距離測定装置(Distance Measuring Equipment) 略称:
DME
パイロットが知っておきたい位置情報は「高度」、「飛行コース」、「目的地までの距離」である。
その内「目的地までの距離」を知るために開発されたのが
距離測定装置(
DME)である。
機上DME(航空機)が
地上DME(地上局)に質問電波を発射し、
地上DMEがこれに応答することによって、
航空機と地上局間の距離情報を
海里(マイル)で得ることができる。
また一般に、
方位情報を与える
VOR(108MHzから118MHzの周波数を使用)と併設して利用され、
VOR/DMEと呼ばれる短距離用航法援助施設を形成する。
機上のインテロゲーター(自動質問装置)と地上局のトランスポンダー(自動応答装置)から構成されている。
インテロゲーターから特定の地上局を指定して1000メガヘルツ帯のパルス電波が発信されると、
地上局のトランスポンダーは受信と同時に質問波と63メガヘルツ離れた周波数による応答電波を発信する。
機上の装置ではこれを受信し、
コンピュータにより二つの電波の時間差を測定し、
この時間差を距離に換算して操縦席前の指示器にデジタル表示する。
DMEは700キロメートルくらいの範囲内で航空機から地上局設置点までの直線空間距離を測定するもので、
地上局の方位を知ることはできない。
そこで通常、
VOR(超短波全方向式無線標識施設)と組み合わせて方位と距離を同時に測定し航空機の位置を求める。
これを
VOR/DME方式といい、
西暦1960年に国際民間航空機関(ICAO(イカオ))の国際標準方式として採用された。
DMEは比較的新しい装置であるが、
近距離航法施設としては非常に有効であるため、
世界的に空港や航路上の要所に多数の地上局が設置されている。