福岡発ホノルル行のJALウェイズ58便が、
福岡空港を離陸後にエンジントラブルを起こし、同空港に引き返した。
当該機は19時45分頃、定刻通り福岡空港の滑走路34を離陸したが、
離陸後20秒後に突然左エンジンから出火。
パイロットもそれに気づき、管制塔に連絡後、
左エンジンを止め海上まで飛行、
燃料を消費してから約30分後に福岡空港に引き返し、
緊急着陸した。
乗員乗客ら229名は無事であったが、
離陸ルートのほぼ真下に位置する福岡市東区社領2丁目から3丁目の住宅街にタービンブレードの金属片が落下し、
それに自ら触れた5人が軽い火傷や軽傷を負ったほか、
乗用車のフロントガラスが破損した。
偶然にも取材で福岡空港に来ていたNHK福岡放送局の取材クルーがこの事故を撮影し、
その日の夜のNHKニュースなどで、
エンジンから出火する瞬間が放映された。
なお、本件は統計上は事故ではなくイレギュラー運航扱いである。
エンジンが停止した原因は、
1枚のタービンブレードが破損し、
それがほかのタービンブレードを巻き込んだことによる。
破損した原因は、
ブレード表面の浸食による疲労亀裂と推定されている。
小さな亀裂が遠心力と熱によって拡大したことにより、
中を循環する冷却空気に漏れが生じ、
冷却空気が循環せずにブレード表面に熱が蓄えられたためブレードが破壊された。
これがきっかけとなり、
ブレード片が他のタービンブレードをも破壊することとなった。
停止したエンジンについては、
西暦2005年6月に国土交通省がタービン破損の恐れがあるとして各航空会社に部品交換などの対策を指示していた。
この指示に対して日本航空は
西暦2002年3月の社内調査で劣化していたタービンブレードの一部分を交換したことを確認したため、
西暦2010年(平成22年)までに部品交換の対応を行うと国土交通省に回答し、
国土交通省もこれを了承した。
この事故の後、
JALグループは
西暦2005年10月でDC-10を退役させ、
ほぼ同型のエンジンを使用していたボーイング747についてはエンジンの検査間隔を2500時間から1000時間に短縮するという改善策をとった。