アプロディーテーまたは
アプロディタは、
愛と美と性を司るギリシャ神話の女神で、
オリュンポス十二神の一柱である。
美において誇り高く、
パリスによる三美神の審判で、
最高の美神として選ばれている。
また、戦の女神としての側面も持つ。
日本語では、
アプロディテ、
アフロディテ、
アフロディーテ、
アフロダイティ(英: Aphrodite)などとも表記される。
ローマ神話では
ウェヌス(
ビーナス)にあたる。
元来は、
古代オリエントや小アジアの豊穣の植物神・植物を司る精霊・地母神であったと考えられる。
アプロディーテーは、生殖と豊穣、すなわち春の女神でもあった。
ホメーロスの『イーリアス』では「黄金のアプロディーテー」や「笑いを喜ぶアプロディーテー」など特有の形容語句を持っている。
プラトンの『饗宴』では純粋な愛情を象徴する天上の「アプロディーテー・ウーラニアー」と、
凡俗な肉欲を象徴する大衆の「アプロディーテー・パンデーモス」という二種類の神性が存在すると考えられている。
女神である
アプロディーテーは、
人間の
アンキーセースの子を生んだ。
アイネイアスである。
ローマ建国神話では、
アイネイアスが
ラウィニウムを建設したと伝承されており、
そのことから
アイネイアスの母である
アプロディーテーは「ローマの祖」と呼ばれている。
ヘーシオドスの『神統記』によれば、
クロノスによって切り落とされたウーラノスの男性器にまとわりついた泡(アプロス、aphros)から生まれ、
生まれて間もない彼女に魅せられた西風が彼女を運び、
キュテラ島に運んだ後、
キュプロス島に行き着いたという。
彼女が島に上陸すると愛と美が生まれ、
それを見つけた季節の女神ホーラーたちが彼女を飾って服を着せ、
オリュンポス山に連れて行った。
オリュンポスの神々は出自の分からない彼女に対し、
美しさを称賛して仲間に加え、
ゼウスが養女にした。
これは、Άφροδίτη が「泡の女神」とも解釈可能なことより生じた通俗語源説ともされるが、
アプロディーテーが男性器から生まれるという猥雑な誕生の仕方をしているのはヘーシオドスが極度の女嫌いであったためといわれる。
ホメーロスはゼウスとディオーネーの娘だと述べている。
美と優雅を司る三美神カリスたちは彼女の侍女として従っている。
また、アプロディーテーのつけた魔法の宝帯には「愛」と「憧れ」、
「欲望」とが秘められており、
自らの魅力を増し、
神や人の心を征服することが出来る。
気が強く、
ヘーラーや
アテーナーと器量比べをしてトロイア戦争の発端となったり、
アドーニスの養育権をペルセポネーと奪い合ったりすることもある。
キュプロスとアプロディーテーのあいだには本質的な連関があり、
女神が最初にキュプロスに上陸したというのは、
アプロディーテーの起源とも密接に関係する。
結婚相手・愛人を含め関係があったものは多々いるが主なものは、
ヘーパイストス、アレース、アドーニスである。
聖獣はイルカで、
聖鳥は白鳥、鳩、雀、燕。
聖樹は薔薇、芥子、花梨、銀梅花。真珠、帆立貝、林檎もその象徴とされる。
また、牡山羊や鵞鳥に乗った姿でも描かれる。