標準的な宇宙論によると、
CMBは、
宇宙の温度が下がり電子と陽子が結合して水素原子に変わることで宇宙が放射に対して透明となった時代の「スナップショット」とされる。
これはビッグバンの約40万年後で、
この時期を「宇宙の晴れ上がり」あるいは「再結合期」などと呼ぶ。
この頃の宇宙の温度は約3,000Kであった。
この時以来、
輻射の温度は宇宙膨張によって約1/1,100にまで下がったこととなる。
宇宙が膨張するに従って CMBの光子は赤方偏移を受け、
宇宙のスケール長に比例して波長が延び、
結果的に輻射は冷える。
この背景放射がビッグバンの証拠とされる理由について、
詳しくはビッグバンを参照のこと。
CMBが生まれた後、いくつかの重要な事件が起こった。
CMBが放射された時期に中性水素原子が作られたが、
銀河の観測から、
銀河間物質の大部分は電離していることが明らかになっている(すなわち、遠くの銀河のスペクトルに中性水素原子による吸収線がほとんど見られない)。
このことは、宇宙の物質が再び水素イオンに電離した「宇宙の再電離」の時代があったことを示唆している。
これについてよくなされる説明は、
初期宇宙で生まれた大量の大質量星からの光によって再電離が起こった、
とするものだが、
再電離自体は宇宙に恒星が大量に存在する時代より昔に始まったという証拠もある。
CMBが放射された後、
最初の恒星が観測されるまでの間、
観測可能な天体が存在しないことから、
宇宙論研究者はこの時代をユーモア混じりに暗黒時代(dark age)と呼ぶ。
この時代については多くの天文学者によって精力的に研究されている。
CMBよりも外側は宇宙の晴れ上がり前の状態であり、
光学的に見知ることができないため、
地球からCMBの内側までが可視宇宙(宇宙光の地平面)(半径約457億光年)とされる。
CMBよりも外側の外縁部はビッグバン当初の光よりも速く遠ざかっている領域であり、
速度的に光が内側に届かないため原理的に観測不可能とされ、
地球からこの位置までが観測可能な宇宙(半径約465億光年)とされる。
宇宙論で「宇宙」という用語は、
この観測可能な宇宙のことを指す。
観測可能な宇宙の外側は不明であり、
無限に広がっているという説も有限であるという説も存在する。
光速よりも速く広がっているため、
ワープ技術でも開発されないかぎり原理的に不可知な領域であるため、
現在では「因果的に切り離されている宇宙」と表現されることもある。