小窓
天文(小窓集)

作成日:2023/12/9

よみがな順で記載する。

アッシリアの日食

アッシリアの日食(Assyrian eclipse)またはブル・サガレの日食とは、 新アッシリア帝国のエポニム表に記録されている日食で、 アッシュル・ダン3世の治世の10年目に発生した可能性が最も高いと考えられている。 この日食は紀元前763年6月15日(先発ユリウス暦)に発生したものに同定されている。

該当する記述は以下のように短い。
グザナのブル・サガレ(の年)。アッシュルの街で反乱。
(バビロニア暦の3番目の月である)シマヌの月(グレゴリオ暦の5月または6月に相当する)に日食が起こった。

該当する部分で使われているアッシリア語の単語「シャマシュ」(太陽)と「アカッル」(曲がっている) という単語は、 19世紀半ばに初めて楔形文字が解読されて以来、 日食があったという証拠として解釈されている。

「ブル・サガレ」(「ブル・サギッレ」「プル・サガレ」「パル・サガレ」などと表記される場合もある)という名前は、 当時のエポニム式紀年法で使われていたリンムの名前である。 ...

西暦1867年に、 英国のヘンリー・ローリンソンは紀元前763年6月15日に起きた日食を、 アッシリアの日食の最有力候補として同定した。 アッシリア北部では、 この日食は正午の直前に見られた。 それ以来、この日付は幅広く受け入れられている。 同じ時期の他の天体観測の記録からも、 この特定が適切であることが導ける。

そのため、この記録は古代オリエントの編年を決定するための絶対的な証拠として非常に重要である。

現代の計算によれば、 この日食は皆既日食であり、 アフリカ・アジア・ヨーロッパの広範囲で部分日食が見られた。 アフリカ西端のヴェルデ岬近傍で始まった皆既帯はサハラ砂漠を横断して地中海に入りキプロス島を通過した後、 歴史的シリアに上陸してアッシリア北部に達した。

アッシリアを通過した皆既帯はカスピ海南部を横断し、 この東岸(現在のトルクメニスタン、北緯38.9度 東経54.3度)で協定世界時8時14分1秒に食分1.05962で最大食を迎えた。 この地点では5分間皆既日食が見られた。 その後、皆既帯は中央アジア、チベット高原を通って中国華南地方から南シナ海に出て、 ルソン島を通過した。

そして、フィリピン海に入ったところで日没となり皆既日食は終了した。

天の川銀河(あまのかわぎんが)

天の川銀河(あまのかわぎんが)英語:Milky Way Galaxy / 銀河系 英語:the Galaxy、our Galaxy

天の川銀河太陽系を含む銀河の名称で、棒渦巻銀河のひとつである。 地球から見えるその帯状の姿は天の川と呼ばれる。

1000億個の恒星を含み、 巨大なブラックホールを中心に回っている。 直径は約8万光年-10万光年、 中心部の厚さは1万5000光年、 周縁部の厚さは1000光年の円盤形である。
天の川銀河は、銀河群の中で、アンドロメダに次いで2番目に大きい銀河群である。 天の川銀河は105,700光年の幅で、アンドロメダは220,000光年の幅である。 ちなみに、銀河群(天の川を含む数十個の銀河の集まりで、重力的に結びついた集合体)の大きさは1000万光年である。 なお、太陽系は天の川の核から約27,000光年、その中心と端のほぼ中間に位置している。

西暦2007年5月16日。 天の川銀河に132億歳の星が存在するという研究が発表された。 年齢がわかっているものとしてはもっとも高齢で、 事実だとすればビッグバンからたった5億年後に誕生したことになる。
われわれの天の川銀河も、そのころに形成されたのかもしれない。

宇宙の晴れ上がり(うちゅうのはれあがり)

宇宙の晴れ上がり(うちゅうのはれあがり)  英語:clear up of the Universe[

宇宙の晴れ上がり(clear up of the Universe)は、 ビッグバン理論において宇宙の始まり以来、 初めて光子が長距離を進めるようになった時期を指す。

これはビッグバンから約38万年後であるとされ、 宇宙マイクロ波背景放射の原初で、 これ以前の時代を「宇宙の暗黒時代」などと呼ぶことがある。
(「宇宙の晴れ上がり」という用語は佐藤文隆の提唱によるもので、 この言葉に対する英語の定訳はなく、 再結合期(en:Recombination)や、トランスペアレント(透明)になったという)。

ビッグバンからおよそ38万年後に宇宙の温度は約3000℃まで低下し、 電子と原子核が結合して原子を生成するようになると、 光子は電子との相互作用をまぬがれ長距離を進めるようになった。
これを宇宙が放射に対して「透明になった」 (Transparent)、 あるいは宇宙が「晴れ上がった」などと表現する。

