《於是 天神諸命 以詔 伊邪那岐命 伊邪那美命 二柱神 修理固成是多陀用幣流之國 賜天沼矛而言依賜也》:
是於、天つ神の諸の命、以ちて詔はく、伊邪那岐の命、伊邪那美の命の二柱の神に、是の多陀用幣流[之]国を理を修し固め成せとのたまひ、天沼矛を賜りて[而]、言依せ賜ふ[也]。
《故二柱神立 [訓立云多多志] 天浮橋而指下其沼矛以畫者 鹽 許々袁々呂々邇 [此七字以音] 畫鳴 [訓鳴云那志] 而引上時 自其矛末垂落之鹽累積 成嶋 是淤能碁呂嶋 [自淤以下四字以音]》:
故、二柱の神天つ浮橋に立 [「立」を訓み、多多志と云ふ] て、[而]其の沼戈を指し下ろし、以ちて畫けば、鹽 許々袁々呂々邇 [此の七字は音を以ちてす] 畫き鳴 [「鳴」を訓み、那志と云ふ] て[而]引き上ぐる時、其の矛の末自り垂り落ちし[之]鹽の累積り、嶋に成りぬる、是れ淤能碁呂嶋なり。[「淤」自り以下四字音を以ちてす]