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航空機用語

作成日:2025/2/7

アルファベット順、よみがな順に記載する。

ADF(自動方向探知機)

ADF  英語:automatic direction finder / 自動方向探知機

ADFとは、 電波航法を行うために航空機に搭載される航空計器の一種で指定した周波数の電波を発信する無指向性無線標識(NDB)の方角を示す計器である。 無線方向探知機の一種だが主にラジオ放送を受信して放送局の方向を示すことからラジオコンパスとも呼ばれる。

船舶または航空機から適切な無線局までの相対方位を自動的かつ継続的に表示する。 元々は190kHz-535kHz中波帯の無指向性無線標識(NDB)を利用していたが、 のちに民間のラジオ放送局もNDBとして利用するようになり1700kHz中波帯まで拡張された。 RDFユニットと同様に、 ほとんどのADF受信機も中波(AM)放送局を受信できるが、 前述のように、 これらはナビゲーション目的では信頼性が低くなる。

約5度の精度しかないため近年ではより精度が高い超短波全方向式無線標識を利用する超短波全方向範囲(VOR)に世代交代しているが、 構造が簡単でコストが安いため古い時代には標準的に搭載されていた。 船舶などにも搭載されている。

CFIT(しーふぃっと)

CFIT(Controlled Flight Into Terrain)  一般的な呼称:シーフィット(cee-fit)

CFITは航空事故の一形態で、 耐空証明を受け問題のない航空機が問題のないパイロット(操縦士)によって操縦されている場合に、 衝突の可能性に気付かないまま山や地面、 水面、障害物等に衝突する事故のことである。 その多くはパイロットの操縦ミスや不注意、 状況に対する誤った対応に起因する。 CFITと言う用語は1970年代後半にボーイング社エンジニアが命名したとされる。

機材の故障や乱気流等の外部要因により制御不能(LOC-I : Loss Of Control In-Flight)に陥った結果(日本航空123便墜落事故など)や、 ハイジャック等によるパイロット以外の操縦による地表衝突(アメリカン航空77便テロ事件など)、 およびパイロット自身の(自殺を企図した)明らかな故意によると思われるもの(LAMモザンビーク航空470便墜落事故、ジャーマンウイングス9525便墜落事故)も事故原因の文脈においては通常CFITとはみなされない。

パイロットの技量や経験に関わらず、 CFITは起こり得るものであり、 その原因の多くは疲労や睡眠不足などによるパイロットの注意力の低下や方向感覚の喪失によるものである。 CFITの多くに共通する状況としては、 雲天や濃霧による視界の不良、 山や丘陵などの隆起した地形への衝突、 及び着陸降下中である事などが挙げられるが、 必ずしもこれに限定されない。 ...
現代においては対地接近警報装置 (GPWS・EGPWS) などの機器が整備され、 CFITの発生率は減少しつつあるが、 GPWSの警告をパイロットが軽視・無視したことによりCFITに至る(2012年スホーイ・スーパージェット100の墜落事故)など、現代においても依然として発生しうる事故である。

ボーイングによると、 CFITは人命の損失を伴う航空機事故の主な原因であり、 民間ジェット機の登場以来 9,000 人以上の死者を出しているという。 また、2008 年から 2017 年の間に国際航空運送協会(IATA)が収集したデータによると、 民間航空機事故においてCFITを原因とする事故は全体の6%を占め、 飛行中の制御不能(LOC-I)に次いで2番目に高い死亡事故カテゴリーに分類されている。

VFR(有視界飛行方式)

VFR(visual flight rules) / 有視界飛行方式

VFR有視界飛行方式)とは、 離陸後に目視にて位置を判断する飛行の事である。
なお、 有視界飛行方式は、 厳密には「有視界飛行方式による飛行」。

日本国の航空法施行規則 第六条の二によると、 「有視界飛行方式 (VFR) とは、計器飛行方式 (IFR) 以外の飛行の方式をいう」とある。 また、日本国航空法において「計器飛行」とは、 「航空機の姿勢、高度、位置および針路の測定を計器のみに依存して行う飛行」であって、 前述したIFRは管制官や運航情報官の指示や提供情報に常時従って飛行する方式であり、 意味は異なることに注意。

VOR

VOR(VHF omnidirectional radio range) / 超短波全方向式無線標識

VOR超短波全方向式無線標識施設)は、 VHF帯(超短波帯)の電波を用いて方位情報を与える航空機用無線標識。 標識局を中心として航空機がどの方向にいるかを知ることができる。 多くの場合DME(距離測定装置。電波が一定速度で伝搬する特性を利用して距離を測定する装置)と併設される。

VORとDMEが併設された施設は、 VOR/DMEと呼ばれ、 その読み方には「ブイオーアール ディーエムイー」「ブイオーアール デメ」「ボル デメ」がある。

アプローチ

アプローチ(Approach)

アプローチとは、 飛行機が滑走路に向かって最終的に降下、進入していく段階(フェーズ)のこと。 STARの終わりから滑走路まで続く最後の降下の段階(フェーズ)。 速度を落としながらフラップやギアを出し着陸の最終準備へと移る忙しい段階(フェーズ)である。
航空機において、 アプローチには大まかな分類では4種類ある。

入域管制(アプローチ)は、 航空路管制からハンドオフされた航空機をレーダーにより、 指定した到着経路(STAR)で計器進入開始点や場周経路(トラフィックパターン)まで監視、誘導する。

アメリカ連邦航空局(FAA)

アメリカ連邦航空局(Federal Aviation Administration)  略称:FAA

アメリカ連邦航空局は、 アメリカ合衆国運輸省の下部機関で、 航空輸送の安全維持を担当する部局。 アメリカ国内での航空機の開発・製造・修理・運航の全ては、 同局の承認無しには行えない。 本部はワシントンD.C.に置かれている。

ウインドシア

ウインドシア(windshear)

