ナワトル語は、
ユト・アステカ語族のナワ語群に属する言語で、
西暦2015年現在、
メキシコなどで推定170万人の話者を擁する。
西暦2003年に施行された「先住諸民族の言語権に関する基本法」によって、
スペイン語や他67の先住民語と同等に、
名目上は
メキシコの公用語とみなされている。
ナワトル語は話者数でいえば
北アメリカ大陸最大の先住民語である。
INALIによると、
西暦2010年において
メキシコの5歳以上の
ナワトル語話者の数は1,544,968人とされる。
INALIの定義では、
ナワ語群のうちポチュテコ語(消滅)とエルサルバドルのナワト語(ピピル語)を除いたものを
ナワトル語としている。
現代
ナワトル語は多くの方言に分かれているが、
分類については意見の一致を見ない。
この方言の中には
ナワトル語話者同士でも意志の疎通が困難なものもある。
すべての
ナワトル語は程度の差こそあれ、
様々な面で
スペイン語の影響を強く受けている。
過去においては
メソアメリカの広い地域で共通語として使われていた。
スペイン人による侵略がはじまった
16世紀ごろの
ナワトル語を
古典ナワトル語と称する。
古典ナワトル語は
メキシコ盆地で話されていた方言で、
名称に反して、
比較的影響地域が狭く革新的な方言である。
現代
ナワトル語で
古典ナワトル語のすべての特徴を受け継いでいる方言はないが、
ミルパ・アルタ方言など、
メキシコ盆地の現代
ナワトル語は
古典ナワトル語的な特徴をもっている。
アステカ人は
ナワトル語圏文化の影響を強く受けている。
テパネカ族、アコルワ族、トラスカルテカ族、ソチミルカ族もその例である。
テオティワカンにおいてナワトル祖語が話されていた可能性がある。
これらの部族が優位に立つにつれ、
特にアステカ帝国の権勢の後の
古典ナワトル語は、
メソアメリカの広い地域で共通語として使われるようになった。
こうした状況は
12世紀に始まり、
スペインが
メキシコに侵入する
16世紀まで続いた。