同様に、 宇宙の晴れ上がり以前の状態は、 宇宙が放射に対して「不透明である」 (opaque)、 あるいは宇宙が「霧がかっている」 (Foggy) などと表現する。
この電子と原子核との結合を、 英語では電離 (combination) の対義語となる「再結合」を意味する "Recombination" と呼ぶが、 実際には再度の結合ではなく初めての結合である。

衛星(えいせい)

衛星(えいせい)  英語:natural satellite

衛星は、 惑星準惑星小惑星の周りを公転する天然の天体。 ただし、 惑星の環などを構成する氷や岩石などの小天体は、 普通は衛星とは呼ばれない。

海王星(かいおうせい)

海王星(かいおうせい)  英語:Neptune

海王星は、 太陽系の第8惑星で、 太陽系惑星の中では一番外側を公転している。 直径は4番目、 質量は3番目に大きく、 地球の17倍の質量を持ち、 太陽系のガス惑星としては最も密度が高い。 海王星は組成が類似し直径がやや大きい天王星の質量(地球の15倍)よりもわずかに大きい。 164.8年かけて公転しており、 太陽からは平均30.1 au(約45億 km)離れている。 名称は、ローマ神話における海神ネプトゥーヌスに因んで命名され、 惑星記号(♆)はネプトゥーヌスが持つ三叉槍を様式化したものである。

肉眼で観望することは出来ず、 太陽系において唯一、 経験的観測でなく数学的予測によって発見された惑星である。 フランスの天文学者アレクシス・ブヴァールは、 天王星の軌道の予期せぬ変化から、 天王星の軌道が未知の惑星の重力による摂動のために生じているという推論を導いた。 その後、ユルバン・ルヴェリエによって予測された範囲内の位置で、 西暦1846年9月23日に、 ヨハン・ゴットフリート・ガレが望遠鏡を用いて発見した。 海王星衛星では最大のトリトンは、 その後間もなく発見された。 現在では他に13個の衛星が知られているものの、 地球から海王星までの距離が大きく地上からの観測が困難なため、 それらの存在が明らかとなったのは20世紀以降のことである。 西暦1989年8月25日、 宇宙探査機ボイジャー2号が海王星を訪れ、 フライバイを行った。 ハッブル宇宙望遠鏡や補償光学機能を備えた大型の地上望遠鏡の登場によって、 近年は遠方からの更なる観測が可能になっている。

火星(かせい)

火星(かせい)  英語:Mars(マーズ)

火星は、 太陽系の太陽に近い方から4番目の惑星で、 岩石惑星(地球型惑星)に分類される。

太陽系内では水星より大きく2番目に小さい惑星である。 英語では火星はローマ神話の軍神の名を持ち、 しばしば「赤い惑星(Red Planet)」と呼ばれる。

巨大ガス惑星

巨大ガス惑星  英語:Gas giant
木星型惑星   英語:jovian planet

ガスジャイアントもしくは巨大ガス惑星は、 主に水素とヘリウムから構成される木星型惑星である。 太陽系の場合、 木星土星がガスジャイアントに該当する。

ガスジャイアントという用語はもともと巨大惑星と同義に使われていたが、 西暦1990年代に、 天王星海王星が主により重い揮発性物質で構成されていることが明らかとなり、 アイスジャイアント(天王星型惑星)と区別して呼ばれることが多くなった。

木星土星の大部分は水素とヘリウムであり、 これより重い元素は質量の3%から13%を占める。 水素分子の外層が液体金属水素の層を取り巻き、 溶けた岩石状の核も持つと考えられている。 水素大気の最外層には、 主に水とアンモニアから構成される何層もの雲が存在する。 両惑星の大半を占める金属水素の層は、 非常に強い圧力によって水素が導電体となっているため、 こう呼ばれる。 核はより重い元素で構成されていると考えられるが、 20,000Kもの高温と高圧のため、 その性質はほとんど分かっていない。

巨大氷惑星(きょだいこおりわくせい)

天王星型惑星
巨大氷惑星  英語:ice giant

天王星型惑星または海王星型惑星は、 メタン、アンモニアを含む氷や液体の水を主体とした巨大な惑星。 太陽系では土星より外側にある天王星海王星がこれにあてはまる。

かつては、 天王星海王星はその大きさと位置から木星型惑星に分類されていた。 しかし、ボイジャー2号の観測により、 豊富な水やメタンが存在することが判明した。 その結果、水素やヘリウムを主体とし、ガス成分が多く、 密度も比較的低い木星型惑星に対し、 水やメタン等が多く、 ガス成分が比較的少ない天王星及び海王星天王星型惑星として区分するようになった。

