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盤古(ばんこ) [中国神話の神]

作成日:2021/11/19

盤古は中国神話の神で、天地開闢の創世神とされる。 道教に組み込まれて以後は、盤古真人・元始天王とも称される。
古代中国における世界起源神話の一つであり、 古い書物や民間伝承にその神話伝説を見ることが出来る。

盤古の神話は『三五歴記』や『述異記』などの古文献に記録・採録されていたことがわかっているものの、 断片的な情報が残っているに過ぎず、 内容も様々に変容している。

そこには二通りの伝承が残されている。

概要

盤古が生まれたとき、天と地とは接しており非常に窮屈で暮らしづらかった。
盤古は一日一日その背丈を伸ばしてゆくと共に天を押し上げて地と離し、 一万八千歳のときに天地を分離したとされる。

天地を分離した盤古についての記述が確認できる古い書物は、 呉の時代(3世紀)に成立した徐整による神話集『三五歴紀』である。
そこでは、 天地ができる以前の、 卵の中身のように混沌とした状態から盤古が出現したと記されている。

また、 4世紀後半に書かれた『述異記』あるいは『五運暦年記』(『繹史』収録)には、 天地を分離した後に盤古は亡くなり、 その死体の各部位から万物が生成されたと伝えられている。

盤古の死後にその体から万物が生成されたという伝説は、 もともとは死後に生成されたというかたちでは無く、 自然に存在する日や月、 海や河や草木が神の体であると考えていた神話(燭陰などの、目をひらくと夜が明けるなどとする伝承)が存在し、 それがやがて思想などの進化などから変化して形成されたものではないかとも考察されている。
述異記』での記述の時点では、 盤古の死後にそれが生成されたと示す話と、 盤古の死に言及せずに盤古の体の一部と自然物との結びつきを示す話が混在してる点がそのあらわれである。

明の時代の『開辟衍繹通俗志伝』では、 斧とノミを使用して天地を切り拓くこととなり、 天地開闢のときにとったとされる行動が、 より具体化された。
地方に伝わる民間劇などにも道具(開山斧)を用いて天地開闢をしたとされる内容を持たせた盤古の登場するものがある。

神話の中での役割

盤古は天地創造の神であり、 時系列で考えれば人類創成の神とされる伏羲女媧(じょか)よりも前に存在したことになる。
しかし、 少なくとも文献による考察によれば盤古の存在が考え出されたのは、 前述のごとく呉の時代(3世紀)であり、 『史記』(前漢・紀元前1世紀)や『風俗通義』(後漢・2世紀)に記述がある伏羲女媧(じょか)など三皇五帝が考え出された時期よりも後の時代ということになる。
民間伝承にその神話伝説、応竜生盤古[7]。(????? この一文の意味は ?????)

天地を押し上げて分離させる点がマオリ神話のタネ・マフタに、体からさまざまなものが創造される点がインド神話のプルシャに類似していることなど[1]が指摘されているほか、インドシナ半島の神話伝説にも盤古神話と類似した内容のものが確認されている。天地万物のつくられ方の類似から、インドに伝わる『リグ・ヴェーダ』の原始巨人プルシャが伝播したものだ、という学説もある。

盤古は天地開闢により誕生したとされるが、各神話では天地開闢そのものがいかにして行われたについては明確な記載がない。日本神話では伊邪那岐・伊邪那美による国産みの後にさまざまな神々が生まれているが、盤古神話では彼が特に国造りをしたという記述はない。ただし、盤古の左目が太陽に、右目が月に、吐息や声が風雨や雷霆になったという要素は、『古事記』や『日本書紀』において、伊邪那岐が左目を洗った時に天照大御神太陽)が、右目を洗った時に月読(月)が、鼻を洗った時に須佐之男命(雷)が生まれたと語られていることと共通性が見られ、盤古のような世界巨人型神話の痕跡であると見る向きもある。

親族

祖先
兄弟
  • 正妃:
子孫

関連項目
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