ウインドシアには、 航空と気象の分野の定義がある。 航空のウインドシアは飛行機の進行方向に沿う気象のウインドシアに飛行機の速度を乗じたものである。 風の急変する場所にあるとき、 重量のあるジェット輸送機は、 揚力を急変させるが、 この現象は離着陸時で揚力と高度が低レベルにある状態、 及び音速に近い高速で飛行している時に問題となり、 ウインドシアが注目される。 飛行機は主として後方からのウインドシアによる対気速度減少分を補うために追い風に押される形で速力を加速させようとするが、 この際ジェット輸送機は、 その重量のため加速が追い付かず、 さらに操縦のタイミング遅れも手伝って事故になることもあり、 またウインドシアによる対気速度の減少量が飛行機の加速性能に勝れば無事に飛行を継続できない。

エアボーン

エアボーン(airborne)

航空機が離陸した状態のことや、転じて離陸タイミング、離陸した瞬間を指す。

他にも、「航空機により部隊を機動・展開させる戦術」などの意味があるが、 航空機用語としては、上記「離陸した状態」だけを解説する。

エルロン(補助翼)

エルロン(仏語:aileron)/ 補助翼

エルロンとは、 左右の主翼後縁の外側に取り付けられており、 飛行機の左右の傾き (ロール) を制御するために使われる。
具体的には、 片側のエルロンを下向きに、 反対側のエルロンを上向きに動かすことで、 飛行機を左右に傾ける。
エルロンは、操縦桿を左右に動かすことで操作する。 例えば、操縦桿を右に倒すと、右側のエルロンが下がり左側のエルロンが上がることにより機体は右に傾く。 エルロンは、飛行機の旋回、安定性の維持、そして複雑な操縦の実行に不可欠な役割を果たしている。

海里(マイル)

海里/浬(かいり)
マイルNautical Mile 略称:NM))seamile

海・空を航行するときに使われるマイルは海里又はと書かれる。 海上で船の位置を表すのに緯度・経度を用いるのが便利であったことから、 地球の緯度1゚の長さの平均値を目安に定められたものであるが、 国によって多少の違いがあり、 日本では1,852m、 イギリスでは6,080フィート=1,853.1824m、 アメリカでは6,080フィート=1,853.1887mとなっている。
また,船及び航空機の速さを表すときは、 時速1海里を1ノットという。

一方、 陸の長さを表すマイルは、1マイル=1,760ヤードでイギリスでは1,609.343m,アメリカでは1,609.347mとなっている。

ガストロック

ガストロック

ここでいうガストとは突風のことで、 突風で舵面が動いてしまうことがないように固定することをガストロックという。 やり方としては、操縦席の操作系を固定する方法や、 舵面に物理的に介添えをして固定する方法がある。

たまに、このガストロックを外し忘れたまま離陸を始めてしまう事故が起きることがある。 舵面が動かないように固定するのがガストロックだから、 そのまま飛び立とうとしても舵面は動かず、 当然ながら機体のコントロールはできず、 事故になってしまう。

プロペラ機では、 駐機している時にプロペラが風で回り出してしまったら危険である。 大きなローターが付いているヘリコプターならなおさらだ。 だから、プロペラ機やヘリコプターが駐機する時に、 プロペラあるいはローターをケーブルで固定することがある。 ただし、すべての機体が常にやっているというわけでもなく場合による。

滑走路視距離(RVR)

滑走路視距離(runway visual range)  略称:RVR

滑走路視距離は航空気象の用語で、 滑走路上の操縦士が見通すことができる距離を言う。 操縦士が滑走路の中心線上から滑走路面の標識、 あるいは滑走路の輪郭または中心線を示す灯火を識別できる距離である。

滑走路視距離は、前方散乱計(一部の空港では透過率計)により測定される。 RVR は通常メートルあるいはフィートで表される。

ほとんどの場合、 操縦士は滑走路を視認して航空機を着陸させるため、 RVRは計器進入の主な最低基準の一つとなっている。 RVR の最大値は 2,000メートルあるいは 6,500フィートとなっている。

それ以上の値であれば、RVR の値がいくらであろうと着陸に重要な情報ではないため、 航空気象観測において通報する必要はない。 RVR はMETARやSPECIに含まれ電文として配布される他、 航空管制官が測器の値を進入する航空機へ伝える。 これによって操縦士は進入するかどうかを判断する。

慣熟飛行

慣熟飛行(かんじゅくひこう)  英語:orienteering flight

パイロットが、操縦する航空機や、 使用する飛行場とその周辺の地形に慣れるために行う飛行のこと。
通常は最初の数回を指すが、 技量維持などのために行う飛行でもこの用語が用いられる。
特定の飛行目的が決まっていない場合にも、 便宜上の飛行目的として、 慣熟飛行が用いられることがある。
訓練飛行ではない。

気嚢(きのう)

気嚢(きのう)

飛行船における気嚢とは、 空気より比重の小さい気体をつめたものであり、 この気嚢によって飛行船は浮き上がることができる。 飛行船の最も大きな体積を占めている部分である。

機体の大部分を占めるガス袋(気嚢)に水素もしくはヘリウムが充填されている。 通常、ガス袋は空気抵抗を低減させるため細長い形状をしており、 乗務員や旅客を乗せるゴンドラやエンジンおよびプロペラなどの推進装置が外部に取り付けられている。

現在では、飛行機の発達と普及もあり、 大型飛行船は使われなくなり、 広告宣伝用や大気圏の観測用等として、 不燃性のヘリウムガスを利用した飛行船が小規模に使われている。

距離測定装置(DME)

距離測定装置(Distance Measuring Equipment)  略称:DME

パイロットが知っておきたい位置情報は「高度」、「飛行コース」、「目的地までの距離」である。 その内「目的地までの距離」を知るために開発されたのが距離測定装置DME)である。
機上DME(航空機)が地上DME(地上局)に質問電波を発射し、 地上DMEがこれに応答することによって、 航空機と地上局間の距離情報を海里(マイル)で得ることができる。 また一般に、 方位情報を与えるVOR(108MHzから118MHzの周波数を使用)と併設して利用され、 VOR/DMEと呼ばれる短距離用航法援助施設を形成する。