その組成から天王星型惑星は、 巨大氷惑星アイスジャイアント(ice giant)と呼ばれる。 これに対し、組成の主体がガスである木星型惑星は、 巨大ガス惑星、ガスジャイアント(英語: gas giant)と呼ばれる。

岩石惑星(がんせきわくせい)

地球型惑星(terrestrial planet、telluric planet)
岩石惑星(Rocky planets)
個体惑星(solid planet)

地球型惑星は、 ケイ酸塩鉱物が主体の岩石と鉄を主成分とする金属から構成される惑星を指す。 固体惑星岩石惑星ということもある。 太陽系の地球型惑星には、 水星金星地球火星がある。

地球型惑星の内部構造は中心に金属からなる中心核、 厚い岩石質のマントル、 最も外側の密度の低い岩石質の地殻で構成されている。 地球ではマントルの主成分はカンラン岩(Mg2SiO4)であり、 他の地球型惑星でもそれに近いと考えられている。

地球型惑星の初期には、 惑星集積にともなう重力エネルギーが原始大気の保温効果などにより取り込まれ、 溶融したマグマオーシャンが形成され、 金属が沈降して中心核となった。 太陽系外惑星でも、 地球質量の数倍程度の惑星が発見されており、 地球型惑星と思われるものも見つかっている。

銀河(ぎんが)

銀河(galaxy)

多数の星、ガス、ダスト(塵)、およびダークマターなどで構成された天体。 自己重力系(自らの重力で形状を保っている系。惑星、恒星、惑星系、連星、球状星団、銀河、銀河団などが挙げられる。)である。
1000億個以上の星を含む明るいものから、球状星団よりも暗いものまで、 明るさと質量には何桁もの幅がある。 銀河と球状星団の違いは、ダークマターを含むかどうかにある。 銀河の質量の大部分はダークマターだが、 球状星団にはダークマターは見つかっていない。

英語no「galaxy」は、 ギリシャ語から派生した「gálaxias、γαλαξίας」を語源とする。英語で天の川を指す「Milky Way」はラテン語「Via Lactea」の翻訳借用であるが、このラテン語もギリシャ語の「galaxias kyklos」から来ている。

一般にUBV測光のBバンドでの絶対等級が-18等程度を境にして、 それより明るいものは巨大銀河、 暗いものは矮小銀河と呼ばれる。
銀河は、見かけの形状や明るさに基づいて多くの形態に分類される。 広く用いられているハッブル分類という形態分類法では、 巨大銀河は、楕円銀河、レンズ状銀河、渦巻銀河、不規則銀河、特異銀河に分類される。 レンズ状銀河は研究者の間ではS0銀河(S0はエスゼロと発音)と呼ばれることが多い。 銀河円盤(ディスク)を持つ渦巻銀河とレンズ状銀河を合わせて円盤銀河(disk galaxy)と呼ぶことがある。

金星(きんせい)

金星(きんせい)  英語:Venus

金星は、太陽系で太陽に近い方から2番目の惑星。 また、地球にもっとも近い太陽周回軌道を持つ惑星である。

岩石惑星(地球型惑星)であり、 太陽系内で大きさと平均密度がもっとも地球に似た惑星であるため、 「地球の姉妹惑星」と表現されることがある。 また、太陽系惑星の中で最も真円に近い公転軌道を持っている。 地球から見た金星は、 常に太陽の近傍に見えることから明け方と夕方にのみ観測でき、 太陽に次いで明るく見える天体のため、 明け方に見えるものを「明けの明星」、 夕方に見えるものを「宵の明星」という。

後期重爆撃期(こうきじゅうばくげきき)

後期重爆撃期(Late Heavy Bombardment, lunar cataclysm, LHBとも)

後期重爆撃期とは、 天文学・地球惑星科学において41億年前から38億年前の期間を指す言葉である。
ここで言う「後期」とは星間物質の集積(衝突)による惑星の誕生・成長(en:planetary accretion)の時期を前期とし、 惑星形成後の衝突を後期としたものである。

この時代には月(つき)に多くの隕石衝突によるクレーターが形成され、 地球水星金星火星といった岩石惑星も多くの天体衝突を受けたと考えられている。
後期重爆撃期の主な証拠は月(つき)の石の年代測定から得られたもので、 天体衝突に由来する月面の溶融岩石の大部分がこの短い期間に作られたと示されている。

後期重爆撃期の原因については諸説が唱えられているが、 広く合意を得たものはない。
有力な説の一つとしてはこの時期に巨大ガス惑星の公転軌道が変化し、 その影響で小惑星やエッジワース・カイパーベルト天体の公転軌道の離心率が上昇、 一部が岩石惑星の領域にまで到達したというものがある。

一方で後期重爆撃期の存在に懐疑的な見方もある。
月(つき)サンプルの年代の偏りは見かけ上のもので、 採取された試料が一つの衝突盆地に由来するとすれば後期重爆撃を仮定する必要はないというものである。

