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葬儀関連

作成日:2024/12/1

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土坑墓(どこうぼ)

土坑墓 / 土壙墓(どこうぼ)

土坑墓とは、 土を掘りくぼめて穴(土坑)をつくり、 そこに人の遺体を納めて葬送した遺構。
土葬に伴う世界的にポピュラーな埋葬に用いられた遺構であるが、 日本では縄文時代~弥生時代に多い墓の形式であり、 その場合「土壙」とか「土壙墓」と表記される場合もある。

旧石器時代の土坑墓
大阪府藤井寺市のはさみ山遺跡梨田地点から、 墓と推定される楕円形の土坑が確認されている。

縄文時代の土坑墓の諸特徴
径はおおむね0.7~1.5mの範囲。 平面形状は円形または方形で、多くは円形を呈する。 深さは平面規模に比べて浅く、底が平坦である。 覆土はたいていの場合、一括埋め戻しの人為堆積である。 人骨を伴う場合もあるが、まったく痕跡をとどめない場合も多い。 副葬品を伴う場合がある。 後期・晩期になると質・量ともに充実し、 特に晩期には工芸品的な価値の高いものが副葬される場合が多くなる。
縄文時代の葬送は貝塚などから見つかる人骨のようすから、 屈葬が一般的だったと考えられる。 規模や形状はそれを反映したものととらえることができる。 礫を土坑の中や外に配置した墓は特に配石墓と呼ばれる。
副葬品や人骨が出土しなくても、 覆土の土壌分析とくに脂肪酸分析によって土坑墓と判別される場合がある。

弥生時代の土坑墓の諸特徴
基本的には縄文時代の諸特徴と共通するが、 平面形状は楕円形や隅丸長方形などがあらわれる。 伸展葬の普及により、 年代が下ると長方形を呈するものが次第に増える。

屈葬(くっそう)

屈葬(くっそう)、蹲葬(そんそう)

屈葬とは、 文化人類学や考古学において埋葬の際、 死者に手足を折り曲げた姿勢をとらせた方法、 または、そのような埋葬の状態をいう。 蹲葬(そんそう)という人もいる。

上体が寝ていて背を下にした、 つまりあおむけの屈葬を仰臥屈葬、 横腹を下にした形を横臥屈葬、 腹を下にした形を俯臥屈葬という。 また上体を立てた形を座位屈葬という。

屈葬の程度にも膝頭が胸に密着する姿勢もあれば、 伸展葬というには、 膝が曲がっていて、 伸展葬を意識した埋葬の方法をとっていないものまで、 埋葬の姿勢のみでは定義しきれない部分もある。

屈葬を行った理由としては、 墓坑を掘る労力の節約、 休息の姿勢、 胎児の姿を真似ることによる再生を祈る、 死者の霊が生者へ災いを及ぼすのを防ぐため、 など様々な説がある。

近年まで日本で行われていた座棺による土葬も屈葬の一種である。

伸展葬(しんてんそう)

伸展葬(しんてんそう)

伸展葬とは、 文化人類学や考古学において体全体を伸ばした状態ですること、 またそのような埋葬の方法のことを指す。

基本的には、 屈葬と区別する用語であるので、 腕をのばしている場合、 胸の上に手を置く場合、 仰向けの場合(仰臥伸展葬)、 うつ伏せ(俯臥)の場合が考えられる。

研究者間では、 単純に遺体が埋葬された場合の姿勢だけではなく、 遺体を伸展葬しうる容器としての棺、 伸展葬を意識している包装の出現があってはじめて、 屈葬と区別する意義があると考えられている。

埋葬(まいそう)

埋葬(まいそう)

埋葬とは、死者をそのまま土の中に埋めて葬ることである。

墓地、埋葬等に関する法律においては「死体を土中に葬ること」として、 いわゆる土葬を指す言葉として定義されているが、 慣用的な用法としては火葬後の遺骨を墓地や納骨堂などに収納することを指す場合もある。