機上のインテロゲーター(自動質問装置)と地上局のトランスポンダー(自動応答装置)から構成されている。 インテロゲーターから特定の地上局を指定して1000メガヘルツ帯のパルス電波が発信されると、 地上局のトランスポンダーは受信と同時に質問波と63メガヘルツ離れた周波数による応答電波を発信する。 機上の装置ではこれを受信し、 コンピュータにより二つの電波の時間差を測定し、 この時間差を距離に換算して操縦席前の指示器にデジタル表示する。

DMEは700キロメートルくらいの範囲内で航空機から地上局設置点までの直線空間距離を測定するもので、 地上局の方位を知ることはできない。 そこで通常、 VOR(超短波全方向式無線標識施設)と組み合わせて方位と距離を同時に測定し航空機の位置を求める。 これをVOR/DME方式といい、 西暦1960年に国際民間航空機関(ICAO(イカオ))の国際標準方式として採用された。 DMEは比較的新しい装置であるが、 近距離航法施設としては非常に有効であるため、 世界的に空港や航路上の要所に多数の地上局が設置されている。

グライドパス

グライドパス(glide path)

航空業界における計器着陸装置のグライドパスは、 主にグライドパス(G/P)グライドスロープ(G/S)を指し、 計器着陸装置に組み込まれ、 最適な降下経路からの航空機の垂直方向のずれを示す垂直誘導システムである。
グライドスロープステーションは、 滑走路中心線から約250フィート~約650フィート、 滑走路接地帯から約750フィート1250フィートずらして設置され、 滑走路に隣接しているタワーに設置したフェーズド・アレイ・アンテナを用いる。
グライドスロープは328~336MHzの極超短波(UHF)周波数帯の電波を送信している。 ローカライザと同様に、 グライドスロープシグナルは90~150Hzに変調した音波を搬送波に乗せている。 グライドスロープシグナルの中心は地平線上から約3°のグライドパスに設定されている。

クルー・リソース・マネジメント(CRM)

クルー・リソース・マネジメント(Crew Resource Management)  略称:CRM

クルー・リソース・マネジメント(CRM)とは、 航空分野で開発された概念で、 安全な運航のために利用可能な全てのリソース(人的資源や情報など)を有効活用するという考え方である。 当初はコクピット・リソース・マネジメント(英: Cockpit Resource Management)と呼ばれていたが、 概念の発展に合わせて現在の呼び方に改められた。 略称の「CRM」が用いられることが多い。
主に航空会社のコックピット内コミュニケーションやリーダーシップ、 意思決定に焦点が当てられる。 その後、航空界だけでなく、ヒューマンエラーが安全に大きく関わる医療、 海運、 原子力発電などの分野にもCRMの考え方が広がっている。

計器着陸用施設(ILS)

計器着陸用施設(Instrument Landing System)  略称:ILS

ILSとはInstrument Landing Systemの略で、 日本語訳では計器着陸用施設という。 パイロットはそのまま、アイエルエスと呼んでいる。
このILSは滑走路の端から電波を出す施設のことで、 パイロットはその電波をたどって滑走路に向かう。 ILSローカライザーグライドスロープという二種類の電波が出ている。
ローカライザー
横方向のガイダンス。 飛行機の横方向のズレを知らせてくれる。 この電波をしっかりフォローできれば滑走路のまっすぐ延長線上を飛べるようになる。
グライドスロープ
上下方向のガイダンス。 飛行機は3度の角度で降下し着陸している。 グライドスロープは滑走路端から3度の角度で発射されている電波で、 この電波をしっかりフォローすれば滑走路に向けて正確に3度の角度で進入することができる。
この横方向と上下方向の2種類の電波を参考に滑走路へと向かっていく。 新しいシステムではないが、 このILSの電波は非常に正確で精密なため、 ILSでの着陸が今ある最も精密な進入方式になる。 施設によって多少の差はあるが、 視程(見通せる距離)が550m以上ならILSアプローチを実施することができ、 ILSアプローチを実施した後は滑走路面から高さ200ftまでに滑走路や定められたライト類が見えたら着陸することがでる。 そこで見えなかったらゴーアラウンドすることとなる。 ...
**************** 以下、未整理 元ネタ

ILSにはカテゴリーというランクがあり、 通常のILSはカテゴリー1という。 カテゴリー2と3もありカテゴリー3では最後まで滑走路等何も見えなくても自動操縦にて着陸することができる。 カテゴリー2も自動操縦で着陸することが必須だが100ft(約30m)までに滑走路等が視認できないと着陸することができない。 そのためローカライザーやグライドスロープの電波の精度やバックアップの要件などがカテゴリーが上がるにつれて厳しく設定されている。 ここまで視程が低いと目視では着陸するのは危険ですので自動操縦で着陸します。実際体験したことがありますが何も見えないし本当にちゃんと着陸してくれるのか恐怖感は少しあります。最後まで何も見えず、計器や着陸の軽い衝撃で着陸したことがわかりホッとします。 カテゴリー1では悪天でも手動で着陸しています。ILSの電波をしっかりフォローすれば雲から出て視界が開けた時、滑走路のまっすぐ延長線上のいい所に飛行機がいるので精度の高さに毎度感心しております。 ILSカテゴリーまとめ カテゴリー1 高度200ft(約60m)までに滑走路等が見えたら着陸できる。手動着陸。 カテゴリー2 高度100ft(約30m)までに滑走路等が見えたら着陸できる。自動着陸。 カテゴリー3 滑走路等が全く見えなくても着陸できる。自動着陸。 ILSのいいところ、悪いところ 他のタイプのアプローチよりも外が見えない状態でも降りていける高度が低い(=電波の信頼性が高い)ので悪天候でも着陸できる可能性が上がるところがいい点です。 最終的には高度200ft(約60m)で滑走路等が見えれば着陸できます。レインボーブリッジや横浜ベイブリッジの海面から橋げた部分までの高さ(=船が通れるところ)が55m前後ですから、それくらいの高さが地上から見えていたら着陸できるということになります。 さらにILSは世界中の空港にも設置されておりパイロットが最も慣れているアプローチの方式ですので操縦の面でも安心感があります。 悪い点はILSは高性能なためカテゴリー1でも設置するのに数億円かかると言われています。さらに着陸前に飛行機が直線区間を長くとる必要があるので山など空港周辺の地形的な制約から設置できない場合もあります。この直線区間は少なくとも10km以上は必要ですので場合によっては遠回りになってしまうこともあります。 例えば伊丹空港は北側に山地があるので南向きのRW14サイドにはILSを設置することができません。そのため南風が強く天気が悪い場合には欠航率が高くなります。 基幹空港には滑走路両側にILSがついていることが多いです。交通の要所なので悪天候でも就航率を落とさないようにするためや、建設費をかけれることが理由ではないでしょうか? しかし地方空港になると滑走路の片側にしかないことが多いです。使用頻度の多い滑走路側についていたり、特定の方向から風が吹くと天気が悪くなる特徴のある空港ではその方向の滑走路にILSを設置しているようです。 例えば釧路空港は南風が吹くと特に夏頃は海霧で視程が悪くなるので滑走路の南向き側(RW17)はカテゴリー3が設置されていますが、北向き側(RW35)にはILSはどのカテゴリーも設置されていません。 滑走路両側にILSが設置されていない地方空港もあります。 例えば出雲、南紀白浜、信州松本空港などです。 ILSが設置されていないので欠航率が高いイメージがあります。 カテゴリー2や3はさらに高価なため一部基幹空港や特別に視程が悪い状態が発生しやすい空港に設置されています。 カテゴリー3が設置されているのは、新千歳、釧路、成田、羽田、中部、広島、熊本空港になります。 カテゴリー2、3がある空港でも普段の天気程度であればカテゴリー1で着陸しています。 最後までお読みいただきありがとうございました。今回はILSアプローチについてシェアしました。 またのご搭乗お待ちしております

