アフロ・アジア語族は、 アラビア半島を中心とする西アジアおよび北アフリカに分布する語族。 古くはセム=ハム語族(または「ハム=セム語族」)と呼ばれ、 現在もこの語を使う学者もあるが、 ひとつのまとまりをもつ「ハム語派」の存在は否定されている。

アフロ・アジア語族にはセム語派、 エジプト語派、 ベルベル語派、 チャド語派、 クシ語派、 オモ語派の6つの語派があるが、 このうちエジプト語派の言語はすべて消滅した。 ほかにもベジャ語やオンゴタ語のようにアフロ・アジア語族の独立した語派ではないかと言われている言語がある。

古い名称である「セム=ハム語族」は、 創世記に記述されているノアの息子のセムとハムの子孫たちの分布がアフロ・アジア語族の分布に近いことにちなむ。 このうちセム語派については現在も認められているが、 「ハム語派」の存在は等語線の上からひとつのまとまりをなさないために否定されている。

ベルベル語派・エジプト語・セム語派は形態論的に近く、 この3つは「北アフロ・アジア諸語」としてまとめられる可能性がある。 またベルベル語派とチャド語派の共通点も指摘されている。 ほかにもさまざまな分類が提案されているものの、 現在のところ合意を得られたものは存在しない。