コマ

コマ  英語:coma

コマとは、 彗星核の周囲を取り巻くエンベロープ(星雲状のガスやダスト)につけられた名称である。 ラテン語に由来し『髪の毛』を意味する。 彗星が長楕円軌道の近日点近くを通過する頃、 太陽エネルギーにより彗星本体が温められてその一部が昇華したものである。

コマはおもに氷とダスト(塵)からなる。 ダストのなかの大きな粒子は彗星の軌道上にとり残されて散らばり、 小さな粒子は太陽の放射圧によって吹き飛ばされて彗星の尾をつくる。

このため彗星を望遠鏡で観察すると『ぼんやり』としており、 恒星と区別がつく。 NASAのスターダスト計画は彗星のコマのサンプル採集が目的である。

彗星の軌道が地球の軌道と交差するものでは、 このダストの粒子が流星雨となって観察される。

ジャイアント・インパクト説

ジャイアント・インパクト説(giant-impact hypothesis)

ジャイアント・インパクト説とは、 地球衛星である月(つき)がどのように形成されたかを説明する学説である。 巨大衝突説とも呼ばれる。

この説においては、 月(つき)は原始地球と火星ほどの大きさの天体が激突した結果形成されたとされ、 この衝突はジャイアント・インパクト(大衝突)と呼ばれる。
また、 英語ではBig Splash や Theia Impact と呼ばれることもある。
原始地球に激突したとされる仮想の天体はテイア(Theia)と呼ばれることもある。

ジャイアント・インパクト説は、 月(つき)の形成に関する最も有力な説となっている。
ただし、 地球月(つき)の成分構成などから疑問を唱える学者もおり、 西暦2017年には複数衝突説が発表されている。

準惑星(じゅんわくせい)

準惑星(じゅんわくせい、英: dwarf planet)とは、 太陽の周囲を公転する惑星以外の天体のうち、 それ自身の重力によって球形になれるだけの質量を有するもの。 国際天文学連合(IAU)が西暦2006年8月24日に採択した第26回総会決議5A(以下、決議5Aと略)の中で「惑星」を再定義した際に、 同時に定義された太陽系の天体の新分類である。

dwarf planet(ドワーフ・プラネット) (準惑星)とは、以下の条件をすべて満たす天体である。 なお、学術用語について、学会などが定義を明言することは極めて異例である。

日本学術会議による提言
IAU総会の決議直後には dwarf planet の訳語として「矮惑星」などが使われたが、 日本学術会議は西暦2007年4月9日の対外報告(第一報告)において日本語では「準惑星」と表記することを推奨している。 ただし、「冥王星もケレスもエリスも性質が違うので同じ呼称に含めるのはおかしい」との意見があったこと、 単に球形というだけでは自己重力によってその形状を保っているのかどうかわからないことなどから、 IAU に対して定義の再検討を求めていくとしている。 具体的には一定以上の直径を持つこと(例えば直径 1,000km とするなど)を「準惑星」の基準に加えるという案がある。 日本学術会議では、dwarf planet という概念には未だに曖昧な部分があることから、 学校教育の現場などでは積極的な使用を推奨しないとしている。

小惑星(しょうわくせい)

小惑星(しょうわくせい)  英語:Asteroid)

小惑星は、 太陽系小天体のうち、 星像に拡散成分がないものの総称。 拡散成分(コマやそこから流出した尾)があるものは彗星と呼ばれる。

ウィリアム・ハーシェルによって、 (当時の)望遠鏡で見ると恒星のように見えることから、 ギリシャ語の αστηρ(aster:恒星)と ειδο?(eidos:姿、形)からアステロイド「asteroid:恒星のようなもの」と命名された。 太陽系内の惑星より小さな天体であることから「minor planet:小さな惑星」、 「planetoid:惑星のようなもの」などとも呼ばれた。

現在では岩石を主成分とするものを「asteroid」と称し、 「minor planet」は「asteroid」に加え、 太陽系外縁天体、彗星・小惑星遷移天体や準惑星などを含んだ天体の総称とされているが、 「minor planet」も「asteroid」も日本語ではどちらも「小惑星」と訳される(たとえば、小惑星番号は「minor planet」の番号のことであり、「asteroid」には含まれない準惑星などにも割り当てられる)。

その多くは火星木星の間の軌道を公転しているが、 地球付近を通過する可能性のあるものも存在する。 21世紀初頭まで最大の小惑星であったケレス(Ceres:数字は小惑星番号。以下同様)でも地球月(つき)よりはるかに小さい。

また、惑星衛星のような球形をしているのはケレスなどごく一部の大型の小惑星のみで、 大半は丸みを帯びた不定形である。

水星(すいせい)