決心高(DH)

決心高(Decision Height)  略称:DH

決心高とは、 精密進入を行う場合において、 進入及び着陸に必要な目視物標を視認できないときに、 進入復行を行わなければならない滑走路進入端又は接地帯からの高さ(端的な表現では、滑走路つまり地面から機体までの距離)をいう。

なお、 決心高決心高度とは異なるので注意が必要である。

決心高度(DA)

決心高度(Decision Altitude)  略称:DA

決心高度とは、 精密進入を行う場合において、 進入及び着陸に必要な目視物標(滑走路または進入灯など)を視認できないときに、 進入を継続せず進入復行を行わなければならない高度をいう。

決心高度は、 標高、言い換えれば高度計に表示される高さ。

なお、 決心高度決心高とは異なるので注意が必要である。

航空機衝突防止装置(TCAS)

航空機衝突防止装置(Traffic Alert Collision Avoidance System)  略称:TCAS
ACAS 国際民間航空機関(ICAO)で採用され主にヨーロッパで使用される名称
実運用では、米国製のシステムが広く採用されているため、「TCAS」という呼び方が一般的

航空機衝突防止装置TCAS)は、 近接する他の航空機がもつトランスポンダーに質問信号を送信し、 その応答信号を受信して、 空中衝突の恐れのある航空機との衝突回避に必要な垂直方向の回避指示を航空機乗組員に提示し、 空中衝突を未然に防止するための機上装置。
自機の周り半径 15NM 以内にある航空機を検出するために、 トランスポンダーからモード Cもしくは S の質問パルスを 1秒に 1回送信し、 TCAS アンテナで応答パルスを受信。 受信時間を追跡することにより相手機との距離の変化率を計測するほか、 応答パルスに含まれる高度情報から高度変化率を計測することができる。 これら相対位置関係の変化率をもとに、 自機と衝突の危険性が高い範囲内(自機を中心においた保護区域)に接近する可能性がある航空機を、 脅威機として選出する。
TCASのアドバイザリーには、 約25秒~48秒以内に衝突のおそれがある周辺機の情報を表示するTA(トラフィック・アドバイザリー)と、 約15秒~35秒以内に衝突するおそれのある周辺機に対する回避操作を指示するRA(レゾリュージョン・アドバイザリー)の2種類がある。

国際民間航空機関(ICAO)

国際民間航空機関(International Civil Aviation Organization)  略称:ICAO

国際民間航空機関ICAO)は、 国際連合経済社会理事会の専門機関の一つ。 本部はカナダのモントリオールにある。 略称は、日本語では「イカオ」や「アイカオ」と読まれることが多く、 英語圏では「アイケイオウ」と読まれることが多いが、 英語圏以外では「イカオ」という読みが一般的である。

第二次世界大戦における民間機の発展に伴って西暦1944年に締結された国際民間航空条約(通称シカゴ条約)に基づき、 西暦1944年に発足した。 国際民間航空に関する原則と技術を開発・制定し、その健全な発達を目的とする。 シカゴ条約批准国は自動的にICAOに加盟することになっており、 西暦2008年の時点で加盟国は190か国。 日本は、 西暦1953年にシカゴ条約を批准するとともに、 ICAOへと加盟した。

日本は西暦1956年以降、 理事国の一つとして活動を続けている。 また、拠出金もアメリカ合衆国、中国についで多い額を払っている。

加えて、ICAOはシカゴ条約を批准する各国の運輸安全当局の準拠となる、 航空機事故調査に関する条約を定めている。

ICAOは、 署名国の中で国際的な権限を与えられている点が他の国際航空運送組織とは異なる。 他の組織には、 航空会社を代表する業界団体である国際航空運送協会(IATA)などが挙げられる。

国家運輸安全委員会(NTSB)

国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board)  略称:NTSB

国家運輸安全委員会は、 アメリカ合衆国における輸送に関連する事故を調査し、 原因を究明し対策を研究し将来の事故を防止する目的で勧告等を行う国家機関。 強い独立した権限を有し、 航空機操縦士、 航空機関士、 整備士、 船舶乗組員等のための海難審判所や裁判所に類似する機能も有する。

コックピットボイスレコーダー(CVR)

