小窓
航空機事故詳細

作成日:2025/6/17

事故発生日:西暦1967年3月9日
便名:1) トランス・ワールド航空 553便(機体記号:N1063T)乗員4人乗客21人、合計25人全員死亡。
   2) 個人所有機(機体記号:N6127V)乗員1人全員死亡。
機種:1) マクドネル・ダグラス DC-9-15
   2) ビーチ・エアクラフト バロン 55
死者:両機の乗員乗客26人全員が死亡。
状況:トランス・ワールド航空553便空中衝突事故は、 1967年3月9日に発生した空中衝突事故である。 ピッツバーグ発デイトン行きのトランス・ワールド航空553便(DC-9-15)が、 デイトンへのアプローチ中にデイトン市営空港(当時、現・デイトン国際空港)から南に29マイル (25 nmi; 47 km)離れた地点で、 個人所有のビーチクラフト バロンと空中衝突し、 両機の乗員乗客26人全員が死亡した。 ...
グレーター・ピッツバーグ空港(現:ピッツバーグ国際空港)から飛び立った553便にはコロンバス上空通過後、 航空管制よりFL200 (海抜20,000フィートほど)から3,000フィートへの降下指示が出た。 事故機は無制限空域を飛んでいたが、 デイトンのアプローチのエリアに入っていた。 事故18秒前に管制官は553便に対し、 やや右に曲がり1マイル先にVFRで進入するよう指示し、 553便のクルーも了解した。 553便が高度4,500フィート 付近を南西方向に323ノットで飛行していた所、 前方右側に北から飛んできたビーチクラフトバロンが衝突。 衝突した両機はシャンペーン郡アーバナ近郊にあるコンコードのウッドビル・パイクとメロディー・レーンの交差点の北東に墜落した。

事故発生時は両機が「見て回避する」というのが原則だった有視界飛行方式で飛行していた。 その上に管制官は事故発生の22秒前になるまでビーチクラフト機をレーダー上で確認する事は出来なかったと証言している。 管制官はその上で事故が発生した空域はレーダーで小型機を探知する事は難しいと証言していたが、 周辺のフライトチェックで原因を特定する事は出来なかった。

国家運輸安全委員会は事故調査に乗り出し、 553便の降下角度が高すぎた上に手遅れになるまでビーチクラフト機を視認出来なかった事が原因だと結論付けた。 事故当時の天候は広く散らばった薄い雲と小雨で、 視界はVFRで必要な3マイルの2倍程の 6マイル - 7マイル 程度であった。

1960年ニューヨーク空中衝突事故を受けて西暦1961年に施行されたFARパート91.85では、 目的地の空港より30海里以内の高度10,000フィート以下の空域に速度制限を設けていた。 この事故を受けて10,000フィート以下の高度では250ノット (290 mph; 460 km/h)以下のIASで飛ぶよう義務付けられた。 また、この事故は連邦航空局が発着回数が多い空港周辺にターミナルコントロールエリア (TCA)を設けるきっかけになった。 ただし、事故が発生したデイトン国際空港周辺の空域はTCAに指定される事なく西暦1980年代にクラスC空域に指定された。