水星(すいせい)  英語:Mercury(マーキュリー)

水星は、 太陽系に属する惑星の1つで、 惑星の中で太陽に最も近い公転軌道を周回している。 岩石質の「岩石惑星(地球型惑星)」に分類され、 太陽系惑星の中で大きさ、 質量ともに最小である。
従来、最小の惑星だった冥王星西暦2006年準惑星へ分類変更された。

水星の赤道面での直径は4879.4 kmと、 地球の38パーセントに過ぎない。 木星衛星の1つのガニメデや、 土星衛星の1つであるタイタンよりも小さい。 なお、水星衛星や環は無い。

地球から水星を観測する場合、水星太陽に非常に近いため、 日の出直前と日没直後のわずかな時間しか観測できない。 また、地球水星太陽の位置関係によっては、 たとえ望遠鏡を使っても観測は難しい。 これは地球から見た太陽水星との離角が、 最大でも28.3度に過ぎないためである。 なお、天球上での見かけの明るさは、 -0.4等から5.5等まで変化し、 暗く見える時期には、 より観測が難しくなる。

西暦1974年に、 NASAの探査機であるマリナー10号が初めて水星へ接近した。 マリナー10号による観測によって、 水星の地表の4割強の地図が作成できた。 この際に撮影された写真から、 水星の表面には多数のクレーターが有り、 地球衛星月(つき)と類似した環境だろうと考えられた。 地球からの直接観測だけでなく、 地球から水星へと探査機を到達させる事も比較的難しいため、 21世紀に入っても依然として判らない点の多い惑星ではあるものの、 21世紀に入ってから再び探査機が水星へと送り込まれた事や、 地球からの直接観測の技術の向上に伴って、 次第に水星に関する知見が集積されつつある。

星間物質(せいかんぶっしつ)

星間物質(せいかんぶっしつ)、星間ガス星間塵宇宙塵

星間物質(Interstellar medium、ISM)は、 恒星間の宇宙空間に分布する希薄物質の総称である。
密度では、 地球の上層大気よりも遙かに希薄であるが、 地上からもしばしば星雲として観測される。
大量の星間物質が凝縮して、 星を構成する材料にもなる。

星間物質は、 気体の星間ガスと、 固体の細かい塵である星間塵宇宙塵)に分けられる。
前者は主に水素やヘリウムなどの軽い気体、 後者は珪素や炭素、鉄、マグネシウムなどから成る微粒子である。
存在比でいうと星間ガスの方が多く、 星間塵は星間物質全体の質量の1%程度と少ない。
一部の星間物質が濃密に凝集して星雲・分子雲を形成することがあるが、 大部分は可視光では観測不能で、 赤外線や電波の放射によって観測される。

星間物質の平均密度は、 1立方センチあたり水素原子が一個から数個程度であり、 地上の実験室で達成できる真空状態を遙かにしのぐ超高度真空状態であるが、 極めて低い密度ながらこうした物質が全体に存在しており、 分子雲などではより密度が高くなっている。

とくに銀河において、 中心核(バルジ)やそれを取り巻く円盤部分、 そして銀河全体を包み込む球状の銀河ハローなどには大量に分布している。

星間物質の総量は、 銀河系に属する恒星の総質量の約10%を占めると推定されている。

太陽(たいよう)

太陽(たいよう)  英語:Sun

太陽は、銀河系(天の川銀河)の恒星の一つである。 人類が住む地球を含む太陽系の物理的中心であり、 太陽系の全質量の99.86%を占め、 太陽系の全天体に重力の影響を与える。

太陽は属している銀河系の中ではありふれた主系列星の一つで、 推測年齢は約46億年である。 中心部に存在する水素の50%程度を熱核融合で使用し、 主系列星として存在できる期間の半分を経過しているものと考えられている。 なお、 内部の状態については未解明な部分が多く、 現時点では主に後述する「標準太陽モデル」によって求められているのが現状である。

直径:約139万キロメートル(地球の約109倍、木星の約10倍、地球太陽の距離の108分の1)
質量:1.9891 X 1030kg(地球の約33.3万倍。太陽系の全質量の99.86%を占める。)
平均密度は水の1.4倍であり、地球の5.5倍と比べ約1/4となる。
位置:銀河系の中心から約2万5千光年である。
太陽から地球までの距離:約1億4960万キロメートル(光で約8.3分)。これを1天文単位という。
表面温度:約6000度
中心温度:約1,600万度

太陽系(たいようけい)

太陽系(たいようけい)  英語:Solar System

天の川銀河の中にある、 太陽、 およびその引力によって太陽を中心に運行している天体の集団。 水星金星地球火星木星土星天王星海王星の8個の惑星とその衛星、 さらに準惑星・太陽系小天体(小惑星・彗星や流星物質・ガス状の惑星間物質など)からなる。