コックピットボイスレコーダー  略称;CVR

コックピットボイスレコーダー(CVR)は、 航空機事故や事件の捜査のため、 主に旅客機のコックピット内の音声を録音するために使用される。
コックピットの天井に取り付けられた会話収音用マイクロフォンでコックピット内の音声が収録され、 また航空無線機の音声信号(航空交通管制)も簡易なミキサーを通じて収録される。 該当するFAA TSOはC123b「Cockpit Voice Recorder Equipment」である。
ほかの場所に記録されない限り航空機はCVRを携帯する必要があり、 またCVRは航空交通管制との通信を記録することが要求される。
西暦2008年現在、 記録時間が2時間以上であることがFAAの要件であるため、 標準的なCVRは2時間4チャネルのオーディオデータを記録することができる。 以前の要件では記録は30分間だったが、 調査に必要な音声データの重要な部分は記録終了の30分以上前にある場合が多かったため改正された。
CVRにはフラッシュメモリが内蔵されデジタル記録がされている。 高度な技術を使用し、衝撃、振動、湿気に耐えられるようにしている。
航空機の事故時には電源を喪失することも多い。 電源喪失時にも記録を継続する事が出来るように多くのCVRには蓄電池が組み込まれている。
コックピット内のクルーの会話は重要な証拠であるが、 会話に事故原因につながる手がかりがほとんど見られない例もあり(大韓航空機撃墜事件やチャイナエアライン611便空中分解事故など)、 この場合原因解明が困難になる。

最低安全高度

最低安全高度 航空法施行規則174条に定められている

法第81条の規定による航空機の最低安全高度は、次の通りにする。
  1. 有視界気象条件により飛行する航空機にあっては、飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度及び次の高度のうちいずれか高いもの。
    • イ)人又は家屋の密集している地域の上空にあっては、当該航空機を中心として水平距離600mの範囲内の最も高い障害物の上端から300mの高度。
    • ロ)人又は家屋のない地域及び広い水面の上空にあっては、地上又は水上の人又は物件から150m以上の距離を保って飛行することができる高度。
    • ハ) イ及びロに規定する地域以外の地域の上空にあっては、地表又は水面から150m以上の高度。
  2. 2)計器飛行方式により飛行する航空機にあっては告示で定める高度。

最低安全高度警報(MSAW)

最低安全高度警報(Minimum Safety Altitude Warning, MSAW)  略称:MSAW

最低安全高度警報MSAW)とは、 航空機が定められた最低高度を下回って飛行したり、 地表や障害物に接近あるいはその可能性が高くなった際、 このことを航空管制官(ATCO)に対して警報するシステムである。 地上に設置され、航空機が地表や障害物に接近した際に、 管制官に対して自動的に警報が発せられ、 CFITの危険性増大を警報するセーフティーネットとなることを意図している。

ICAO文書4444 では、 管制レーダーシステムは最低安全高度警報等の安全に関連した警報類を表示しなくてはならない、 と規定している。 ただし当該 ICAO 文書は用語としての MSAW を定義してはいない。 代わりに、MSAWという用語はATC関連職員の間ではあいまいにデータ処理システムによる警報機能の一つである、 というふうに解釈されている。

姿勢指示器

姿勢指示器(attitude indicator)  略称:AI or ADI(attitude director indicator)
人工水準器、人工水平儀、姿勢儀

航空機に取り付けられる多数の航空計器うち必ず取り付けられる計器のひとつである。
航空機の姿勢を水平線と比べて表示するようになっており、 ピッチやロール(翼と機軸が水平か上向きか下向きか)を角度によって見分けることができる。 また、外が暗く地平線・水平線が見えない場合や、 霧や雪が激しく地面が見分けられないときなど視界が悪いときにも役立っている。 空を青色か水色、地面や水面を茶色か黒色に塗り分けた球を背景に持ち、 手前に表示された自機のシンボルマークとの対比で自機の姿勢を視覚的に把握できる。 西側諸国で製造された飛行機の場合、 自機のシンボルマークは計器盤面に固定され、 背景の2色の球が回転することで自機の姿勢を表現している。 一方、東側諸国で製造された飛行機の場合、背景が固定され、 自機のシンボルマークが回転することで姿勢を表現しており、 この違いが原因で墜落事故を引き起こした例が存在する(クロスエア498便墜落事故、アエロフロート821便墜落事故など)。 また、角度を示す白色のラインも表示されている。

昇降舵

昇降舵(elevator)

昇降舵は、飛行機の操縦に用いる動翼の一つ。 エレベーターやエレベータと呼ばれることもある。 機体の左右軸を中心とした動きを制御し機首上げ、機首下げの姿勢にするために使う。 主翼と尾翼を備えた一般的な形状の飛行機では、水平尾翼後部の動翼が昇降舵になる。

進入復行

進入復行(Missed Approach)

計器飛行方式による進入中に、 安全な着陸および停止を完了する事ができない場合に再上昇する手順のこと。
アプローチのクリアランス発出前にATC(Air Trafic Control、航空交通管制)により進入復行の指示が行われることもある。 ATC によるアプローチ前の特別な指示が無い状態で進入復行が実行される際には、 パイロットは公示された(アプローチチャートに記載された)手順に従わなくてはならない。

スティックシェイカー

スティックシェイカー(stick shaker)

失速警告として一般的な装置が操縦桿を振動させるスティックシェイカーである。
これは機体の失速直前に操縦桿が素早く小刻みに音を立てながら振動する(シェイクする)機能である。

精密進入

精密進入

精密進入とは、 着陸のために進入中の航空機に対し、 ILSを用いた進入の内、 2種類の誘導電波の指示を受けることができる進入方式。
2種類の誘導電波とは、 航空機に対する進入方向と降下経路のことで、 視界不良時等、 天候が悪いときにも所定のコースに沿って正確に進入着陸が可能。 精密進入着陸を行なう場合は、 それぞれのカテゴリに応じた滑走路視距離(RVR、滑走路中心線上の航空機のパイロットが滑走路中心線灯等を視認できる最大距離)や決心高が決められている。
なお、 非精密進入とは、 進入方向もしくは位置情報のみの指示を受けて進入着陸するため、 悪天候(視界不良時)では着陸できない場合がある。

対気速度計(ASI)

対気速度計(airspeed indicator:ASI)/ 対気速度ゲージ(airspeed gauge)

