ダイ  英語:die

ダイとは、 半導体チップの製造工程で、 円盤状の基板に回路パターンを焼き付け、 さいの目状に切り分けて得られた一枚一枚のチップのこと。 これに金属端子やプラスチックのカバーなどを取り付けると半導体パッケージとなる。

一般的な半導体の製造工程では、 シリコンなどでできた直径数十cmの薄い円盤(ウェハー)に配線や素子のパターンを焼き付けていく。 このパターンは切手シートのように同じチップを縦横に碁盤目状に数十枚並べた構造になっており、 焼き付けが終わった円盤を数cm角にカットすると一つのチップになる。 これをダイという。 “die” はよく知られる「死ぬ」という意味の動詞ではなく、 「サイコロ」という意味の同音異義語(“dice” の単数形)である。

ちなみに、 ダイサイズ(die size)は一つのICチップの面積のこと。 一般的な製品では数mm角(数十平方mm)から数cm角(数十平方cm)のものが多く、 この中に数万個から数億個の半導体素子が内蔵される。

ICチップは表面に同じ回路パターンをいくつも焼き付けたウェハ(wafer)と呼ばれる大きな円盤型の基材を格子状に切り分けて製造されるため、 ダイサイズが小さいほど同じウェハから多くのチップを製造でき、 コストが安くなる。

半導体製造技術の進歩によりウェハ上に形成できる回路の微細化、 配線や素子の集積度の向上は急激に進歩し続けており、 同じ回路図を持つ同じ機能のチップでも、 より小さなダイサイズでの製造に切り替わることがある。 設計はそのままでプロセスの微細化によりダイサイズを縮小することを「シュリンク」(shrink)という。