海王星のさらに外側を回る冥王星は、 長く惑星とされていたが、 西暦2006年に国際天文学連合により新たに準惑星に分類された。
太陽系の惑星
太陽系の星々。全体像が分かりやすいように数字はおおよその値。
名称 分類 衛星 太陽からの
距離
公転周期 自転周期 赤道半径 極半径 対地球半径 質量 対地球質量
太陽 8 自転周期 赤道半径 極半径 対地球半径 1.9891 × 1030 kg 対地球質量
水星 地球型惑星 0 0.39 au 0.16年 58.65日 2440 km 極半径 対地球半径 3.30×1023 kg 0.0553 倍
金星 地球型惑星 0 0.72 au 0.62年 自転周期 6052km 極半径 0.949倍 4.87×1024 kg 0.815倍
地球 地球型惑星 1 1.00 au 1.00年 1.00日 赤道半径 6356.752314 km 1.00倍 5.972×1024 kg 1.00
火星 地球型惑星 au 1.88年 1.027日 赤道半径 3,376.2 km 対地球半径 6.4171×1023kg 0.10745
木星 木星型惑星 79 5.20 au 11.86年 9時間55分 赤道半径 69,911km 対地球半径 1.8986×1027 kg 317.8
土星 木星型惑星 85 9.55 au 29.53年 0.444日 60,268km 54,364km 対地球半径 5.688 ×1026 kg 95.16
天王星 天王星型惑星 27 19.22 au 84.25年 0.7183日 赤道半径 極半径 対地球半径 8.686 ×1025 kg 14.54
海王星 天王星型惑星 14 30.047 au 164.79年 自転周期 24,764km 24,341km 対地球半径 1.02413 ×1026 kg 17.147
冥王星 準惑星 1 39.45 au 247.74年 6.387230日 1,185km 極半径 0.185 1.32 ×1022 kg 0.0021

地球(ちきゅう)

地球(ちきゅう)

太陽系に属する惑星の1つで岩石惑星(地球型惑星)に分類される。 太陽から3番目に近く、 表面に水、 空気中に酸素を大量に蓄え、 多様な生物が生存することを特徴とする惑星である。 今から138億年前、 宇宙誕生のきっかけとなるビッグバンが起き、 46億年ほど前に太陽が誕生した。 その直後、 約45億4000万年前に太陽系の他の惑星とともに地球が誕生した。

地球」という言葉は中国語に由来するとされる。 確認されている最も古い文献は17世紀初頭の地図である。 この頃には地球は球体であるという科学的認識が既に西欧から伝わっていたと認識されている。

太陽からの平均距離:1億4959万7870.700km(これを「1天文単位:astronomical unit(au)」と呼ぶ)
赤道半径:6378.137km
極半径:6356.752km(赤道半径のほうが極半径よりも約 21384.686m大きい)
扁平率:「1/298.257222101」の回転楕円体である。
公転周期:365.257日
自転周期:0.9973日

太陽系惑星の大きさ(順序)
木星土星天王星(てんのうせい)海王星地球金星火星水星

惑星太陽系からの距離(近い方から)
水星金星地球火星木星土星天王星(てんのうせい)海王星

超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)

超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)  英語:supernova

超新星爆発は、 大質量の恒星が、 その一生を終えるときに起こす大規模な爆発現象である。 超新星爆発は、 地球から見ると、 他のどの恒星よりも明るく、 まるで新しい星が出来たかのように見えることから、 恒星の終末期であるにも関わらず「超新星」と呼ばれている。
Ⅰ型超新星
白色矮星の近くに赤色巨星がある場合、 赤色巨星の表面が重力の強い白色矮星に吸いこまれる。 白色矮星はどんどん大きく重くなることで内部で炭素の核融合が暴走し、 大爆発が起こる。 このI型超新星は、 白色矮星が少しずつ周りの物質をまきこみながら重くなって爆発を起こすため、 臨界点となる重さは太陽の約1.4倍と決まっている。 爆発する時の重さが一定のため、 規模も明るさも一定になる。 よって明るさを正確に測定することにより、 地球からの距離を知ることができる。
Ⅱ型超新星
太陽の重さより8倍以上重い星は、 内部で核融合の燃料となる物質を使い果たすと、 星を支えていた圧力が下がり、 重力(内側につぶれようとする力)が強くなってしまう。 すると中心部が一気に崩壊をし、とつぜん大爆発をおこしてしまう。 その中心には、中性子星かブラックホールができる。
初期の宇宙では、 元素はほとんどが水素とヘリウムの同位体で、 わずかにリチウムとベリリウムの同位体が存在する程度だった。 それよりも重いホウ素、炭素、窒素、酸素、珪素や鉄などの元素は恒星内部での核融合反応で生成し、 超新星爆発により恒星間空間にばらまかれた。
そして、 鉄よりも重い元素は超新星爆発時に生成したと考えられている。 これに加え、 超新星爆発による衝撃波は星間物質の密度にゆらぎを生み出し、 新たな星の誕生をうながしている。 また、 炭素の同位体比から超新星爆発時に合成されたと考えられるダイヤモンドなどの粒子が、 隕石の中から発見されている。