対気速度計は、 航空機の対気速度をキロメートル/時 (km/h)、ノット (kn)、マイル/時 (MPH)またはメートル/秒 (m/s) の単位で表示する航空計器。
ICAOは、 km/hを使用することを推奨しているが、 現在でも最も使用されている単位はノットである。 対気速度計は、 静的ポートからの静圧とピトー管からの全圧との圧力差を測定する。 この圧力差は、計器表面のASI指針に記録される

対地接近警報装置(GPWS)

対地接近警報装置(Ground Proximity Warning System)  略称:GPWS
or Terrain Proximity Warning System   or 地上接近警報装置

対地接近警報装置GPWS)とは、 操縦士の自覚なしに航空機が地物に異常接近した場合、 操縦者に警報する装置。
電波高度計の対地高度・気圧変化による昇降率・離着陸形態・グライドスロープからの偏差情報に基づき、 航空機が地表に異常接近した場合に警告灯の点灯と、 「上昇せよ(Pull Up)」や「降下するな(Don't sink)」など状況に応じた音声による警報が行われる。 警報は回避操作が行われてから航空機が危険な状態から脱するまでの時間的余裕をもって発せられ、 航空機が危険な状態から脱するまで継続する。 なお、GPWSは他の警報装置と異なり警報の作動が直接操縦者による航空機の機動に結びつくため、 主脚の状態を検知することで、 通常の運航や通常の進入着陸の際は警報を発しないように設計されている。
上記の機能に加えて、 地球上の約95%の地形データ(空港の位置と周囲の障害物を含む)をデータベースに持ち、 GPS等を利用して得られる航空機の正確な位置と照合して、 従来のものに比べて素早く音声および画面表示による警告と情報を与える新型 (enhanced GPWS, EGPWS) もある。 これは、 従来の電波高度計によるGPWSでは、 切り立った崖や急斜面では回避が間に合わない可能性があるためである。 旅客機向けとして、 主要な空港付近では警報を自動的に止めるなど利便性のための機能もある。
近年では各種情報を統合し、 自機と地面や他機との距離を立体的に表示する機能を備えたグラスコックピットも登場している。

ダイバート

ダイバート  英語:divert

ダイバートとは、 航空機の運航において、当初の目的地以外の空港などに着陸すること。

ダイバージョン (diversion)・代替着陸目的地外着陸緊急着陸とも呼ばれる。 旅行業界では、内部文書において慣例的に "div out" と表記することもあるが、 これは本来とは違う目的地へ向かうという意味から、 原語を "dive out" と勘違いしたための用法である。 なお原語は「ディバート」に近い。

ダウンバースト

ダウンバースト(downburst)

ダウンバーストとは、 ある種の下降気流であり、 これが地面に衝突した際に四方に広がる風が災害を起こすほど強いものをいう。 この突風は風速50mを超える場合がある。
気象学者の藤田哲也はシカゴ大学在籍時、 西暦1975年6月24日に発生した「イースタン航空66便着陸失敗事故」の調査を行い、 このときの下降流がそれまで考えられていた積乱雲の下降流と異なるため、 downdraft outburstと呼び、 このときよりdownburstダウンバースト)の呼称で呼ばれるようになったとされる。

タキシング

タキシング/タクシング  英語:英: taxiing

タキシングは、 航空機が自らの動力で地上を移動すること。 多くの場合飛行場の誘導路上を車輪で行うが、 スキー装着機による雪上の移動やフロートによる水上移動もタキシングと呼ばれる。 ...
タキシングのための推力は、 航空機自身のプロペラあるいはジェットエンジンを用いる。 制動は操舵ペダルを踏み込むことによって行う。 方向転換は前輪もしくは尾輪を操舵する。 小型機では操舵機能を持たないものもあり、 この場合は左右個別のブレーキ操作で機首の向きを変える。 大型機ではラダーペダルやティラー(英語:Tiller)を使うことが多い。

ヘリコプターでは、 スキッドしか持たない機種では浮き上がらない限り移動できない。 これは「ホーバータキシング」または「エアタキシング」とも呼ばれる。 車輪を持つ機種であればタキシングが可能であるが、 この際にはローターのダウンウォッシュによって付近に駐機している軽飛行機等が容易に浮き上がってしまう(最悪の場合には輪止めを乗り越えて動いてしまう)ので、 タキシングの経路に規制が掛けられる。

ジェットブラストによる地上作業係員の保護、 地上車両の横転 / 転覆や設備の破壊、 駐機中の他機の浮き上がりなどの防止のため、 飛行場ではエリアによりタキシング時のエンジン推力を規制している。 同様の理由で、 ターミナルから後退して離れる際の逆噴射装置の使用(パワーバック)は原則禁止されている(空港によっては制限利用を認めている空港もある/アメリカの国内線空港に見られる)ため、 車両による牽引を受ける。

飛行場の大型化に伴い、 タキシング距離が非常に長くなったため、 航空機自身の動力による移動は効率が悪い(例えばボーイング747は、タキシング1分あたりおよそ50 - 60リットルの燃料を消費する)。 このため牽引車両による移動範囲の拡大が検討されている。 特にヨーロッパを中心にプッシュバックから滑走路までのタキシング時にエンジンを始動させないで走行できるように電気自走タキシングシステムやハイブリッド電気牽引車の開発研究が進み、 WheelTugのような後付けシステムも登場している。 また大型旅客機では燃料消費の低減のため、 着陸後にターミナルまで移動する際のタキシングに限り1基ないし2基(4発機の場合)のエンジン停止が行われることがある。

ダッチロール

ダッチロール

ダッチロールとは、 飛行中の航空機が不安定になり、 ローリング(横揺れ)とヨーイング(偏揺れ)が連動した蛇行運動を行う現象。 この運動は、一般的に減衰が弱く、短い周期で繰り返される振動運動で、 日本機械学会の辞書によると、 「ダッチロール」という名称は、 昔のオランダ人のスケートのスタイルに似ていることからつけられたとされている。

着陸復行(ゴーアラウンド)

着陸復行着陸復航) / ゴーアラウンド(Go-around)

