蝦夷(えみし、えびす、えぞ)
古代の蝦夷は、
本州東部とそれ以北に居住し、
政治的・文化的に、
ヤマト王権やその支配下に入った地域への帰属や同化を拒否していた集団を指した。
統一した政治勢力をなさず、
積極的に朝廷に接近する集団や敵対した集団が記録に残っている。
しかし、
次第に影響力を増大させていく中央政権により、
征服・吸収されていった。
「えみし」は、
中央政権側からの他称であり、
蝦夷側の民族集団としての自覚の有無に触れた史料はない。
中央政権の支配地域が広がるにつれ、
この言葉が指し示す人々および地理的範囲は変化した。
近世以降は、
北海道・樺太・千島列島・カムチャツカ半島南部にまたがる地域の先住民族で、
アイヌ語を母語とするアイヌを指す。
大きく、
「エミシ、エビス(愛瀰詩、毛人、蝦夷)」と「エゾ(蝦夷)」という2つの呼称に大別される。
彼らがいかなる人種、民族であったかは、
江戸時代以後多くの史学者によって論じられてきたが決め手がなく、
一方、人類学者もこの解明を手がけたが、
人骨などの実証拠が乏しかった。
しかし、
古代、中世においても、蝦夷地、特に北海道の蝦夷は、アイヌであったとみられる。
近世以降は蝦夷はアイヌと同一視されている。
蝦夷という概念はこのように時代とともに変ってきている。