月(つき)

(つき)  英語:Moon

は、 地球の唯一の衛星である。
太陽系衛星中で5番目に大きい。
地球から見て太陽に次いで明るい。

古くは太陽に対して太陰とも、 また日輪( = 太陽)に対して月輪(がちりん)とも言った。

直径:3474km(太陽系衛星の中で5番目に大きい)
地球との直径比率:25%(太陽系衛星の中では一番大きい)
地球との質量比率:80/1
比重:3.34(地球の0.6倍)
表面重力:地球の1/6
地球との平均距離:38万4400km
公転:27.32日

天王星(てんのうせい)

天王星(てんのうせい)  英語:Uranus

天王星は、 太陽系第7惑星である。 太陽系惑星の中で木星土星に次いで3番目に半径が大きく、 木星土星海王星に次いで4番目に重い。

西暦1781年3月13日、 イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルにより発見された。 名称は、ギリシア神話における天の神ウーラノスのラテン語形である。

最大等級+5.6等と地球最接近時は肉眼で見える明るさになることもあり、 ウィリアム・ハーシェルによる発見以前にも恒星として20回以上観測されていた(肉眼観測も含む)。

天文単位(てんもんたんい)

天文単位(てんもんたんい)  英語:astronomical unit  記号:au

天文単位は、長さの単位で、定義定数であり、 正確に 149597870700 m である。 非SI単位であるが 西暦2014年3月に、 SI併用単位(SI単位と併用できる非SI単位)に位置づけられた。 地球と太陽の平均距離に由来し、 主として天文学で用いられる。

天文単位の単位記号は、au である。

なお、 西暦2014年3月以前のSIにおける単位記号は ua であった。 このため、JIS Z8000-3:2014 (ISO 80000-3:2006)「量及び単位ー第3部:空間及び時間」も、 西暦2014年のBIPMの決定以前のJIS規格であり、 ua を用いている。

これら以外にも西暦2014年以前の文献には、 a.u. といった表記もみられる。 また各国語の表記に基づいた略号が用いられることも多く、 例えばドイツ語では AE の略号が用いられる。

土星(どせい)

土星(どせい)  英語:Saturn(サターン)

土星は、 太陽から6番目の、 太陽系の中では木星に次いで2番目に大きな惑星である。 巨大ガス惑星に属する土星の平均半径は地球の約9倍に当たる。 平均密度は地球球の1/8に過ぎないため、 巨大な体積のわりに質量は地球の95倍程度である。 そのため、木星型惑星の一種に分類されている。

土星の内部には鉄やニッケルおよびシリコンと酸素の化合物である岩石から成る中心核があり、 そのまわりを金属水素が厚く覆っていると考えられ、 中間層には液体の水素とヘリウムが、 その外側はガスが取り巻いている。

惑星表面は、 最上部にあるアンモニアの結晶に由来する白や黄色の縞が見られる。 金属水素層で生じる電流が作り出す土星の固有磁場は地球磁場よりも若干弱く、 木星磁場の1/12程度である。 外側の大気は変化が少なく色彩の差異も無いが、 長く持続する特徴が現れる事もある。 風速は木星を上回る1800 km/hに達するが、 海王星程ではない。

土星は恒常的な環を持ち、 9つが主要なリング状、3つが不定的な円弧である。 これらはほとんどが氷の小片であり、 岩石のデブリや宇宙塵も含まれる。 知られている限り146個の衛星を持ち、 うち63個には固有名詞がついている。 これにはリングの中に存在する何百という小衛星(ムーンレット)は含まれない。 タイタンは土星最大で太陽系全体でも2番目に大きな衛星であり、 水星よりも大きく、 衛星としては太陽系でただひとつ有意な大気を纏っている。

日本語で当該太陽系第六惑星を「土星」と呼ぶ由来は、 古代中国において五惑星が五行説に当てはめて考えられた際、 この星に土徳が配当されたからである。 英語名サターンはローマ神話の農耕神サートゥルヌスに由来する。

日食

日食(solar eclipse)とは太陽によって覆われ、 太陽が欠けて見えたり、 あるいは全く見えなくなったりする現象である。 日蝕と表記する場合がある。 朔すなわち新月の時に起こる。

