった。

プレートが動く原因には、 プレートが自らの重みで海溝に沈み込む説と、 下のマントルの動きに合わせてプレートも動いていくという説の、 2つの説が存在する。
従来は前者の説が有力説であったが、 西暦2014年に日本の海洋研究開発機構の調査によって、 北海道南東沖でマントルの動きに伴って地殻の動いた痕跡が発見され、 後者の説にも有力な根拠が生じた。
プレートの未来
プレートは新たに生まれることがあるほか、 古いプレートは海溝の下に沈み込んで消滅することがある。
一例として、 かつて北西太平洋に存在したイザナギプレートは、 約2500万年前に消滅している。
プレート内部、 特にマントルの部分をそのまま観察することは不可能であるが、 かつての海洋プレートの残骸であるオフィオライトは世界各地に存在しており、 ここから観察をすることが可能である。
なかでもオマーン北部のハジャル山地には世界最大のオフィオライト層が広がっており、 盛んに調査が行われている。

プレートテクトニクス地球内部の温度低下によっていずれ確実に終了するとされているものの、 その時期についてはさまざまな説が存在する。

マグマ

マグマ(magma)、岩漿(がんしょう)

マグマとは、地球や惑星を構成する固体が溶融したものである。
地球のマントルや地殻は主にケイ酸塩鉱物でできているため、 その溶融物であるマグマも一般にケイ酸塩主体の組成を持つが、 稀に「炭酸塩」鉱物を主体とするマグマも存在する。
岩漿(がんしょう)ともいう。

溶岩は、マグマが地表に流れ出てきたもの。
融けて流れている状態のものも、冷えて固まった状態のものも、いずれも溶岩とよぶ。

マントル

マントル(mantle:「覆い」の意味)

地球内部の分類の一つで、地殻と核との中間層。
大陸の下では平均約 35km、 海洋の下では 5~10kmの深さにある「モホロビチッチ不連続面」*1と、 核までの約2900キロメートルほどの厚さの、核の上面の間の部分。 体積は地球の 83%を占める。

【モホロビチッチ不連続面(モホ面ともいう)】*1
大陸の下では平均約 35km、海洋底では5~10kmの深さで地震波の速度が不連続的に変化する面。
この不連続面を地殻とマントルの境とする。

地球型惑星では金属の核、岩石のマントル、 その外側には、 岩石からなるがわずかに組成や物性が違う、 薄い地殻がある。

温度は最上部で 500℃程度、 深さとともに高くなり、 核との境界付近では 4000℃と推定されている。
マントルは固体であるが、 きわめてゆるやかに流れる性質も持ち合わせている。
地殻を含めた深さ 100km程度まではリソスフェアと呼ばれる流れにくい領域で、 その下にある上部マントルの残りの部分はアセノスフェアと呼ばれる流れやすい領域、 さらにその下の下部マントルはメソスフェアと呼ばれ、 再び流れにくい性質の領域になる。