KS磁石鋼 /
KS鋼
KS鋼は、コバルト・タングステン・クロム・炭素を含む鉄の合金(磁石鋼)である。
また世界初の永久磁石であり、
KS磁石鋼とも呼ぶ。
KS鋼の開発以前は主にタングステンを約6 %含むタングステン鋼が磁石鋼として用いられてきたが、
第一次世界大戦の勃発で輸入が途絶えてしまった。
西暦1916年(
大正5年)、
軍から要請を受け、
鉄の磁性研究に取り組んだ。
その結果、
西暦1917年(
大正6年)に東北帝国大学の本多光太郎と高木弘によって発明され、
当時としては世界最強の永久磁石鋼として脚光を浴びた。
また、同年に特許出願(32234号)、
西暦1918年2月22日に特許権を取得した。
その特許権を住友吉左衛門に無償で譲渡した。
これをもとに住友は英・米・独・仏・伊の特許を請求し独シーメンス社、
米ウェスティングハウス社が採用するに至り、
その特許料を得た住友は東北帝国大学に30万円(当時の金額)を寄贈した。
KS鋼の発明が、
計測機器の性能を向上させ、
工業発展に貢献し、
さらに日本での磁性材料研究が活発になるきっかけを作った。
西暦1931年(
昭和6年)に、
東京帝国大学の三島徳七が
KS鋼の2倍の保磁力を有するMK鋼を開発するが、
西暦1934年(
昭和9年)の本多らによる新
KS鋼は、
再び最強の磁石となった。
名前のKSとは、
本多らが所属する東北帝国大学臨時理化学研究所(後の金属材料研究所)に多額の研究費を寄付した住友吉左衛門(住友グループの前身・住友総本店店主、住友家第15代目当主)のイニシャルである。