太陽の視直径はほとんど同じであるが、 の地球周回軌道および地球の公転軌道は楕円であるため、 地上から見た太陽の視直径は常に変化する。 の視直径が太陽より大きく、 太陽の全体が隠される場合を皆既日食または皆既食(total eclipse)という。 逆の場合はの外側に太陽がはみ出して細い光輪状に見え、 これを金環日食または金環食(annular eclipse)と言う。 場合によっては太陽の視直径が食の経路の途中でまったく同じになるため、 正午に中心食となる付近で皆既日食、 経路の両端では金環日食になることがあり、 これを金環皆既日食または金環皆既食(hybrid eclipse)と呼ぶが、 頻度は少ない。 皆既日食金環日食および金環皆既日食を、 太陽の中心が重なっていることから中心食と称する。

中心食では本影と金環食影が地球上に落ちて西から東に移動し、 その範囲内で中心食が見られ、 そこから外れた地域では半影に入り太陽が部分的に隠される部分日食または部分食が見られる。 半影だけが地球にかかって、 地上のどこからも中心食が見られないこともある。

また日の出の際に太陽が欠けた状態で上る場合を特に日出帯食、 逆に欠けた状態で日の入りを迎える場合を日入帯食日没帯食)と呼ぶ。 この場合、 いずれも食の最大を迎える前と食の最大を過ぎた後に分類される。

微惑星(びわくせい)

微惑星(びわくせい) 英語:planetesimal

微惑星という用語の定義には研究者によってややばらつきがある。 小惑星や彗星のような太陽系形成期以来生き残っている天体全てを指す一般的用語として用いる場合もある一方で、 直径10km程度の天体に限定して用いる場合もある。

惑星を形成する材料となった、直径1-10 kmの天体のこと。 太陽系形成論の標準シナリオでは、 原始太陽系星雲中にただようダストが太陽重力の鉛直成分に引かれて太陽の周りを公転しながら徐々に星雲の赤道面に沈殿して薄いダスト層を形成し、 ダスト層の密度が十分高くなると重力不安定を起こして分裂し、 微惑星が形成される。

微惑星が相互重力による衝突合体を繰り返して惑星が形成されたと考えられる。

しかし、原始太陽系星雲中に何らかの原因で乱流があるなどしてダストの沈殿が妨げられると、 重力不安定が起きるほど高密度のダスト層が形成されない。 このため微惑星はダスト層の重力不安定を経ず、 ダスト同士の直接衝突合体を繰り返して形成されたという考えもある。 このように微惑星の形成過程は、 まだわからないことが多い。

冥王星(めいおうせい)

冥王星(めいおうせい)  英語:Pluto

冥王星は、 太陽系外縁天体内のサブグループ(冥王星型天体)の代表例とされる、 準惑星に区分される天体である。 西暦1930年にクライド・トンボーによって発見され、 西暦2006年までは太陽系第9惑星とされていた。 しかし他の8惑星と比べて離心率のある軌道と黄道面から傾いた軌道傾斜角を持つ。 直径は2,370キロメートルであり、 地球衛星である月(つき)の直径(3,474キロメートル)よりも小さい。 冥王星の最大の衛星カロンは直径が冥王星の半分以上あり、 それを理由に二重天体とみなされることもある。

木星(もくせい)

木星(もくせい)  英語:Jupiter

木星は、 太陽系にある惑星の1つで、 内側から5番目の公転軌道を周回している第5惑星である。 太陽系の中で大きさ、 質量ともに最大の惑星である。

木星およびそれと同様のガスを主成分とする惑星(ガス惑星)である土星のことを木星型惑星(巨大ガス惑星)と呼ぶ。 かつては天王星海王星も木星型惑星に含まれていたが、 現在ではこれら2つの惑星は天王星型惑星(巨大氷惑星)に分類されている。

木星は古代から知られ観測されてきた。 そして多くの文明で神話や信仰の対象となった。 英語Jupiter(ジュピター)は古代ローマ神話の神ユーピテルを語源とする。

惑星(わくせい)

惑星(planet)  古い表現:遊星游星行星

惑星とは、 恒星の周りを回る天体のうち、 比較的低質量のものをいう。
正確には、 褐色矮星の理論的下限質量(木星質量の十数倍程度)よりも質量の低いものを指す。
英語「planet」の語源はギリシャ語の『プラネテス』(「さまよう者」「放浪者」などの意)。

宇宙のスケールから見れば惑星が全体に影響を与える事はほとんど無く、 宇宙形成論からすれば考慮の必要はほとんど無い。
だが、 天体の中では非常に多種多様で複雑なものである。
そのため、 天文学だけでなく地質学・化学・生物学などの学問分野では重要な対象となっている。

便宜的に木星質量の13倍以下を惑星、 13-75倍程度のものを褐色矮星、 75倍以上のものを恒星とする見方がある。

惑星・遊星という呼称の由来