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コンピュータ・ネットワーク

作成日:2024/11/2

コンピュータ・ネットワーク(computer network)は、 複数のコンピュータを接続する技術。または、接続されたシステム全体をいう。 コンピュータシステムにおける「通信インフラ」自体、 あるいは「通信インフラによって実現される接続や通信の総体がネットワークである」とも言える。

規模による分類 他に、プロトコルによる分類などもある。

よみがな順で記載する。

CAN(Campus)

CAN(Campus Area Network)

キャンパスエリアネットワーク(campus area network)、 キャンパスネットワーク(A Campus Network)あるいはコーポレートエリアネットワーク(corporate area network)は、 CANと略称される。

CANは、 限られた地理的領域内に広がるコンピュータ・ネットワークである。 教育機関や企業のキャンパス内にある複数のLANを相互接続している。 ほとんどのCANはインターネットに接続しており、 規模はLANより大きくWANよりも小さい。

CAN(Controller)

CAN(Controller Area Network)

ドイツのBosch社が開発したシリアル通信プロトコル。 完成したのは西暦1985年、 実際に量産車に採用されたのは西暦1990年が最初。 その後、西暦1994年に国際標準化機構(ISO)により標準規格(ISO11898/ISO11519)になった。

CANは、ビークルバス規格の一種で、 ホストコンピュータなしでマイクロコントローラやデバイスが相互に通信できるように設計されている。 耐ノイズ性の強化が考慮された堅牢な規格である。 メッセージベースのプロトコルであり、 元々は、自動車内部の多重化電気配線用に設計されたものだが、 機器の制御情報の転送用として普及しており、 輸送用機械、工場、工作機械などのロボット分野においても利用されている。 自動車においては、速度、エンジンの回転数、ブレーキの状態、故障診断の情報などの転送に使用されている。

データ転送速度は、40mの通信路においては最高で1Mbps程度、 500mの通信路においては最高で125kbps程度。 実際の運用においては、速いもので500kbps、遅いもので83.3kbpsとなっている。 通信速度が上がるほど接続できる機器の数が減るので、 高級車などでは速度の異なる複数の通信路をもつ。

なお、デジタルコンテンツなど大量データの転送には、 MOSTまたはIDB-1394、車載Ethernetを用いる。 パワーウィンドウなど転送速度をそれほど要求されないシステムにおいては、 Local Interconnect Network (LIN) と呼ばれるネットワーク通信を用いるのが一般的となっている。 また、エアバッグやシートベルトなどの乗員保護装置(Supplemental Restraint System)には、 低速で信頼性を高めたSafe-by-Wireという規格が策定されている。 しかし、CANを使用しているシステムもあり、 はっきりとした使い分けは定着していない。

ビークルバス(vehicle bus)

ビークルバス(vehicle bus)

ビークルバスは、 自動車、バス、列車、工業用車両、農業用車両、船舶、航空機などの移動機械(ビークル)の中の構成要素を相互接続する特殊な内部通信ネットワークである。

メッセージ配信の確実性、メッセージの非衝突性、配信時間の最小化、低コスト、電磁ノイズ耐性、冗長ルーティングなど、 移動機械制御のための特別な要件があるため、 一般的なネットワークプロトコルはあまり使われていない。 ビークルバスで使用されるプロトコルには、 Controller Area Network(CAN)、 Local Interconnect Network(LIN)などがある。

Avionics Full-Duplex Switched Ethernet(AFDX)などのARINC 664の実装が使用されている航空機を除き、 従来のコンピュータネットワーキング技術(イーサネットやTCP/IPなど)はほとんど使用されていない。 AFDXを使用する航空機には、ボーイング787、エアバス A400M、エアバスA380などがある。

GAN(Global Area Network)

GAN(Global Area Network)

GANは、 いくつかの団体が定義しようとしている概念であり、 まだ広く認知された定義は存在しない。 一般にGANは多数の無線LANアクセスポイントや通信衛星などを使って、 移動体通信を広範囲に行うことを意味する。 この場合に課題となっているのは、 利用者があるアクセスポイントから別のアクセスポイントの通信範囲に移動したときに、 シームレスに通信を継続する方法である。 IEEE Project 802 では、 それによって地球規模の連続な無線LAN環境を構築しようとしている。 インマルサットは衛星を使った Broadband Global Area Network (BGAN) とされている。

IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) が検討しているのは、 物理層とデータリンク層である。 Mobile IP はネットワーク層の技術であり、 IETF が開発した。 こちらはネットワーク媒体を問わず、 移動してもコネクションを維持し続ける技術である。

インマルサット(Inmarsat)

インマルサット(Inmarsat)

インマルサットは、 通信衛星による移動体通信を提供する民間企業(Inmarsat Global Limited)、 及びその商標である。

西暦1979年に設立された国際機関である、 国際海事衛星機構(INMARSAT:International Maritime Satellite Organization、国際移動通信衛星機構の前身)の事業部分を引き継いだ企業であり、 社名も同機関の略称に由来している。 商標権は同機構にある(日本の商標登録番号は第4117102号)。

LAN

LAN(Local Area Network) ラン

LANとは、 広くても一施設内程度の規模で用いられるコンピュータネットワークのこと。
その頭文字をつづったLAN(ラン)と書かれる場合も多い。
一般家庭、企業のオフィスや研究所、工場等で広く使用されている。

LANの標準化組織である米国電気電子技術者協会(IEEE)や国際標準化機構(ISO)での定義によると といった特徴をもっている。

かつては様々な方式のLANが使用されていたが、 現在ではイーサネットと、インターネットの(レイヤ4以下の)プロトコルであるTCP/IPを組み合わせるタイプ(イントラネット)が一般的である。
近年は無線方式による、無線LAN(IEEE 802.11シリーズ)も普及している。

HomePNAは家庭内の既設電話線を利用するLANである。

既設の電灯線・配電線を利用するPLCも家庭内LANの新技術として注目されている。

MAN(Metropolitan Area Network)

MAN(Metropolitan Area Network)

広域的な回線網のうち、 一つの都市や市街地の内部を繋ぐ高速・高密度な回線網をMANと呼ぶことがある。

WANLANの中間規模のネットワークの類型の一つで、 通信拠点や施設間を光ファイバー回線などで結ぶ中長距離の高速な通信ネットワークと、 建物内で末端のコンピュータや通信機器を結ぶLANを組み合わせて構築される。 前者の拠点間ネットワークのみを指す場合もある。

PAN(Personal Area Network)

PAN(Personal Area Network)

PANとは、 コンピュータネットワークの形態の一つで、 主に個人が利用する複数のデジタル機器を接続し、 相互にデータを送受信できるようにしたもの。 通常は無線通信を用いるものを指すが、 有線方式と区別する文脈ではWPAN(Wireless Personal Area Network:無線PAN)と呼ぶこともある。

概ね同一室内あるいは数メートル程度の距離を伝送できる通信方式を用い、 個人が所有・利用する機器間を結ぶ通信ネットワークのことを意味する。

パソコンやその周辺機器、 スマートフォン、タブレット端末、携帯音楽プレーヤー、カーナビ、イヤホンなどが主な対象機器で、 これらの機器間で音声や動画を転送したり、 インターネットや家庭内LANへのアクセスに使われたりする。

Bluetooth PAN
単にPANといった場合は近距離無線通信のBluetoothにより構築された機器間の小規模ネットワークを指すことが多い。
BluetoothにはPAN構築用のプロファイル(名称はそのまま「PAN」)が用意されており、 1台がマスターとなり、 最大7台までのスレーブを接続してネットワークを構築することができる。 ノートパソコンからスマートフォンを通じてインターネットへ接続するBluetoothテザリングなどで使用される。

WAN(Wide Area Network)

WAN(Wide Area Network)  広域通信網

複数の都道府県をまたぐような地理的に離れた場所にあるLANを、 プロバイダーが保有している回線を利用して、 広範囲のネットワークを構築する仕組みをWANという。 地理的に離れた拠点のLAN同士をネットワークで接続し、 事業所間での相互通信を可能にするWANは、 基本的に通信キャリア(携帯電話などの通信回線事業者を意味する。 通信キャリア、携帯キャリアとも)が構築から管理までを担っている。

広範囲で接続を行うといった点では、 インターネットとWANは混同しやすいが、 誰が使うのかといった観点で整理してみると、 WANは企業が持っているローカルネットワークを相互に接続することで、 データの転送などを行う目的で使用するものである。
プライベートな通信網が構成されるWANは、 限られたユーザーのみがアクセスするネットワークだという点で、 インターネットとは全く別のものである。 このようにユーザーがはっきりと分かれるため、 WANとインターネットではセキュリティ対策のレベルも違ってくる。