小窓
協定世界時

作成日:2024/5/13

協定世界時(UTC)

協定世界時(英語:coordinated universal time, 仏語:temps universel coordonne) 略称:UTC

協定世界時とは、 国際原子時 (TAI) に由来する原子時系の時刻で、 UT1世界時に同調するべく調整された基準時刻を指す。

世界各地の標準時は協定世界時を基準としている。 日本標準時 (JST) は、 協定世界時より9時間進めた時間、 つまり UTC+9 である。 ちなみに、 UTC+0は、協定世界時 (UTC) そのままの標準時である。

協定世界時の略称は UTC である。
協定世界時を頭字語表記すると、 英語は coordinated universal time で “CUT”、 フランス語は temps universel coordonne で “TUC”、 イタリア語は tempo coordinato universale で “TCU” などとなり、 言語毎の表記に差異が生ずるため、 国際電気通信連合 (ITU) は共通の略称として “UTC” を定めた。

既存の世界時 (UT) の種類は UT のあとに数字を付してUT0、UT1などと表記され、 “UTC” はこれらとも整合する。

略称から逆成した 英: universal time coordinated, 仏: universel temps coordonne など、 非公式な表記も一部に散見する。 ...
名称を日本語に訳すと、 本来は「調整された世界時(調整世界時)」の意だが、 多数の国で法定常用時の基礎に採られており、 日本語では意訳した「協定世界時」が定訳となっている。

グリニッジ標準時

グリニッジ標準時グリニッジ平均時(イギリス英語: Greenwich Mean Time, GMT)とは、 グリニッジ天文台・グリニッジ子午線(経度0度)における平均太陽時を指す。

かつてグリニッジ平均時は国際的な基準時刻として採用され、 イギリスを含む世界各地域の標準時(standard time)もこれを基準とした。 なお現在の国際的な基準時刻は概念を修正した協定世界時 (UTC) を用いている。

こうした事情からUTCGMTが近似的に同一視される事もある。 用語“G.M.T.”および“Z”(通話表で使用する語は Zulu)は、 航法や通信の分野でUTCと一般的に同義語として認められる。 また、GMT は時刻の最大精度が整数秒である法令、通信、常用その他の目的では UTC の意味で使用される。 一方、GMT は天測航法及び測量における暦の独立引数としては世界時の UT1 の意味で引き続き使用される。 ただし、GMT は適切な名称(UTCUT1 または UT)で置き換えられる。
平均太陽時
グリニッジ平均時は伝統的に経度0度と定められているイギリスのロンドンにあるグリニッジ天文台での平均太陽時(Mean solar time)である。

閏秒

閏秒(うるうびょう) 英語:leap second

閏秒は、 現行の協定世界時 (UTC) において、 世界時のUT1との差を調整するために追加もしくは削除される秒である。 この現行方式のUTCは西暦1972年に始まった。 西暦2022年までに実施された計27回の閏秒は、 いずれも1秒追加による調整であった。

直近の閏秒の挿入は、 日本においては西暦2017年1月1日午前9時直前(日本標準時)に行われた。

現代においては、 閏秒の調整がシステム上の様々な問題を引き起こしているため、 その廃止について議論が続けられてきた。 その結果、 西暦2022年の国際度量衡総会(CGPM)において、 西暦2035年までにUT1とUTCの差分の許容値(現在は0.9秒)を増加させることが決議された。 西暦2023年12月11日には国際電気通信連合(ITU)が同様の決議を行った。 これらの決議は閏秒を廃止するものと紹介されることがあるが、 正確にはUT1とUTCの差分の許容値を大きく広げるというものであり、 閏秒の廃止ではない。

なお、閏日は「地球の公転」に基づく考えであり、 「地球の自転」に基づく閏秒とは直接の関係は無い。

日本標準時(JST)

日本標準時(英: Japan Standard Time) 略語:JST

日本標準時は、 総務省所管の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の原子時計で生成・供給される協定世界時(UTC)を9時間(東経135度分の時差)進めた時刻(すなわちUTC+9)をもって、 日本において標準時(STDT)としたものである。 同機構が決定するUTCは「UTC(NICT)」と称され、 国際度量衡局が決定する協定世界時(UTC)との差が±10ナノ秒以内であることを目標として調整・管理されている。 単に日本時間と呼ばれることもある。 NICTが通報する標準時は、 日本全国で日本放送協会(NHK)などの放送局やNTT(117特番)の時報などに用いられている.

一方、中央標準時(ちゅうおうひょうじゅんじ、英: Japan Central Standard Time、略語:JCST)は、 文部科学省所管の大学共同利用機関法人自然科学研究機構(NINS)国立天文台が決定し、 現実の信号として示す時刻で、 水沢キャンパスの天文保時室でセシウム原子時計が運転されている。 天文保時室は2022年4月から天文情報センターに加わり、 西暦2023年2月現在は水沢キャンパスで運用しているが、 徐々に三鷹キャンパスに移設しようとしている。 なお、国立天文台が法令に基づいて暦書として編製する「暦象年表」や、 科学データブックとして編纂する「理科年表」では中央標準時について中央標準時=協定世界時+9h としている。

日本標準時(JST)と協定世界時(UTC)との差を示す場合などには、 「12:31:40 (UTC+0900)」(日本標準時で12時31分40秒の場合)などと表記される。

