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古事記上巻3(淤能碁呂嶋)

作成日:2019/8/26


淤能碁呂嶋おのごろしま
【原文】
於是 天神諸命 以詔 伊邪那岐命 伊邪那美命 二柱神 修理固成是多陀用幣流之國賜天沼矛而言依賜也 故二柱神立 [訓立云多多志] 天浮橋而指下其沼矛以畫者 鹽 許々袁々呂々邇 [此七字以音] 畫鳴 [訓鳴云那志] 而引上時 自其矛末垂落之鹽累積 成嶋 是淤能碁呂嶋 [自淤以下四字以音]
【読み下し文】

於是 天神諸命 以詔 伊邪那岐命 伊邪那美命 二柱神 修理固成是多陀用幣流之國 賜天沼矛而言依賜也
ここにおいて、天つ神のもろもろみこと、以ちてのたまはく、伊邪那岐の命伊邪那美の命二柱ふたはしらの神に、是の多陀用幣流ただよへる[之]国をすぢなほし固め成せとのたまひ、天沼矛あめのぬぼこを賜りて[而]、言依ことよたまふ[也]。

故二柱神立 [訓立云多多志] 天浮橋而指下其沼矛以畫者 鹽 許々袁々呂々邇 [此七字以音] 畫鳴 [訓鳴云那志] 而引上時 自其矛末垂落之鹽累積 成嶋 是淤能碁呂嶋 [自淤以下四字以音]
かれ、二柱の神天つ浮橋にたたし [「立」をみ、多多志たたしと云ふ] て、[而]其の沼戈ぬぼこを指し下ろし、以ちてけば、しほ 許々袁々呂々こをろこをろ [此の七字は音を以ちてす] なし [「鳴」を訓み、那志なしと云ふ] て[而]引き上ぐる時、其の矛のすゑり垂り落ちし[之]しほ累積つもり、しまに成りぬる、是れ淤能碁呂おのごろ嶋なり。[「淤」自り以下いげ四字音を以ちてす]

【現代語訳】
そのとき、天つ神が皆で、伊邪那岐の命伊邪那美の命の二柱の神に、このただよえる国の姿を整え、土地を固めるよう命じ、天沼矛あめのぬぼこたまわりました。
そこで二柱の神は天つ浮橋にお立ちになり、沼矛ぬほこで下を指して、その先で線を引くように動かしましたところ、コヲロコヲロと鳴りながら描かれました。
そして引き上げたところ、その先から垂れ落ちた塩が積み重なり、できた島が淤能碁呂おのごろ島でございます。

【解説】

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