着陸復行または着陸復航とは、 着陸の際、滑走路上に障害物を発見したり、気象条件による視界不良、先行機と充分な間隔が取れない場合などのアクシデントが発生した際、 直ちに着陸を止め再上昇すること。 ゴーアラウンド(Go-around) とも言われる。 ...
パイロットが自身の判断で行うことも、 また、管制官が滑走路又は航空交通の状況等の事由により到着機の進入継続が安全でないと判断される場合に指示を行うこともある。 「着陸復航」と記述されることもある。 単に「復行」と言った場合には進入復行ではなく着陸復行を指すことが多い。

極端に接地点が奥にいってしまった為にそこから再上昇しても、 タッチアンドゴーとは言わずに着陸復行になる。

海軍航空隊ではゴーアラウンド(Go-around)ではなくウェーブ・オフ(Wave off)と呼称する。

近年の旅客機では、 オートスロットルを利用して上昇可能な推力までスロットルを動かして加速する一連の手順をTO/GAスイッチ(Takeoff/Go-around switch)を押すだけで自動的に行う機能を搭載している機種もあるが、 誤ってスイッチが押され着陸復行モードに移行したことにより空間識失調が引き起こされ墜落した事例もある(アトラス航空3591便墜落事故)。

操作ミスを減らすためオートランド作動中にTO/GAスイッチを押すと着陸モードが解除され、 着陸復行モードに移行する。

着陸復行を決定できる限界高度があるため、 対地接近警報装置には「decision height」「decide」など音声で知らせる機能がある。

動翼

動翼  英語:moving surface, flight control surface

動翼は、 航空機の構成要素の一種。 補助翼・方向舵・昇降舵などの主操縦翼面(いわゆる舵面)に加え、 フラップ・スポイラー・エアブレーキなどの二次操縦翼面を含めた可動する平板状装置全般を指すことが多い。 ただし回転翼(プロペラ、ローター)は動翼とは呼ばれない。

ほかに、ミサイルやロケットなどの可動する翼面も動翼と呼ばれる。

動翼に対して、可動しない平板状構造(主翼を除く)は安定板と呼ばれる。

また、ターボファンエンジンなどのガスタービンエンジンでは、 回転部分に使用されるタービン・ブレードなどを動翼、 ステーター・ベーンやノズルなどの静止部分に使われる翼を静翼と呼ぶことが多い。

パイロットエラー

パイロットエラー(pilot error) / コックピット・エラー (cockpit error)

パイロットエラーないしコックピット・エラーとは、 航空機の事故や事件において、 そのおもな原因なり要因のひとつと認定された、 パイロットが航空機について行なった判断、行為、ないし、不作為。 パイロットエラーには、 職務執行における、 誤操作、見落とし、些細な判断の過誤、不十分なデューディリジェンス(正当な注意義務及び努力)などが含まれる。

今日の事故調査においては、 より広い観点から、 事故に至った一連の出来事の連鎖の中で、 システムに組み込まれるヒューマン・ファクターがどう馴染んでいたかを検討することが、 標準的な作業とされている。

現代の事故調査においては、 誰が非難されるべきなのかを探ることではなく、 その事故が起きた原因は何なのかを判断することに主眼が置かれるため、 「パイロットエラー」という言葉は極力避けようと努められる。 さらに、パイロットに責任を負わせようとする見方は、 パイロットがより大きなシステムの一部の要素であることを考慮しておらず、 例えば、パイロットエラー自体がパイロットの疲労や、 労働負荷、訓練不足などによって引き起こされることに目を向けていない。 国際民間航空機関 (ICAO) と加盟諸国は、 航空事故におけるヒューマン・ファクターの役割についての理解を改善する取り組みの一環として、 1993年に原因モデル採用している。

パイロットフライング(PF)

パイロットフライング(Pilot Flying)  略称:PF

操縦士が2人いる民間航空機において、操縦を担当する側のパイロットのこと。

対して、もう一方の操縦士の担当をパイロットモニタリング(PF:Pilot Monitoring)という。

ピッチ・トリム・コンペンセーター(PTC)

ピッチ・トリム・コンペンセーター  英語:pitch trim compensator  略称:PTC

飛行機にタック・アンダー現象が起こると, 縦安定が負になることを意味し, 安定性上,きわめて具合が悪いことになる。

したがって,DC-8機では,マッハ0.78以上の速度に達した後は, 自動的に昇降舵の操舵力を補正し, タック・アンダーの影響を相殺することによって, 安定性を人工的に正にするPTCを備えている。 マック・トリム・システムと呼ばれることもある。

ピッチング

ピッチング()/ 縦揺れ

機首の上げ下げの運動をピッチング(縦揺れ)といいう。 ピッチングは、 水平尾翼により安定性を確保し、 昇降舵で姿勢をコントロールする。

ピトー管

ピトー管(Pitot tube)

ピトー管は、 流体の流れの速さを測定する計測器である。 発明者であるアンリ・ピトーにちなんで命名され、 その後ヘンリー・ダルシーやルードヴィッヒ・プラントルにより改良された。 航空機の速度計や風洞などに使用される。
アンリ・ピトーは西暦1732年11月12日に、 パリ科学アカデミーでこの流速を直接計測できる発明を発表した。 当時ベルヌーイの定理はまだ発表されていなかったため、 彼はまったく直感的な根拠によってこの装置を利用した。 ピトー管の動作とその使用における合理的な理論をベルヌーイの定理に基づいて調査したのはジョン・エアレイで、 西暦1913年のことであった。

フェリーフライト(デリバリーフライト)

フェリーフライト(Ferry Flight) / デリバリーフライト(Delivery Flight)

フェリーフライト(単にフェリー)あるいはデリバリーフライトとは、 貨客運送を目的としない、航空機移動のための運航のこと。

通常は乗客を乗せる目的であったり、 何らかの目的(取材や戦闘)を持って航空機は飛んでいるが、 単にその航空機を移動させる目的で飛行することを、 フェリーフライト(単にフェリー)あるいはデリバリーフライトという。

具体的には、 運行スケジュールや悪天候によるフライトキャンセルなどの理由で、 機材繰りの為、乗客を乗せないで飛行機を別の空港に飛ばすことや、 新しく造られた飛行機を就航地へ自力輸送することなどをいい、 これをフェリーされるという。

