西暦1981年、
IBMはアドレスを31ビットに拡張し(System/370-XA)、
オペレーティングシステム (OS) の一部をファームウェア化して互換機を作りにくくしたメインフレームコンピュータの3081K を発表した。
互換機メーカーであった
日立製作所は 3081K に関する技術文書をNAS(ナショナル セミコンダクターの汎用コンピュータ部門で、
日立製作所からOEM供給を受けていた)から入手した。
一方、
かねてからコンサルティングで
日立製作所との取引があったペイリン・アソシエーツ社から 3081K に関する報告書の売り込みがあった。
日立製作所はその目次を見て、
NASから入手済みの資料に酷似しており、
両方の文書が何らかの共通の資料に基づくものと判断。
ペイリン社に対して、「その資料は既に持っている。しかし、それは一部と思われるので、他にもあるなら購入したい」と伝えた。
ペイリン社の社長ペイリーは元IBM従業員であり、
日立製作所がIBM3081Kの資料を入手済みであることをIBMのボブ・エバンズ(当時、副社長)に通報。
結果として、
FBIによるおとり捜査が行われ、
日立製作所と
三菱電機の社員が逮捕されることになった。
刑事事件自体は、
西暦1983年2月に司法取引により決着した。
しかしIBMは
日立製作所に対して民事損害賠償訴訟を起こした。