その他の時刻

(ヘッダ部)

CET、CEST(中央ヨーロッパ時間)
中央ヨーロッパ時間(Central European Time)  略称:CET
中央ヨーロッパ夏時間(Central European Summer Time)  略称:CEST

中央ヨーロッパ時間は、 協定世界時 (UTC) を1時間進ませた標準時である (UTC+1) 。 日本標準時との時差はマイナス8時間。 中部欧州標準時とも呼ばれる。 アフリカでは同じ UTC+1 として西アフリカ時間が使われている。

3月最終日曜日の午前2時(夏時間では午前3時)から10月最終日曜日の午前2時(夏時間では午前3時)までは、 中央ヨーロッパ夏時間が使用される。 中央ヨーロッパ時間を使用している全てのEU加盟国が夏時間を使用している。

中央ヨーロッパ夏時間は、 協定世界時(UTC)を2時間進ませた標準時で、 中央ヨーロッパ時間より1時間進めた時間である。 日本標準時との時差は-7時間(例えば、日本標準時の5月20日の12:00は中央ヨーロッパ夏時間では5月20日の5:00である)。

該当国
ノルウェー、スウェーデン、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、セルビア、北マケドニア、チェコ、オーストリア、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、アルバニア、デンマーク (フェロー諸島、グリーンランドを除く)、ドイツ、スイス、リヒテンシュタイン、イタリア、サンマリノ、マルタ、オランダ (海外領土を除く)、ベルギー、ルクセンブルク、フランス (海外領土を除く)、モナコ、アンドラ、スペイン (カナリア諸島を除く)、バチカン、コソボ、ジブラルタル (イギリス領)
CST(中国標準時)
中国標準時(Chinese Standard Time、略称:CST

中国標準時は、 中華人民共和国で使用されている標準時である。
北京がある中原の東経120度線における地方時を基準にしていることから北京時間中原標準時間とも言う。 協定世界時との時差は+8時間(UTC+8)である。

中国国内における標準時と地方平均時との差を示している。 中華人民共和国ではその国土が東西に大きく広がっているにもかかわらず標準時がUTC+8 (北京時間)に統一されているため、 中国東北部では標準時が地方平均時より多少(1時間程度)遅くなっている一方、 中部から西部にかけては標準時が地方平均時よりかなり(西端で3時間程度)早くなっている。

中華人民共和国の領域は東西方向に伸びているが、 全土で同じ標準時が使用されている。 そのため、太陽が南中する時刻は中国の東端では午前11時頃、 西端では午後3時頃となる。 また、隣接するタイムゾーン(標準時が同一の領域)もUTC+4:30(アフガニスタン)からUTC+10(ロシアの一部:ウラジオストク時間)の広範にわたり、 特にアフガニスタンとは3時間30分の時差が生じることになる。
EET、EEST(東ヨーロッパ時間)
東ヨーロッパ時間(Eastern European Time)  略称:EET
東ヨーロッパ時間(Eastern European Summer Time)  略称:EEST

東ヨーロッパ時間(EET)は、 協定世界時(UTC)を2時間進ませた標準時である。(UTC+2

3月最終日曜日の午前3時(夏時間では午前4時)から10月最終日曜日の午前3時(夏時間では午前4時)までは、 夏時間の東ヨーロッパ夏時間(EEST)で、 協定世界時(UTC)を1時間進ませた標準時である。(UTC+2

該当国
フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、ウクライナ(ロシアとの帰属係争地域を除く)、ルーマニア、モルドバ(沿ドニエストル共和国の旗沿ドニエストル共和国を含む)、ブルガリア、ギリシャ、キプロス
EST、EDT(東部標準時)
東部標準時(Eastern Standard Time)  略称:EST
東部夏時間(Eastern Daylight Time)   略称:EDT

東部標準時EST)、は、 協定世界時 (UTC) を5時間遅らせた標準時である。 「-0500(EST)」のように表示する。
なお、夏時間では協定世界時より4時間遅れ、 東部夏時間EDT)と呼ばれている。
つまり、通常では日本より14時間遅れ、 夏時間採用時のみ13時間遅れている。
(アラスカ州・ハワイ州を除いた)アメリカ合衆国本土にある4つの時間帯のうち一番先行する時間帯で、 首都ワシントンD.C.やニューヨーク市のほか、 東海岸の諸都市がこの時間帯に属する。 カナダでは首都オタワ、モントリオール、 トロントなど主要都市部がこの時間帯に属する。
ESTEDTの切り替わりの方式について:
3月の第2回目の日曜日の午前2:00(EST)になると夏時間の午前3:00(EDT)に切り替わる(1時間時計の針を進める)、 それゆえ午前2時台は飛ばされるので無い。 そうして11月の最初の日曜日の午前2:00(EDT)になると(1時間時計の針を戻して)午前1:00(EST)に切り替わるので、 午前1時台を二度繰り返すことになる。 しかしパナマとカリブについては(緯度が低い地域なので)夏時間は実施されない。
アメリカとカナダでは、 この時刻帯は総称的に東部時間ET:Eastern Time Zone)と呼ばれる。 具体的に述べる場合は、 標準時は東部標準時(EST)、 夏時間は東部夏時間(EDT)を使用する。