日本語に訳した場合「回送」という。

フライトデータレコーダー(FDR)

フライトデータレコーダー(Flight Data RecorderまたはADR:accident data recorder)
略称:FDR

フライトデータレコーダー(FDR)は、 搭載された航空機の電子システムに送信された命令を記録する電子機器である。 現在該当する FAA TSO(Technical Standard Order) は、 「C124b」(Flight Data Recorder Systems)である。

FDRに記録されたデータから航空機の安全性の問題、疲労、およびエンジン性能を分析して、 主に事故調査のために使用される。 また、フライトに最適な燃料消費および危険な運航乗務員の習慣分析に、 飛行監視データプログラムが利用される。 記録されたデータは事故調査のために使用するものと同じ技術で定期的に解析される。

米国の連邦規制で記録が必要なパラメータは、 西暦2002年までは29個であったが、 アメリカ同時多発テロ事件を引き金に88個へと大きく引き上げられた。 また、いくつかのシステムでは、より多くの変数を監視する。

ブラックボックス

ブラックボックス

航空機の世界においてブラックボックスとは、 フライトデータレコーダー(FDR)コックピットボイスレコーダー(CVR)の通称である。
航空事故に関してブラックボックスと表現する場合は、 FDRないしはCVRそれぞれ、 あるいは双方をまとめて指している。 航空事故の原因調査に大きな役割を持つ。 一定以上の乗客を乗せる旅客機では装備が義務づけられているが、 自家用の小型機には一般に装備されない。 軍用機は装備しない国が多いが、 自衛隊機にはほぼ搭載されている。 自家用機や軍用機の事故の場合は、 生存者からの聞き取りや機体分析で原因究明を行うことになる。 これらにはウォーターロケータビーコン(アコースティック・ビーコン)が取り付けられ、 水没した場合でもソナーによる捜索が可能なように配慮されているものも多い。
最新のブラックボックスコックピットボイスレコーダー(CVR)フライトデータレコーダー(FDR)を1つにした、 コックピットボイスフライトレコーダー(CVFDR)がある。
ブラックボックスとは内容物が隠蔽ないしは封印されていること、 内部構造を知る必要はないことの比喩的形容であり、 形状は円筒形や球形の物もあるほか、 事故後に発見・回収しやすいよう、 赤色やオレンジ色に塗装されているなど、 実際には「黒い箱」ではない。

ベクタリング

ベクタリング / 経路延長

航空機の進路を変更させることで、 飛行距離や飛行時間を意図的に延ばす制御手法であり、 通常、 到着機の混雑緩和や空域内の交通調整のために、 航空交通管制官がレーダーベクトルを用いて行う。

無指向性無線標識(NDB)

無指向性無線標識(non-directional (radio) beacon)  略称:NDB

無指向性無線標識は、 主に中波を用いて航空機の航法援助を行う無線標識。 標識局では、全方向に無指向性の電波を発射している。 航空機上でADF(自動方向探知機)を用いることにより、 無線標識の方向を探知する。 また、2個以上の無線標識局を探知することにより、現位置が判明する。 近年では同様の情報が得られより精度が高いVORに置き換えられつつある。

ヨーイング

ヨーイング(yawing)/ 片揺れ / 偏揺れ

ヨーイングとは、飛行機の機首が左右に振れる回転運動のこと。
飛行機がヨーイングを制御する(ヨーイングする、またはヨーイングを抑える)には、 ラダーを使う。 ただし、 ラダーのみで旋回を行った場合は、 横滑りの危険が生じる。 実際に飛行機が旋回を行う場合は、 旋回方向へのローリング、 そして機体が傾いた状態からはピッチングを併せて行うのが通常である。 そのため飛行機の旋回においては、ローリングヨーイングピッチングの3動作が全て関わる事になる。

ヨー・ダンパー

ヨー・ダンパー(yaw damper)

ヨー・ダンパーは、 航空機の方向舵(ヨー舵)を自動操舵し、 ヨーイングを小さくする装置。 この装置は、航空機の安定性を高め、 特にダッチロールと呼ばれる偏揺れと横揺れが結合した振動を抑制するために使用される。

ラダー

ラダー / 方向舵  英語:rudder

ラダーは、飛行機の操縦に用いる動翼の一つである。 垂直尾翼後部にある翼型の可動部分であり、 機体の重心を貫く上下軸を中心とした動きを制御する。 簡単に言うと、 左右の首振り運動(ヨーイング)を起こしたり止めたりすることに使う。 主翼の補助翼と併用して、定常釣り合い旋回をする。

操縦感覚という比較的評価のしにくい性能にかかわる部分であるため、 垂直尾翼まわりは設計者の個性がでる。 中島飛行機の小山技師の設計による戦闘機の方向舵は一貫して下ふくれの上下通しの方向舵が採用されていて、 迎え角の大きい時の操縦性の確保を狙ったとされている。

一般的に方向舵は、ラダーペダルを踏んで操作する。 2つあるペダルに左右それぞれの足をかけ、 片方を踏み込むと別の片方は手元側へ動き、 左右の踏込量差で舵角をコントロールする。

小型飛行機のラダーペダルはノーズギア(前脚)と機械的にリンクしていて、 タキシング(地上走行)時の操縦もラダーペダルで行うことが多い。

初期のラダーペダルは自転車のハンドルのような形状をしており、 両端に足をかけて操作したことから、 古くは足踏桿と呼ばれ、 操縦索(ワイヤー)で舵と直結していた。 航空機が大型化すると共にテコを利用した倍力リンク機構や油圧アシストなどが付加され形状は変化していったが、 動作としては旧来と変わらない。

ロール / ローリング

ロール(roll)/ ローリング(rolling)/ 横揺れ

ロールとは、 機体を左右に傾ける(ローリング)動きを指す。 飛行機は、 機首から尾翼までの縦軸(ロール軸)を基準に、 この軸を中心に回転することで左右に傾くことができる。 この動きはエルロンと呼ばれる補助翼によって制御される。
ロールの制御は、 旋回や横方向の安定性を保つために重要である。

あああ