八咫烏(やたがらす、やたのからす) 日本神話に登場するカラスであり、導きの神。
神武天皇を
大和の橿原まで案内したとされており、
導きの神として信仰されている。
また、
太陽の化身ともされる。
一般的に三本足の姿で知られ、古くよりその姿絵が伝わっている。
神武東征の際、
熊野国から大和国への道案内をしたとされる。
- 『日本書紀』では
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天照大御神によって遣わされ、
兄磯城・弟磯城兄弟にそれぞれ帰順を求め、
兄には「聞天壓神至而吾爲慨憤時、奈何烏鳥若此惡鳴耶。」と言われ弓矢で追い返されてしまうが、
弟はこれに恐れて「臣聞天壓神至、旦夕畏懼。善乎烏、汝鳴之若此者歟。」と言い、
葉盤八枚に食べ物を盛って烏に献上した。
それで八咫烏は神武天皇のもとへ戻り、
兄磯城に反抗の心がある旨を報告した。
その後その功が労われ、
頭八咫烏の子孫は葛野主殿縣主(かづののとのもりのあがたぬし)となり、
劒根は葛城国造となっている。
- 『古事記』では
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高木大神によって、
兄宇迦斯・弟宇迦斯兄弟に神武天皇への帰順を求めるために遣わされるが、
兄に鳴鏑で追い返されたとされる。
熊野三山においてカラスはミサキ神(死霊が鎮められたもの。神使)とされており、
八咫烏は熊野大神(
素戔嗚尊)に仕える存在として信仰されており、
熊野のシンボルともされる。
近世以前によく起請文として使われていた熊野の牛玉宝印(ごおうほういん)にはカラスが描かれている。
咫(あた)は長さの単位で、
親指と中指を広げた長さ(約18センチメートル)のことであり、
八咫は144cmとなるが、
ここでいう八咫は単に「大きい」という意味である。