万葉集(まんようしゅう、まんにょうしゅう) 現存する日本最古の歌集。20巻。
編者、成立年代ともに不明だが、
年代の明らかなもっとも新しい歌は
西暦759年(
天平宝字3年)正月の大伴家持(おおとものやかもち)の作であるところから、
最終的な編纂はそれ以後となる。
また、大伴家持が編纂に関係したことは確実とされている。
総歌数約4500、短歌4200余首と長歌約260首が主体をなし、
ほかに旋頭歌(せどうか)60余首、仏足石歌がある。
部立(ぶだて)の基本は、雑歌(ぞうか)、相聞(そうもん)、挽歌(ばんか)。
主要な作家としては、
壬申の乱までの第1期に有間(ありま)皇子、
額田(ぬかた)王、
奈良遷都までの第2期に柿本人麻呂、
奈良時代前半の第3期に山上憶良(やまのうえのおくら)、
山部赤人(やまべのあかひと)、大伴旅人、高橋虫麻呂、
奈良時代後半の第4期に大伴家持、大伴坂上郎女などがある。
徴用兵士である防人(さきもり)の歌や、
東国民謡を含む東歌(あずまうた)も採取・編入されている。
和歌集として、
口承段階から文字使用による表現の段階への移行という歴史的条件を反映して、
日本における文学の誕生を告知し、
以後の文化の水源をなすとともに、
万葉仮名による表記法が国語学上きわめて重要な資料となってもいる。