小窓
天安門事件

作成日:2024/6/21

天安門事件   発生日1:西暦1976年4月5日   発生日2:西暦1989年6月4日

天安門事件は、 中華人民共和国の北京市にある天安門広場において、 集まった民衆を中国政府(共産党)が武力で弾圧したふたつの事件をいう。

ひとつめは、 西暦1976年4月5日に 同年1月8日に死去した周恩来国務院総理(首相)追悼の為に捧げられた花輪が、 北京市当局に撤去されたことに激昂した民衆がデモ隊工人と衝突、 政府に暴力的に鎮圧された事件。 発生した日付から「四五天安門事件」あるいは「第一次天安門事件」と呼ばれる。

もうひとつは、 西暦1989年6月4日に、 民主化を求めて集結していたデモ隊に対し、 中国人民解放軍が実力行使し、 多数の死傷者を出した事件である。 通常、単に「天安門事件」と呼称する場合はこの事件を指すが、 発生した月日から「六四天安門事件」、 あるいは、 発生年月日から「八九六四」とも呼ばれる。 また、 四五天安門事件と区別するため「第二次天安門事件」と呼ばれることもある。

中国では労働者のことを工人という。

四五天安門事件

四五天安門事件   発生日:西暦1976年4月5日

四五天安門事件とは、 西暦1976年4月5日に中華人民共和国の北京市にある天安門広場において、 同年1月8日に死去した周恩来国務院総理(首相)追悼の為に捧げられた花輪が北京市当局に撤去されたことに激昂した民衆がデモ隊工人と衝突、 政府に暴力的に鎮圧された事件、 あるいは、 この鎮圧に先立ってなされた学生や知識人らの民主化を求めるデモ活動を包括していう。 西暦1989年6月4日に起きた六四天安門事件(第二次天安門事件)と区別するため、 第一次天安門事件ともいう。

事件の背景

1971年の林彪失脚以降、中国共産党主席毛沢東は文化大革命の行き過ぎを是正すべく、追放された鄧小平を党中央部に呼び戻して周恩来と協力して国力の復興を任せたが、江青ら文革の強硬派「四人組」と鄧小平、周恩来との対立が起こり、政治情勢は依然として不安定であった。

毛沢東は建国以来、周恩来を実務能力のある部下として重用していたが、周の慎重な態度や文化大革命への消極的な姿勢に、毛自身の懐疑的な性格もあって、次第に疑いの目を向けるようになった。

林彪亡き後、党をまとめ切る人材が不足し、毛はやむを得ず周を序列第二位に据えていた。その期待に応えるかのように、周は、林彪事件後の混乱を収め、1972年のニクソン大統領の中国訪問では世界の注目を浴び「周恩来外交」として国際的評価が日増しに高まっていった。だが、これらはかえって毛の嫉妬と疑惑を招くことになる。1973年7月、毛は王洪文相手の談話で、「(周)総理の談話は見るに堪えぬ。この調子を続けるならば、将来必ず修正主義が出るだろう。」と述べ、事ある度に批判を強めて行った。元来、生真面目な周はひたすら忠誠ある態度を取り続け、時には自己批判をして切りぬけたが、毛はますます周への不信感を強め、対抗する四人組を用いて牽制したり、同じ実務的な官僚の鄧小平を復権させて周の代わりに据えようとするなど、対立は深まっていった。

一方、中国国民は、打ち続く文化大革命の混乱に嫌気が差し、文化大革命に一定の距離を置いていた周恩来を尊敬していた。周を孔子になぞらえて批判し失脚をはかった四人組による「批林批孔運動」が国民の支持を集めなかったのも、そこに原因があった。人々は周と鄧小平を事態を収拾してくれる人物として歓迎し四人組に反感を持っていた。

1974年9月30日の建国25周年記念式典では周恩来は、文革で失脚した人々を特別に呼び寄せ来場者から絶賛された。このことは毛にとって格好の攻撃材料となるはずであったが、用心深い周は、乾杯の際にあらかじめ毛沢東を賛美する言葉を述べて非難の矛先をかわした。これには流石の毛も、「周のことをあきらめてないが今は時期が悪い。自覚の薄い国民は周の事を知らぬ。今やると混乱を招く」と述べて攻撃を止めざるを得なかった。「周に反すれば民は反す。」といわれるほど、周への人気は高かったのである。

ゆえに1976年1月の周恩来の死は国内に大きな悲しみをひきおこし、周を評価し四人組を攻撃する壁新聞が出回り始めるなど文革全盛期にはあり得なかった事態が起こっていた。江青たちはこうした空気に危機感を募らせていた。

六四天安門事件

六四天安門事件   発生日:西暦1989年6月4日

六四天安門事件は、 西暦1989年6月4日に中華人民共和国・北京市の天安門広場に民主化を求めて集結していたデモ隊に対し、 中国人民解放軍が実力行使し、 多数の死傷者を出した事件である。 通常、単に「天安門事件」と呼称する場合はこの事件を指すが、 四五天安門事件と区別するため「第二次天安門事件」と呼ばれることもある。