小窓
遺跡(日本・新潟)

作成日:2024/2/15

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大角地遺跡(おがくちいせき)

大角地遺跡(おがくちいせき)   住所:新潟県糸魚川市大字田海田海 ⇒参考

大角地遺跡は、海岸か ら500mほど内陸の標高5m弱の台地上に位置し、 東を姫川に西を田海川に挟まれている。 北陸新幹線建設に伴い平成17年9月から11月にかけ、1,152m2の発掘調査を行った。 その結果、より高く安定した台地上に、 縄文時代草倉期から室町時代にかけ断続的に人々が暮していたことがわかった。 遺跡の最盛期を迎える縄文時代前期前半(約7000年前)の竪穴住居や土坑からは、 磨製石斧、 石製装身具が多数出土した。 木の伐採・加工に使われた磨製石斧には硬く重い蛇紋岩が、 石斧の原石を打ち欠きながら形作るハンマーには蛇紋岩より硬く重い翡率が、 石斧の刃を研ぐ砥石には砂岩が用いられた。 とりわけ翡翠製ハンマーは翡翠利用の初例 とみられ注目される。 また、勾玉管玉垂玉決状耳飾などの石製装身具には、 曲面を磨き出したり孔をあけたりするために、 軟らかく加工しやすい滑石がりようされた。 しかし滑石は割れやすく、 孔をあける際に破損してしまったものが多く出土されている。 滑石は山の露頭から採取されたものとみられるが、 その他の原石は遺跡近くの海岸で容易に拾うことができる。 当時の人々は、 豊富な石材の特性を熟知し、 目的ごとに使い分けていた。 また、 出土した磨製石斧や石製装身具の多くは、 未完成品や製作途中の失敗品で、 完成品はわずかであった。 完成品は交易品として他地域に持ち運ばれたため、 遺跡に残されなかったものと考えられる。 その一方で、 本遺跡からは信州産とみられる黒耀石が出上しており、 当時の人々の幅広い交易をうかがい知ることができる。